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非日常

2014-12-07 18:49:09 | 日記
多少の変化はあっても、毎日がいつものように過ぎていくのは、精神的にも肉体的にも安定感がある。それがちょこっとバランスがくずれると、精神的にも肉体的にも、疲れる。年をとってくると肉体的のほうが疲れが大きい。

それは火曜日12月2日から始まった。翌日が本焼なので、私はおやつのケーキを作っていた。カナダからのお土産のメイプルシュガーを入れたシフォンケーキとチョコレートケーキを予定した。スポンジはチョコレートを溶かして入れて、焼いてある。シフォンはできた。チョコレートクリームを作るのに生クリームがもうひとつほしい。そこでPapasanに買ってきてと頼んだ。お使いがちっとも帰ってこない。明日は午後からだから朝仕上げてもいいとのんきに構えていた。

5時近くなって、「心配かけてすみません」とPapasanからの電話が入った。「どこにいるの」と聞くと診療所にいるという。診察してもらったら、明日一番で小田原市立病院へ行って検査をしてもらうことになったという。電話では話の内容がのみ込めない、「とにかく生クリーム忘れないで買ってきて」ともう一度頼んだ。そのうちもう一度電話があり、これから市立病院へ行く、という。一人で行かせるわけに行かないが、私は洗面所が洪水なので、水道屋さんが来るのを待っている。急いで息子に電話をして一緒にいってやってほしいと頼むと、これから講座があるのでいけないという。困ったな。するとまた電話。今度は診療所の医師が出て、診察の結果緊急を要するので、救急車で市立病院へ搬送するので、家族の方が付き添ってほしいという。どうやら飲み込めてきた。そこで急いでダウンを着て外に出た。マフラーがほしかったのだが、まだ出してなかった。風は吹き荒れている、しかも寒い。こんな日、しかも夕方、普段なら、絶対に外に出ることはない。

医師の説明だと、血液検査をしたところ、心筋梗塞の恐れがあるので、緊急に処置してもらえるよう市立病院に搬送するよう、救急車も手配してくれた、という。すぐに救急車が到着。papasanは酸素マスクをして、ベッドに寝かされ、そばに私は座って行った。野次馬なので、もの珍しげにあちこち眺めている。

papasanの話によると、いつももらっている「こむらがえり」の薬が終わってしまったので、もらいに寄ったのだという。そのとき、どこか具合が悪い所ありませんか、と言われ、歩くと胸苦しいと言ったら、検査しましょう、ということで検査したら、緊急を要する状態が判明したのだという。「おかげで命拾いをしました」とスタッフに礼を言っている。

救急車は市立病院に着いた。窓口で保健証を出して手続きをして、救急外来へ行ってくださいと言われていくが、もう中に入ってしまったらしく、救急隊員もいない。待っていると、救急隊員たちが出て行くのが見えたので、礼を言って、さらに待っている。担当医が見えて、papasanの状態を説明してくれた。冠状動脈が詰まっているので、心臓の細胞が壊れてしまう恐れがある。緊急措置としてカテーテルを入れて詰まっている動脈を広げる・・、危険な状態なのでご家族に知らせて来てもらってください、とも。そしてカテーテル処置に2時間くらいかかるので、付き添っていてもらいたい、署名もした。
処置室に運ばれていくpapasanはいつもと変わらない。むしろ「とんだことになっちゃった」と言うくらい見かけは普通。

立会と言うから、処置室に入るのかと思っていたら、待合室で待っていることだった。ここで携帯を使っていいと言われたが、私の携帯はさっき息子にかけたとき机の上に出してそのまま置いてきててしまったことに気がついた。来るとき公衆電話が近くにあったのを見ていたので、電話をかけに行ってもいいかと聞くと、そばにいてくださいという。あそこまでです、声は聞こえます、と言って、電話をかけに行った。息子に講座が終わったらなるだけ早く来てほしい。娘にもその旨は伝えた。

1時間半ばかり経って、出てきたpapasanは口はきける。医師が「ご家族に連絡しましたか」というので「息子が後で来ます。娘は明日になります」「死に目に会えないかもしれませんよ」「いたしかたありません。いいですよ」「ご親族は?」「本人より年長ですからびっくりさせることはないと思います、知らせなくてもいいです」と言うとOK。「息子さんが来たら詳しい説明をします」

ベッドと一緒に7階へ。そこでずいぶん待たされた。そこへ息子も来た。papasanの部屋は集中治療室CCU。CCUに入るには手を消毒して、マスクをかける。計器がいろいろついている。脈拍数だと思うが、揺れが大きい。

先生の説明を聞いた。心臓の模型を使って、概要を説明してくれた。高校生の時の生物の授業を思い出した。テストにも出たなぁ。
現在のpapasanのレントゲン写真を大きな画面に映して、正常な心臓の写真と比較しながら説明してくれた。とてもわかりやすかった。papasanは心臓に酸素を送る役割をしている冠状動脈、これが3本あるのだが、この1本が詰まってしまっている、あと2本もつまりかけている状態。カテーテルを2本入れて、この動脈を広げる処理をしているが、今後の方法としては血管をバイパス手術で、つないだ方が予後もいい、ということだった。ただし、心臓手術は来年前予定がいっぱいなので、来年になるが、しばらくこのままで様子を見るということだった。心臓手術はリスクを伴う。万が一ということもある。また副作用として、脳に影響もあるなど、事例を挙げて、事細かに説明してくれた。そして最後に「私たちは患者さんの命を守るために最善を尽くします。しかし私たちは神ではありません」「わかっています」と答えながら、ブラックジャックの一場面を思い出していた。恩師本間先生を助けられなかったブラックジャックに、先生の遺影が語りかける。「人間の生き死にをとやかくしようとは、おごっていると思わないかね、ブラックジャック君」。
家に帰ったのは10時半過ぎ。すっかり冷えてしまった。もう連絡をするももいやだ。結局、夕ご飯を食べそこなった。
コメント
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