かぽたちが子連れでやってくる。以前から子連れで来てはいたのだが、以前は親がもらって子どもに与えることが多かった。子どもが一人前になってからは、親たちは私たちの手からもらっても、子どもに分けてやることはなくなった。しかし子どもは人間のそばに来て餌をもらうことはしない。むしろ警戒して怖がっている。親がもらっているのを子どものときから見ているにもかかわらずだ。その態度は人間からすればかわいくない。
しかしおそらくは親のしつけだろう。どの人間もカラスに優しいとは限らない。ここの人間がやさしいからと人間はすべて優しいものだと教えるととんでもないことになりかねない。特にカラスに一般の人はやさしくはない。そこで警戒心を植えつけているのだろう。そして一人前になって、自分の判断で、この人間は信用できると思えたら、手からもらってもいい、というのだろう。なかなか思慮深い育て方である。
そこで親が食べているとき、スズメの餌台に肉を投げてやってみた。木の上から下を見ていた子カラスが、その肉をみてすばやく降りてきて取っていった。これが第一歩なのだろう。それから数日して親がもらいに来る桜の枝においてやったところ、だれもいないのを見計らって、さっととりに来るようになった。手からもらって食べるのは、まだしばらくはかかりそうだ。