チェルノブイリ原発事故で国土が25%近く汚染されてしまったベラルーシの現状を取材している報道番組を途中から見た。被爆地を車で測定しながら走っている。放射能は高い数値を示している。外に出ると数値は一気に跳ね上がる。25年経ってもまだこんな状態、汚染は少しも変らない。汚染された食物を食べて、被害は増えている。障害を持った乳児、心臓病の子どもも増えている。おそらく内部被爆のせいだろう。ところが病院を訪ねると、医師たちは口をそろえて、放射能の影響ではないと答えている。放射能被害を表面に出してはいけないのだという。ええっ、なんで~、いまごろになってそんな態度をとるの?実際に知り合いたちにも病人が出ているし、明らかに放射能の影響なのに。ベラルーシから追放され、ウクライナにいる医師が話してくれた。
そして裏が分かった。ルカシェンコ大統領はロシアと共同でベラルーシに原発建設を推進する合意をしたのだ。だから放射能汚染や危険視する発言は禁止されているのだという。なるほど、緘口令ってやつですね。これでわかった。この大統領は、大統領に当選したときから、ちょうどそのときミンスクにいたから、ベラルーシのテレビで見て知っていたし、国旗を変更するときも(このときもベラルーシにいた)これでもかこれでもかとテレビに出て反対者の意見を封じて、あまり好感は持てなかった。ヨーロッパ最後の独裁者と言われているが、たしかに法律を変え、任期を延長し、権力を集中させてしまっている。とはいえ、一応国民が選んだことになっている。
原発推進の影で、大勢の被爆者がどう扱われるのかと思うと心が痛む。
【モスクワ=副島英樹】ロシアは15日、ベラルーシと共同で同国に原発を建設することで合意した。ロシアは原子力を成長産業と位置づけ、外交ツールとしても重視しており、福島第一原発の事故で広がる「原発敬遠」の動きを牽制(けんせい)する狙いがあると見られている。
ロシアのプーチン首相が同日、ベラルーシのルカシェンコ大統領らと会談して合意にこぎ着けた。インタファクス通信によると、プーチン首相は「ベラルーシは日本のような地震ゾーンにはないが、我々の原発は最新世代で安全性がより高い」と主張。14日には「日本の出来事の教訓は学ぶが、自らの計画を止める予定はない」と述べていた。
ロシア国営原子力企業「ロスアトム」の専門家も、福島のケースはチェルノブイリ原発事故とは根本的に違い、福島タイプの炉はロシアにはないと強調。こうした発言には「原発批判の高まりやパニックを払拭(ふっしょく)する試みだ」(独立新聞)との指摘が出ている。
チェルノブイリ事故で放射能被害を受けたベラルーシでの原発建設には、欧州連合(EU)加盟国の隣国リトアニアが反対している。
ロシアは中国やベトナムで原発を建設中で、計30基の原発輸出計画があるという。国内でも現在16%の原発電力シェアを2030年までに25%へ拡大する予定で、今後28基をつくる計画とされる。