窓辺のチュン
スズメたちに、シフォンを焼いてやるのも、これで、もう終わりにしようときめ、最後のシフォンを型からはずし、ケースに入れた。
ところがである。PCに向かっていると、左に視線を感じる。左を見ると、台所の窓の手すりに結びつけてある枯れ枝の上にスズメが止まってじっと私を見つめている。立ち上がって、窓のそばまで行っても逃げない。シフォンをちぎり「これか?」と見せ、窓を開けると、えさ台に飛び移って待っている。えさ台には鶏のえさが入れてある。そこで、シフォンを投げると上手にキャッチした。これが初め。それから毎日何回も来て、シフォンをねだる。
で、このスズメをチュンと名付けた。チュンは、他のスズメと様子が違うので区別できる。このスズメ、口内炎なのか、くちばしの横が黄色く腫れている。元気はいいのだが、いくぶん膨らんでいる。目も潤んでいる、私にはそう見えるのだが。口が腫れているから固い穀物でなく、シフォンがほしいのだろうと勝手に解釈した。
チュンが毎日、それこそ何回も、椅子が温まる時間もないくらいに、えさをもらいに来るので、その都度立ち上がって、シフォンをちぎってやる。他のスズメたちもお相伴にあずかって、シフォンをもらえる。で、またまたスズメ用にシフォンを焼かなくてはならなくなってしまった。
窓辺に来てのぞくのはいいが、猫にやられなければいいがと、それが心配。
チャボのクアトロが死んだ。勢力争いに負けた結果である。今までも雄鶏同士の勢力争いのけんかはずいぶんあったが、死んだのは初めてである。
今のボスは、クアトロと兄弟のウノ。トキとロッソが2羽ずつ卵をかえした。同じくオバサンも一羽孵した。面倒なので、ウノ、ドス、トレス、クアトロ、シンコと名前を付けた。ドス、トレス、シンコがメスだったが、トレスは若いうちに死んでしまった。シンコはオバサンが孵したのだが、アルファの血が入っていたらしく、鶏サイズの大きさである。だから他の小さいチャボたちより威張っている。
雄鶏たちは熾烈なボス争いをするからか、短命である。ボスの座があいて、ボス争いが始まった。で、兄弟げんかとなったのだが、毎度のことなので、血だらけになっていても知らん顔していた。仲間外れになったクアトロは、裏に来て、スズメと一緒にシフォンをもらっていたし、寝るときは前の教室のポリバケツの上で寝ていて、子どもたちのマスコット的存在になっていた。すみわけができたんだろうと、安心していたのだが、ウノに見つかって、またやられてしまったらしい。血だらけになって道路にいるのを見つけ、連れてきてかごに入れて隔離した。隔離されて、1週間、死んでしまった。雄鶏はあと3羽、ウノの天下はいつまでか?