小沢一郎氏提唱の参院選野党統一名簿に拒否感の岡田民進党代表は情報社会に生きていることを忘れている

2016-06-03 11:09:30 | 政治

 「生活の党と山本太郎となかまたち」小沢一郎共同代表が提唱している複数の野党が比例代表の統一名簿を作って参院選を戦う「オリーブの木」構想を民進党に働きかけているが、難航しているとマスコミが伝えている。

 夏の参議院選挙の比例代表で野党同士の競合を避けるための構想だそうだ。

 5月23日夕方、小沢氏と岡田民進党代表が都内で会談、野党の統一名簿構想や、その他の案件を巡って意見を交換したという。

 その成果たるや如何にだが、小沢氏は岡田代表の慎重な姿勢を崩すことができなかったようだ。

 小沢氏は翌日5月24日の記者会見で、「あなたが決断すれば、今日でも明日でもできると言ったが、返事らしき返事はなかった」と不満げに語ったと「YOMIURI ONLINE」がその不首尾を伝えていた。

 記事は、〈構想が実現すれば、政権批判の受け皿を一本化でき、生活のような小政党が単独で戦うよりも有利とされるが、民進党は既に不参加の方針を決めている。政権与党だった前身の民主党時代に党内をかき乱した小沢氏に対する「アレルギー」が強く残っているためだ。〉と解説している。

 小沢氏が民主党を掻き乱したと、その混乱と政権喪失の罪を着せているが、濡れ衣も甚だしい。混乱を作り出した原因は菅無能と野田と岡田といった当時の民主党執行部である。

 マニフェストに書いてない消費税増税に走った。小沢氏はそのことに強硬に反対し、最終的には消費税増税反対を貫くために党を出ざるを得なかった。

 このことは2014年11月18日の消費税の8%から10%への2017年4月増税の2017年4月への最初の延期と衆議院の解散を伝える安倍晋三の記者会見質疑応答での発言が皮肉にも証言してくれる。  

 安倍晋三「ではなぜ2年前民主党が大敗したのか。それは、マニフェストに書いていない消費税引き上げを国民の信を問うことなく行ったからであります」

 民主党野田首相は衆議院を解散するか任期満了を待ってから、マニフェストに消費税増税を謳い、総選挙で消費税増税の信を国民に問うべきだった。

 自民党も消費税増税を掲げていたのだから、例え敗れるにしても、あれ程の大敗を喫することはなかったろう。

 民主党は消費税増税に成功したものの、当時のマニフェストに書いてない消費税増税という誤った判断の罪を大敗の屈辱、政権を失った屈辱と共に現在も背負わされ続けている。

 ところが菅無能しろ野田にしろ、岡田にしろ、自分たちが間違っていたとは今以て気づかず、すべての罪を小沢氏に被(かぶ)せている。経歴を維持するためにはその方が精神的に落ち着きがいいからだろう。

 少なくとも岡田代表は執行部にとどまるためには自己批判はできない。政権まで失っているのだから、自己批判は執行部という地位と交換でなければ、できない。

 小沢氏は記者会見で「最後まで『オリーブの木』構想を捨てない。公認はぎりぎりで良い」と、なおも諦めない考えを強調したと上記記事は伝えている。

 ところが5月末になって民進党側から統一名簿づくりに向けて動きを見せたようだ。各種世論調査で民進党の支持率は伸び悩んでいるため、参院選での野党拡大には統一名簿が有効とみて方針を転換したと「時事通信」は伝えている。

 但し統一名簿を届け出る政治団体名に関して意見の食い違いが出ていると言う。

 岡田代表は「民進党・市民連合」を望み、社民党側は「民進・社民・生活・市民連合」。

 と言うことは、岡田代表は長い名前を削いで簡潔な名前を望んでいると同時にあくまでも民進党が主体であることを前面に出すことを欲していることになる。

 ところが総務省に問い合わせたところ、既存政党と類似している場合は認められない可能性が高いことが分かったという。

 つまり「民進党」も「民進」も使うことができない。

 小沢氏が「民主国民連合でどうか」と再検討を促したが、岡田氏から前向きな返答はなかったと言う。

 記事は、〈岡田氏は、野党勢力の拡大に向け統一名簿の有効性は認めたが、「民進」の党名への拘りを捨てられなかった格好。社民、生活両党は民進党抜きでも構想実現を目指す構えだ。〉と解説している。

 その結果だろう、5月31日、社民、生活両党党首が東京都内で会談して参院選比例区で「統一名簿」をつくることで合意したとマスコミは伝えている。

 肝心の民進党抜きで見切り発車したようだ。勿論、民進党があとから参加する可能性は否定できない。

 岡田代表は民主党と維新の党との合流時も「民主党」という名前に拘った。今度は「民進」という党名に拘りを見せている。

 一旦名前をつけると、その名を全ての拠り所とする。名刺の名前や肩書がそれを手渡した人間の全てを表すわけではないのに、活字でしかないその名前や肩書を自身の全てを表現する拠り所にしようと試みるのと同じである。

 確かに初対面の人間に名刺を渡した場合、名刺の名前や肩書が初期的には自身を表現する拠り所の主たる一つとなるが、顔の表情や態度・物腰も同時に自己を表現している。そして初対面が職業上の関係や個人的な関係へと発展していった場合、生い立ちや学歴、もし持っていたなら政治的思想や社会的思想等々の相手が知り、蓄積することになるそれらの情報が自己の全てではないにしても、ほぼ全体像を表現する手段となっていく。

 いわば名前や肩書の裏には活動歴や生きてきた歴史の積み重ねが情報として蓄積されていて、それらの情報そのものが名前や肩書を糸口として、その人間を表現していくことになる。

 だから、当たり前のことだが、国民がかつての「民主党」という名前を見たり聞いたりして下す評価は名前そのものの評価ではなく、民主党という名前の背後にある政権時に政治活動を通して発信し、蓄積していった情報に基づいた評価であって、名前に拘ること自体意味はない。

 民主党時代のそのような情報がついて回っているから、なかなか政党支持率が上がらない。

 政党支持率を上げるにはそれらの情報を書き換える新たな情報を蓄積しない限り無理だろう。

 時事通信が4月8~11日実施の世論調査は合流した民進党の政党支持率は4.2%。対して自民党は23.9%。

 3月実施の世論調査では旧民主5.6%+旧維新0.4%=計6.0%だったと言うから、これよりも1.8ポイント下回ったことになり、新党効果を何も出すことができなかった。

 消費税増税再延期を見越した共同通信社5月28、29両日実施の世論調査での政党支持率を見てみる。

 自民党44・4%(前回比+7・2ポイント)
 民進党 8・7%(前回比-0・5ポイント)

 一旦蓄積した情報を新たに書き換えるには長い時間がかかる。統一名簿を作っても、かつての民主党が過去に発信した情報はついてまわるかもしれない。

 だとしても、名前だけに拘っていても意味はないし、何もしないのは情報社会に手をこまねいていることになるし、特に岡田氏が野党勢力の拡大に統一名簿の有効性を認めているなら、情報社会を逆手に取り、過去の情報がついてまわることを覚悟の上で統一名簿を作って新たな情報として国民に提供するのも一つの手である。

 いわば例え過去の情報がついて回ったとしても、その情報を書き換えていくためにも新たな情報を一つ一つ積み重ねしていって国民の情報の中にかつてのままの姿を維持している民主党を生まれ変わらせる、その新たな情報の一つとして統一名簿を提供する。

 そのような意図と決意を持たせた統一名簿作りであることの情報を国民に発信したなら、何もしないよりも何かしら生きてくるものがあるはずだ。

 マスコミに対しての新たな情報提供源ともなる。マスコミが満足に報道しないような情報なら、どう選挙を戦っても勝つことはできない。報道するように仕向ける努力が統一名簿作り後に待ち構えている。

 公約も街頭演説も政治活動も情報として集約され、過去の情報の影響を受けた取捨選択を経て次なる情報として蓄積されていく。ゆくゆくはその背後に蓄積されていく情報の中身が最重要だが、初期的には中身の取っ掛かりとしての政治団体名が大きく影響する。小沢氏提案の「民主国民連合」はちょっと硬過ぎる。もっと柔らかい名称の方がいいのではないのだろうか。

 情報社会に折角生きているのである。情報を自己存在証明(=党としての評価)に如何に活用するかである。

 これは冗談だが、日本を新たに建設していくという意味で、明石家さんまのギャグ、「建築関係トントン」をもじって、「日本建設関係トントン」が頭に浮かんだ。

   
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