◇日系派遣社員の解雇急増=浜松では救済団体設立へ(ニッケイ〈日系〉新聞/08.11.22)
◇日本IBM:1000人規模、正社員削減 リストラ拡大、本格化(毎日jp/08.11.26)
◇正社員にもリストラの波 業種を問わず広がる(asahi.com/2008年11月27日)
◇日本綜合地所:学生53人の内定取消し…労働局が調査へ(毎日jp/08.11.28)
◇「解雇無効」申し立てへ いすゞ自動車の期間従業員(47NEWS/08/12/02)【共同通信】)
◇3万人リストラ 格差を広げてはならない(山陽新聞社説/2008年12月2日)
世界的な景気後退を背景に、国内の雇用が急速に悪化している。厚生労働省の調査によると、今年十月から来年三月までに企業のリストラで失業したり、失業する見通しの派遣や期間従業員などの非正規労働者が3万人を超えたことが分かった。
◇派遣 2009年問題 契約期限切れで大量失業の恐れ(YOMIURI ONLINE/08.12.2)
◇自動車 1万1000人余削減(NHK/08年12月4日)
トヨタ――3000人
日産 ――1500人
マツダ――1400人
いすず――1400人
三菱 ――1100人
ホンダ―― 270人
スズキ―― 600人
この人数で打ち止めという保証はない。
◇米次期政権、大型刺激策準備か 景気後退は長期化の観測(asahi.com/08.12.4)
◇キヤノン、大分の子会社2社で非正規従業員1100人削減へ(AFB/08.12.5)
◇キヤノン・東芝:大量人員削減 県内で1500人失業の恐れ/大分(毎日jp/08.12.5)
◇ソニー、人員削減は1万6000人以上09年度末まで(asahi.com/08.12.10)
◇日立子会社が派遣250人削減へ プラズマ部材撤退で(47NEWS/08/12/07【共同通信】)
◇村田製作所、派遣700人超を削減 3県子会社 一部ライン停止も(日本経済新聞/08.12.11)
◇製造業600人削減へ 米沢市、近く対策本部(河北新報/08.12.12)
◇トヨタ系部品メーカー、派遣9割を削減 トヨタ紡織九州(asahi.com/08.12.12)
◇シャープ、天理と三重でライン一部閉鎖=非正規労働者380人削減へ(時事通信社/08/12/12)
◇マツダ防府工場、非正規従業員200人を追加削減(YOMIURI ONLINE/08.12.13)
◇トヨタ下期赤字 販売不振と円高、通期は8割超す減益か(asahi.com/08.12.13 )
◇契約打ち切られ、生活保護申請次々 マツダの元派遣社員(asahi.com/08.12.13)
◇広島で派遣13人が生活保護申請 マツダの契約打ち切り
(47NEWS/08.12.13/12/13【共同通信】)
◇自殺志願:「派遣切り」4人、NPO先月保護10月はゼロ--福井・東尋坊(毎日jp/08.12.14)
一部を除いて派遣切りに関係する目立った記事の見出しを書き出してみた。書き漏らした記事もあるに違いない。
対して麻生内閣が失業派遣社員に対して様々な対策を講じている。社員寮を無償提供する派遣企業に補助金給付、同じく住まいを失った非正規労働者に半年で最高180万円の住宅・生活支援金を貸付ける方針(12月12日決定)、今日12月15日からハローワーク187カ所に相談窓口を設けて退職させられて住まいを失った派遣社員等の非正規労働者の相談の受付、住居の斡旋等々。
だが、どれも次の仕事の確保につながる対策とはなっていない。
全国に約1万3000室ある雇用促進住宅への入居に関しては入居条件を緩和して許可するということだが、期間は6ヵ月。
製造業の2009年問題もあって、来年に向けて非正規労働者が大量に解雇させられていくと予想されている。そういった中で、「6ヵ月」で自力で退去できる状況を生み出すことができると考えているのだろうか。新たに仕事が見つからない限り、元々住む場所がなかったのだから、屋外に投げ出すことになる。ホームレスか自殺かの選択を迫るようなものだろう。
製造業の2009年問題とは製造業での派遣労働者受入れを解禁する労働者派遣法改正が04年に成立。06年に偽装請負が社会問題化して企業の多くが請負から派遣へ切り替えたが、同一業務での派遣可能期間は最長3年で、06年から計算して多くの派遣労働者が09年に契約期間の満了を迎えることとなった。当初は戦後最長の好景気を受けて各企業とも大量に派遣社員を採用したが、景気の悪化で逆に大量解雇に向かうこととなった。必要なときには我先に採用し、必要なくなると我先に解雇する。企業の論理というやつ。
だが、使われる者はこのことを承知していなければならない。今に始まった企業の論理ではないからだ。人手に頼っていた労働が機械化(ライン化)されて人手が余り、余剰人員としてどれだけ解雇されてきただろうか。経済発展と共に各企業の経営の拡大が人員の採用を広げて働く場を提供していったが、石油ショック等の不況時期は経営自体を守るために臨時雇いやパート、期間工といった不定期労働者が先ず解雇されていった。
解雇のニュースばかりが目についていたとき、インターネットで「3年で100万人雇用創出へ」の見出しが目に入ったとき、「おお」と思った。
≪3年で100万人雇用創出へ=事業規模1兆円超-与党原案≫(「時事通信社」/2008/12/03-13:37)
<景気悪化に伴うリストラや新卒者の内定取り消しなどの増加を受けて、与党の新雇用対策プロジェクトチーム(座長・川崎二郎元厚生労働相)がまとめた雇用対策の原案が3日、明らかになった。雇用保険などを原資に事業規模は1兆円超とし、3年程度で100万人の雇用創出を目指している。
原案によると、派遣労働者を正規社員などで採用した企業に対し、労働者1人当たり最大100万円を支給。経営が悪化しても雇用を継続した企業などに支給する雇用調整助成金について、新卒内定者も対象に加えた上で、助成要件を現行の雇用保険加入「6カ月以上」から「6カ月未満」に緩和する。
また、内定を取り消された新卒者を採用した企業には特別奨励金を支給する特例措置を実施。悪質な内定取り消しをした企業名を公表する。>・・・・・・
「派遣労働者を正規社員などで採用した企業」に助成する「100万円」は非正規労働者の一ヵ月の給与を20万円とすると、適当に庭の草むしりをさせていても、企業側は5ヵ月は相殺できる金額だが、不況がさらに悪化していった場合、追いつかない「100万円」となる。
つまり、「与党の新雇用対策プロジェクトチーム」は5ヵ月で景気が回復するという確信を持っていなければ弾き出すことができない「100万円」だが、5ヵ月で景気が回復するなら、3年を待たずとも済むのだから、「3年で100万人雇用創出」の「3年で」は矛盾する期間となるし、麻生首相の言う「全治3年」とも矛盾する。
それとも5ヵ月経過したなら、失業者に対してはこの大量解雇時代に反して自分で仕事を捜せ、企業側に対しては正規に解雇してもいいというサインなのだろうか。
大体が「雇用創出」と言うからには、職を失った非正規社員に新たな職を与える政策でなければならないはずだが、「雇用創出」ではなく、“雇用維持”が目的となっている。
例え“雇用維持”が目的でも、非正規社員の解雇が企業数・人数共に増加し、加速していく中で、原案で示した内容で「3年で100万人」はちょっと大袈裟すぎるが、正規社員へ振り向ける採用形式で“雇用維持”を可能とすることができると思っているのだろうか。
それとも天下の与党なのだから、親船に乗った気持ちで任せておけば、すべてがうまくいき、雇用不安は解消されるということなのだろうか。何しろ麻生太郎を総理大臣に担ぎ出している与党なのだから。
「雇用創出」と言う場合は、どのような事業を以って雇用を創り出すのか、具体的な内容を示さなければならないはずである。政府の景気対策は全体で40兆円を投入する規模にのぼるそうだが、総事業規模約27兆円の「生活対策」だとか、同じく総事業費2兆円規模の雇用対策だとか、公的資金注入だとか、項目と金額を並べ立てただけで、具体的に何をどうするか、そのことによって雇用機会がこう創られていくという詳しいデザインがどこにも示されていない。
そんな中で民主党が「250万人の新たな雇用を生み出す『緑の内需』(日本版グリーン・ニューディール)構想の検討に着手した。」という記事にお目にかかった。
≪緑の内需」で250万人雇用創出=オバマ氏の政策参考に-民主≫(時事通信社/2008/12/11-20:30)
<民主党は11日、地球温暖化対策などへの投資を通じて250万人の新たな雇用を生み出す「緑の内需」(日本版グリーン・ニューディール)構想の検討に着手した。オバマ次期米大統領が掲げる政策を参考にしたもので、同党は「われわれこそがオバマ氏の考えに対応した政策を打ち出すことができる」と意気込んでいる。
同日は、オバマ氏の環境・エネルギー政策について、有識者を招いて勉強会を開催した。今後、党内にプロジェクトチーム(PT)を設置し、次期通常国会中の構想取りまとめを目指す。
民主党の「次の内閣」メンバーがまとめた素案では、石油依存から脱却し、自然エネルギーや次世代バイオ燃料など再生可能なエネルギー事業や、リサイクル事業への投資を拡大することを打ち出した。また、エコカーやエコハウスの導入を推進し、環境技術の研究開発などに取り組むことで、「緑の雇用」を生み出すとしている。
オバマ氏の構想は、今後10年間で1500億ドル(約15兆円)をクリーンエネルギー分野に投資し、500万人の雇用創出を目指すとの内容。同党としては、「チェンジ」を合言葉に大統領選で圧勝したオバマ氏にあやかり、政権交代の機運を盛り上げる狙いもありそうだ。(了)>・・・・・
「再生可能なエネルギー事業や、リサイクル事業」と確かに事業の種類を具体的に提示してはいるものの、何をどうするの具体的な内容にまで踏み込んでいない。今後の検討課題だと言うことなのだろうか。
契約を切られ、解雇された派遣社員等の非正規社員を大量に一挙に吸収できる雇用機会は創り出せないものだろうか。
似たようなアイデアを既に誰かが思いついて雑誌やインタネット上に発表しているかもしれないが(インターネットは一応調べてみたが、見つけることができなかった)、「平成の北海道開拓団」と言うのはどうだろうか。
場所は広大な土地さえ確保できるなら北海道でなくてもいいが、政府資金や企業にも融資を呼びかけて、東京ドーム何個分といった広大な一大開拓地を確保し、解雇された非正規社員、その他若者を募ってバイオ燃料化と飼料化を目的としたトウモロコシ、及び食用を目的とした小麦の大型機械を使った大量栽培事業に乗り出す。
トウモロコシ栽培の場合はトウモロコシだけを栽培だけではなく、それを原料としてバイオ燃料に加工・生産する工場を建て、販売、輸送まで自分たちで行う一環事業とする。小麦も栽培だけで終わらせるのではなく、小麦粉工場を建て、業務用・家庭用小麦粉までをそれぞれ生産して、販売、輸送まで行う。
販売はインターネット上に販売会社を設立して、インターネットを通して行う。
インターネットで調べたところ、日本での小麦栽培量は平成17年に875000トン、平成18年に837000トンで、食糧用・飼料用として平成17年に外国から輸入した小麦は約5倍相当の4787000トンだという。
既に広く知られていることだと思うが、2007年時点での三菱総合研究所のHPの≪小麦相場の高騰~国際相場よりさらに高い国内流通価格~(森重彰浩)≫は小麦に関して次のように解説している(図を除いて全文引用)。
<日本は、小麦の国内消費量の90%(約500万トン)を海外からの輸入に頼っている。その輸入方法は特殊だ。民間の商社が買い付けた小麦を、政府が一度全て買い取った上で、製粉業者などの国内需要者に「政府売渡価格」で売りさばく方式をとっている(*)。2007年10月、この政府売渡価格が10%引き上げられたことが、今回の一斉値上げの背景にある。
ではなぜ、小麦の輸入に政府が関与する必要があるのか。その主な目的は、国内消費量の約10%を生産する国内小麦生産者の保護である。政府は、1トン25,000円程度の国際相場で輸入小麦を買い取った上で、45,000円程度で国内需要者に売り渡し、その差益(1トンあたり20,000円程度)を国内生産者の補助に充てている。国産品と競合する輸入小麦の価格を吊り上げると同時に、そのマージンを原資に国内農家を助ける仕組みである。
ただ、上述の通り、国際小麦相場の高騰で買入価格が大幅に上昇していることなどから、農林水産省は平成19年度より、政府売渡価格を国際相場の変動に合わせて年3回改定する方針を打ち出した。とはいえ、年間固定で1トンあたり16,868円が買入価格に上乗せされることとなっており、国内需要者が、国際相場よりも高い価格で買わざるを得ない状況に変わりはない。
2008年4月には、国際相場の動向次第では、さらに40%の値上げも見込まれている。食料の安定的供給は重要な政策課題ではあるが、小麦相場の高止まりが予想される状況下で、国際相場の1.5倍近い価格で日本国内に流通させる仕組みは、家計消費への影響も考えた場合、賢明とは言えまい。小麦農家への所得補償のあり方やその財源について再考する好機ではないだろうか。
(*)民間業者が直接輸入することも可能であるが、関税が高く、政府売渡価格のほうが割安となっているため、実際にはほとんど行われていない。 >・・・・・・
開拓団の小麦とトウモロコシの大量栽培が軌道に乗れば、徐々に小麦とトウモロコシの外国からの輸入量を減らしていくことができて、日本の小麦とトウモロコシの自給率アップにつながるし、特に飼料用トウモロコシを機械化農業方式で大量生産して価格を下げれば、飼料を必要とする酪農家、肉牛飼育農家、鶏卵生産者の飼料にかかる経費を抑えることができる。
国内で小麦を大量生産して安い小麦及び小麦粉として大量販売されると、輸入小麦でないために政府は価格を上乗せできないため、既存の国内小麦生産者に打撃を与えるが、選挙の票稼ぎに少数の小麦農家を保護するために、先進国と比較してただでさえ諸物価の高い中で大多数の国民に高い小麦を買わせるのはもうやめたらいい。
小麦農家には補償金を出して転作を進めるか、北海道、その他の開拓団による小麦・トウモロコシ一大栽培地に呼び寄せ、退職して農業従事者となった非正規労働者の栽培教師とするといった救済方法を採用してはどうだろうか。
政治家が国民目線とか国民生活第一、消費者保護を言うなら、絶対多数を占める生活者の立場に立つべきである。
派遣労働者にしても、工業品の製造ラインでほんの一部の生産に携わるよりも、種植えから育成・成長・収獲、そして製品化、購入者の手元まで届ける輸送と事業の全般に関わることの方に遣り甲斐を見出せるのではないだろうか。遣り甲斐は達成感に結びつく。
このド素人の雇用機会創出は何ら役に立たない机上の空論に過ぎないだろうか。