舛添要一:政治資金流用疑惑都議会集中審議、自民鈴木都議の追及の甘さに腹の中でせせ笑っていたに違いない

2016-06-14 16:16:14 | Weblog
  
 舛添要一が自らの政治資金私的流用疑惑で6月13日午後2時半から都議会総務委員会で集中審議を受けた。質問通告のない一問一答形式で、大方が舛添要一は追いつめられるのではないと予想していたと思うが、案に相違して言葉に詰まることも、慌てて言い替えるといったこともなく、淡々と答弁を繰返していった。

 要は追及側の問題なのだろう。

 舛添本人の依頼で疑惑を調査した検事上がりの2名の弁護士の第三者調査の報告発表当日の記者会見でマスコミの記者たちの質問に対する舛添の答弁とほぼ同じ答弁を繰返させたに過ぎなかった。

 但し自らに掛けられた疑惑を晴らすことができたわけではない。疑惑には何も答えずにそれを残したまま単に言葉巧みに言い抜けたに過ぎない。

 腹の中では追及の甘さにせせら笑っていたのではないだろうか。 

 最初の質問者は自民党の鈴木隆道都議(65歳)。なかなか恰幅も顔立ちも顔艶もいい、毎日贅沢な食事をしているような立派な服装の男だったが、質問はそのような見栄えを見事裏切った。

 鈴木都議は最初に2013年と2014年いずれも正月に千葉県木更津市のホテルに家族と宿泊していながら、その宿泊代の合計37万円余りを会議費の名目で政治資金から支出していた疑惑から持ち出して、舛添がその正当性を宿泊したホテルで政治活動の一環として政治的な意味合いの会合を行っていたからだとしている点について会合の出席者名を証言させる形で疑惑解明の突破口とした。

問い質した。

 この質疑についてのみ、今回はブログで取り上げたいと思う。

 政治資金から支出した理由はいずれの宿泊でも政治活動の一環としての政治的な意味合いの会合を行っていたからだとしている。 




 問い質すについては前以て考え得る疑惑の筋書きを組み立てておかなければならない。

 一つは純粋な家族旅行の宿泊でありながら、自分の懐を傷めたくなかったから、政治資金から支払った体裁を取り、政治資金規正法収支報告書にそのように報告して、政治資金から自身の懐に補填したという筋書き。

 ところが週刊誌等によって政治資金の私的流用の疑惑をスクープされたために政治資金での支払いを正当化するために政治的会合を行っていた政治活動の宿泊だという虚構を作り上げたという追加の筋書き。

 当然、会合の相手が問題となるから、最初は事務所関係者だとする筋書きとした。

 第三者調査報告では相手が元新聞記者の出版会社社長に変わっている。この変更に第三者調査報告の記者会見では記者たちは重要視しなかったのか、舛添に問い質していない。

 あるいは報告に先立った定例記者会見等で舛添の方から、訂正があったのかもしれない。

 あるいは事務所関係者とするよりもより具体的な人物像とすることによって虚構に真実味を持たせる意図があったのかもしれない。

 どちらであったとしても、ホテルの部屋で接触していたという人物そのものは存在しない筋書きとなる。

 二つ目はホテル宿泊代を政治資金から支払うについて、その正当性の確立と万が一の露見に備えて証拠を残しておくその両方の必要性から家族旅行のホテルに実際に関係者を呼び入れて、数時間の会合を持ったという筋書き。

 会合は単なる雑談だったかもしれないし、政治的な話も交えていたのかもしれない。

 純粋に政治的な意味合いの会合を行うためにホテルを借りて、そのホテルに家族を呼び寄せて宿泊させたという三っつ目は考えられない。前二者とは逆の便乗だが、よりせこくなるし、第三者調査報告がこの構造を否定している。

 舛添は他のホテルで家族と宿泊したときも、その代金を政治資金から支払っていて、そのような場合も部屋に自身の政治活動に関係する友人を招いて会合を開いていたとする同じ行動パターンを明らかにしていることから、わざわざ友人をホテルに招いて宿泊を政治活動の一環と見せかける小細工を常套手段としているのではないかといった趣旨のことを1週間程の前のブログに書いたが、テレビ番組で13日の集中審議を視聴していて、誰も招いていない、政治的な意味合いの会合もなかった、全て疑惑報道後に作り上げた虚構もあり得ることに気づいた。

 一つ目として示した疑惑の筋書きである。

 前者・後者、いずれの筋書きも可能性としては考えられることなのだから、両方の筋立てに添って追及するのが最善の質問に思える。

 但し前者の筋書きで、実際は会合など行われていなかったのではないのか、疑惑報道が持ち上がったことから、政治資金で宿泊代を支出した事実を隠すために会合をデッチ上げ、会合への参加者が必要となったために最初は事務所関係者としていたが、より確認のしようのない死人に口なしの既に死亡した人物を参加者に仕立てたフィクションではないか、だから名前を言えないのではないのかと追及したとしても、舛添は会合も参加者も事実ですと答えるだろうが、では会合参加者の名前を明かすことがそれらを事実とすることのできる唯一の証明となるのだから、名前を明かせと迫ることができる。
 鈴木隆道都議がどのような筋立てを組み立ていたのかはその質問の内容によって判断されることになる。

 発言は6月13日日テレ放送の「情報ライブ ミヤネ屋」の集中審議実況中継から文字に起こした。
 
 鈴木都議「知事、これまで代表質問、一般質問、さらには記者会見を含めると一体どれだけの時間を費やされているかご存じですか。実に延べ13時間ですよ。これだけ時間を費やしているのに、都民の皆さんも、私と誰一人として知事の言葉に納得していませんよ。説明責任が果たされているとは誰も思っていません。むしろ知事のリーダーシップ、政治家としての資質を疑う声が日増しに大きくなっておるんです。都庁に来る苦情の電話も、私達都議に来る抗議のメールも増えることはあっても減ることはありません。知事、みんな怒っているんですよ。そのことを十分分かっておられますか。
 今このような状況で中で知事と共に都政に責任を持つ都議会自民党が求めているのは二つであります。一つは知事自身がご自分の言葉で説明責任をきっちりと果たすこと、もう一つは説明責任を果たした上で自らの身の処し方、けじめをつけて頂くことであります。

 議会の質疑に於いて弁護士の調査結果を利用して自分の言葉で説明する責任から逃れることは許されません。今日の総務委員会の場が知事自身が説明できる最後の機会になるかもしれません。

 知事にとって貴重な場になるはずです。それでは伺います。通り一遍の原稿読みも形だけの謝罪ももう沢山であります。この委員会での質疑は都民のみなさんにとって納得のいくものになるように真摯に明確にお答え頂けくことををお約束頂けますか。お答え願います」

 舛添要一「しっかりと私の言葉でお答えをしたいと思います」

 鈴木都議「先ずは千葉市のホテルの面談の相手であります。具体的な話を聞きますが、多くの疑惑の中でも、我々だけではなく、都民や多くの国民が一番疑問だと考えているのが千葉県木更津市のホテルで行われたという会議であります。

 そこで先ず問題となっているこのホテルの調査についてはどのような調査を受けたのか、知事に明確に説明を頂きたいと思います」

 舛添要一「元検事の弁護士の先生方から2日間に亘って約10時間のヒアリングを受けました。そして面談、ないし会談の中身、そして相手の名前について問い質されました」

 鈴木都議「第三者の報告では、付き合いが長く、かねてより相談相手としていた出版会社社長を客室に招き、相談を行ったとされています。では、その出版会社社長とは一体何者なのか。

 この点に注目が集まっています。昨日のとある報道では競馬雑誌の社長の可能性がある、その方は既に亡くなっていると報じられました。疑念は深まる一方であります。

 今こそその疑念を晴らすことが多くの疑惑解明の出発点であろうと考えます。知事は先の我が党の代表質問に於いて、『先方の立場もあることから、お答えできない』、その旨の答弁をしました。しかも我が党が行った異例の再質問にも答えておりません。

 疚しいことがないのであれば、誰と会ったのかをその事実をここで明らかにしたらどうですか。答弁を求めます」

 舛添要一「私は政治家として、そしてまた国会議員として、閣僚として、色んな政治の場で仕事をしてまいりました。そして当然、公式な会合もありますけれども、様々な政界関係者、財界関係者、マスコミの方々、そういう方々と非公式の会合も重ねて参りました。

 そしてそういう非公式の会合につきましてやはり政治の機微に関わって外には出せない。そして政治家としての私の信義という観点から、それは外に出せない、そういうことはたくさんあります。

 私は今日は列席の先生方も政治家の皆さん方でありますから、そこのところはご理解して頂けるものと思いますので、そういう観点から、私はその方のお名前を明らかにすることはご容赦願えれば思います」

 鈴木都議「知事、もういい加減にしましょうよ。ご託を並べても都民・国民が納得するわけないじゃないですか。ましてや、知事、今のあなたの政治家の信義という言葉がふさわしくない政治家はいないですよ。

 相手方に聞いてみて、迷惑がかからないということであれば、氏名を明らかにしたっていいじゃないですか。多くの都民・国民が注目しています。あなたの誠意ある答弁を求めます。以上お答えください」

 舛添要一「私は自ら今、政治家としての信義ということを申し上げました。私がその判断したわけであります」

 鈴木都議「それでは他にも公用車の使用で問題となっているN響や東京ドームに於ける政務の相手方についても言えないということですか。知事、如何でしょうか」

 舛添要一「私は先程申し上げましたような理由によりまして政治家としての信義、これから政治家として仕事をやっていく、そういう意味で私の判断として、これは申し上げられない、そういうことでございますので、ご理解頂ければと思います」

 鈴木都議「知事、元検事の調査に対して名前を述べたが、しかし都議会では明らかにできない。これは政治家としての信義の問題だと言われる。それならば都議会に対する信義はどうやって果たすんですか。

 仮に都議会に対する信義を果たしたいと政治家としての僅かな矜持を持つのであるなら、少なくとも千葉県のホテルの領収書の明細ぐらいは出したら如何ですか。

 領収書には明細分と領収書の部分が1枚の紙であるのに、なぜ領収書の部分しか出さなかったんですか。公私混同が分かってしまうから、切り離したんだという声もありますが、知事どうですか。答えてください」

 舛添要一「あの、私自身がその明細が付いていたかどうかは記憶にございません。しかし領収書を添付することが政治資金の報告書に義務付けられておりますから、それはそこに添付しました。

 但しそこには但し書きの欄がございませんでした。そういうところはしっかりと今後是正していかなければいけないと思っております。そして明細書につきましては今ご指摘がございましたんで、もし再発行して頂けるなら、ホテルで、早速その要求をするように指示したいと思います」.

 鈴木都議「確認しますが、ホテルに確認して再発行すると、いうことを、指示を出すと、いうことで今発言をしたと理解してよろしいですか」

 舛添要一「この時間、この議論の休憩時間にも、できるだけ早い時間に指示を出したいと思っております」

 鈴木都議は喫茶店で1人600円・30人分で1万8000円の政治活動費からの支出についての追及に移る。

 鈴木都議の疑惑についての筋立ては私が二つ挙げた後者であって、その筋立てに添って、あくまでも家族が宿泊したホテルで政治的な意味合いの会合が開かれていて、参加者の名前を明らかにさせることに重点を置いた追及となっていた。

 対して舛添の方は第三者調査の報告が政治資金で宿泊代を支払ったいずれのホテルの宿泊も、「全体として主たる目的は家族旅行」と見做し、いわば「全体として」だから、そこで政治的な意味合いを持つ会合が行われていた事実を既に認定しているから、「不適切と指摘を受けた点は改めて参りたい」と単なる不適切行為に位置づけて、今まで記者会見やらで使ってきた発言を再度使って、「政治の機微に関わるだ」、「政治家としての信義の問題だ」と言って、名前を明かすことはしなかった。

 明らかに主たる目的は家族旅行であり、ホテル宿泊代は私的な支払いでなければならないのにそれを政治資金で支払った疑惑が疑われていながら、この件に関しての鈴木都議の追及は今までどおりの発言で片付けさせる中途半端な歯がゆい仕上がりで、そのために舛添を無傷としてしまった。

 もし政治資金で支払った家族旅行のホテル宿泊代の全てが純粋に家族旅行でありながら、私的流用の疑惑を報道されて、政治資金からの支出を正当化するためにデッチ上げたホテルの一室での政治的意味合いの会合ではないのか、参加者など存在しなかったのではないのかと追及したら、どうなったろう。

 既に触れたように舛添は勿論否定する。

 だとしても、そのように追及することによって舛添を益々疑惑の政治家に追いつめることはできる。

 どうも鈴木都議の追及の甘さに舛添が腹の中でせせら笑っていたように思えて仕方がない。

 鈴木都議とは比べものにならない程にも強(したた)か、あるいは曲者だということなのだろう。

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