安倍晋三の対北朝鮮日米合同軍事演習で軍事的圧力をかけながら、朝鮮有事を言わない偉大な詐欺

2017-11-12 12:03:17 | 政治

 日米合同軍事演習、米韓合同軍事演習が繰返されている。2017年に入ってからの主なところを拾ってみると、陸上自衛隊と米海兵隊が3月6日から17日まで、群馬県の陸自相馬原(そうまがはら)駐屯地で合同軍事訓練が行われて、沖縄米軍普天間飛行場所属のオスプレイ6機が参加している。

 2017年4月23日から海上自衛隊の護衛艦2隻と朝鮮半島に向かう米海軍の原子力空母「カール・ビンソン」を中心とする打撃群の合同演習が西太平洋の海域で開始している。

 2017年6月13日~16日、海上自衛隊ヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」と護衛艦「さざなみ」が米海軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」と南シナ海で合同演習を行っている。

 2017年7月30日、米空軍は戦略爆撃機B1Bを2機、九州や朝鮮半島に展開させ、航空自衛隊と日米合同軍事演習、米韓と合同軍事演習を行っている。

 外相の岸田文雄は7月30日、「5月26日の日米首脳会談で一致した北朝鮮の脅威を抑止する具体的行動の一環だ」(毎日新聞)と述べている。

 5月26日の日米首脳会談はイタリア・タオルミーナにて開催された5月26日、27日のG7首脳会談に合わせて行われている。そのとき既に、あるいはもっと前からかもしれないが、安倍晋三とトランプはそれまでの国連安保理制裁決議に従った金融・経済その他の圧力だけではなく、日米合同軍事演習を通して日米一致して北朝鮮に対して軍事的圧力をかけることで意思を統一させていたことになる。

 日本政府は「北朝鮮の脅威を抑止する」とか、「対北朝鮮牽制」、「北朝鮮の挑発的な行動を抑止」とか日米合同軍事演習の目的を理由づけているが、これらいずれも米軍単独の軍事演習、あるいは日米合同軍事演習、さらに米韓合同軍事演習にしてもそうだが、それぞれの軍事演習を用いた軍事的威圧性が可能とする軍事的圧力となって現れる。

 いわば日米合同軍事演習を行うこと自体が北朝鮮に対する軍事的圧力となって向かうことになる。

 2017年8月に入って8月10日から8月28日まで北海道大演習場(恵庭市など)を中心に陸上自衛隊と米海兵隊の合同軍事演習が行われている。この演習では普天間所属のオスプレイ2機が初めて夜間訓練に参加している。

 8月31日には航空自衛隊が九州周辺の空域で米軍との合同軍事演習を実施している。空自新田原基地(宮崎県)のF15戦闘機2機と米領グアムから飛来させた米空軍B1爆撃機2機、その他米海兵隊岩国基地(山口県)所属の最新鋭ステルス戦闘機F35の4機が参加

 9月に入って8日、東シナ海上空を含めた九州周辺の空域で8月31日に行ったのと同様の演習を行っている。マスコミは大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射に踏み切った北朝鮮を牽制する狙いだと伝えている。いわば軍事的圧力を目的としていた。

 9月8日から25日にかけて御殿場市、裾野市、小山町にまたがる東富士演習場で市街地戦を想定した米軍約800人、自衛隊約1200人参加の日米合同軍事演習が行われている。

 これは朝鮮半島有事を想定した陸上演習であろう。

 2017年9月11日から9月28日まで、海自の大型護衛艦「いせ」などの護衛艦が米軍原子力空母「ロナルド・レーガン」と沖縄周辺の太平洋上で日米合同軍事演習を行っている。この演習後、「ロナルド・レーガン」は米韓合同軍事演習に参加している。

 2017年10月10日夜、航空自衛隊はF15戦闘機2機と米空軍B1戦略爆撃機2機参加の九州周辺空域での合同軍事演習を実施している。

 11月11日、日本側は海上自衛隊の護衛艦3隻や航空自衛隊が参加、アメリカ側は原子力空母「ロナルド・レーガン」と「セオドア・ルーズベルト」、「ニミッツ」の3隻参加の西太平洋地域での日米合同軍事演習が4日間の日程で開始されている。

 この演習後、米海軍は米韓合同軍事演習を行う予定となっている。

 日米合同軍事演習、あるいは米韓合同軍事演習が対北朝鮮牽制の軍事的圧力であると同時に牽制のつもりの軍事的圧力が有事を誘発しない保証はないのだから、朝鮮半島有事をも想定に入れた対北朝鮮軍事的圧力である以上、岸田文雄が日米合同軍事演習を「日米首脳会談で一致した北朝鮮の脅威を抑止する具体的行動の一環だ」と話していたことからも理解できるように安倍晋三の対北朝鮮圧力政策には軍事的圧力も加えていることになる。

 にも関わらず2017年9月25日の解散記者会見では、「圧力の強化は北朝鮮を暴発させる危険があり、方針転換して対話をすべきではないかという意見もあります。世界中の誰も紛争などを望んではいません。しかし、ただ対話のための対話には、意味はありません」と自身の対北朝鮮圧力政策に自ずと一枚加えていることになる北朝鮮に対する軍事的圧力が北朝鮮の軍事的暴発も朝鮮半島有事も誘発しないかのような発言をしている。

 2017年11月6日のトランプとの首脳会談後の「日米共同記者会見」産経ニュース)でも同趣旨の発言をしている。    

 記者「北朝鮮との偶発的な軍事衝突を避けるためにどのような対応が必要と考えるか」

 安倍晋三「誰も紛争などを望んではいません。私もトランプ大統領もそうです。しかし、北朝鮮は国際秩序に挑戦し、挑発を繰り返している。この北朝鮮に対し、国際社会が連携しながら、その政策を変えさせるために圧力をかけていく。北朝鮮側から『政策を変えるから話し合いたい』という状況を作っていくことが極めて重要だと考えています。そうした考え方についてはトランプ大統領と完全に一致をしたところであり、多くの国々とも一致できているのではないかと思っています」

 自身の対北朝鮮圧力政策が北朝鮮の暴発も朝鮮半島有事を誘発することなく、「北朝鮮側から『政策を変えるから話し合いたい』という状況」に向けることができる唯一の方策であるかのように話している。

 ところが防衛省の小野寺五典は朝鮮半島有事を想定した発言をしている。11月7日のBS日テレの「深層NEWS」

 小野寺五典(朝鮮半島有事が起きた際の在韓邦人の保護・退避に関して)「(米国と)常日頃から準備している。

 (韓国との協議については)具体的なところはできていない。韓国が非常にデリケートなのは理解できる」(YOMIURI ONLINE)      

 防衛大臣の小野寺五典が朝鮮半島有事に備えた姿勢でいるのに対して内閣の長である安倍晋三が日米合同軍事演習が北朝鮮に対する軍事的圧力の役割を担っているにも関わらず、軍事的圧力の反動としての北朝鮮の軍事的暴発や朝鮮半島有事についての言及がない。

 副総理兼財務相の麻生太郎が2017年9月23日の宇都宮市内での講演で朝鮮半島から大量の難民が日本に押し寄せる可能性に触れた上で、「武装難民かもしれない。警察で対応するのか。自衛隊、防衛出動か。射殺ですか。真剣に考えなければならない」と話したのは朝鮮半島有事を前提とした発言でなければならない。

 麻生太郎は2017年10月14日の岐阜県羽島市の街頭演説でも「大量の難民が来ることを覚悟しなきゃならない。その人たちは不法難民。武器を携帯してるかもしれない。テロになるかもしれない。その時に我々はきちんと対応できる政府を持っておかねばならん」ハンギョレ/2017.10.20 07:12)と同じ趣旨の発言をしている。  

 朝鮮半島有事に対処できるのは自公政権のみであるかのように朝鮮半島有事をおどろおどろしく利用しているが、国連安保理決議に基づいた制裁という対北朝鮮圧力も日本独自の制裁がもたらすことになる対北朝鮮圧力も日米合同軍事演習が生み出す対北朝鮮軍事的圧力もそれぞれが一枚噛むことになる朝鮮半島有事と理解していなければならない。

 自民党元幹事長石破茂も11月9日の派閥会合で朝鮮半島有事に於ける韓国在留邦人の保護には自衛隊が当たるべきだとの認識を示したと2017年11月9日付の「産経ニュース」が伝えている。
   
 石破茂「自衛隊本来の責務は自国民の保護だ。それを米国に委ねるというのは独立国家としてどうか」

 これは小野寺五典の在韓邦人の保護・退避に関しては「(米国と)常日頃から準備している」との発言に対する反論ではあるが、朝鮮半島有事を前提とした発言であると同時に日本の北朝鮮に対する日米合同軍事演習を用いた軍事的圧力を含めた様々な圧力が一枚噛むことになることも前以っての危機管理として置かなければならない。

 但し記事は〈国では、自衛隊の艦船などを国内に受け入れることへの抵抗感が強く、自衛隊の活用に難色を示す可能性がある。〉と解説している。日本が戦前韓国を併合、植民地としたことが影響している。

 結果は常に原因を伴う。北朝鮮のミサイル開発・核開発→国連安保理制裁決議→日米あるいは韓米合同軍事演習→北朝鮮の暴発、あるいは朝鮮半島有事という原因と結果。

 勿論、経済制裁や軍事的圧力を原因として北朝鮮のミサイル開発・核開発放棄を結果とする原因と結果の形も可能性としてあるが、この可能性が他の可能性を絶対的に排除する保証はない。

 アメリカが北朝鮮を軍事攻撃することになるのか、制裁によって北朝鮮が国家として立ちゆくことができなくなって北朝鮮の方から軍事的に暴発するのか分からないが、安倍晋三自身が立場上、可能性として想定しなければならない、自身の対北朝鮮圧力政策も一枚噛むことになる朝鮮半島有事について一国のリーダーとして何ら国民に説明責任を果たさないのは単なる無責任と言うことだけではなく、果たさないことによって選挙を有利に戦い、大きな勝利を得たのだから、無責任以上の偉大な詐欺である。
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