安倍晋三の「徴用工」問題報復の、安全保障を理由とした韓国「ホワイト国」除外は余りにも陰湿・無責任

2019-08-05 12:01:00 | 政治
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 日本の首相安倍晋三センセイが加計学園獣医学部認可に首相としての権限を私的に行使し、私的に行政上の便宜を図る形で政治的に関与し、私的便宜を与えたとされている疑惑を国会答弁や記者会見から政治関与クロと見る理由を挙げていく。自信を持って一読をお勧め致します。読めば直ちに政治関与クロだなと納得できます。よろしくお願いします。

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 安倍政権は西暦2019年7月4日、半導体の原材料等3品目の対韓国輸出管理強化措置を発動、続いて西暦2019年8月2日に輸出管理優遇対象国、いわゆる「ホワイト国」からの韓国除外政令改正を閣議決定、改正を経て、8月28日から除外が発動されることになった。

 具体的に「ホワイト国」とはどのような国を指すのか見てみる。文飾当方。

 「経産省」

▼Q1:質問
ホワイト国の「ホワイト」とはどういう意味ですか。

▲A1:回答

大量破壊兵器等に関する条約に加盟し、輸出管理レジームに全て参加し、キャッチオール制度(外国為替及び外国貿易法を根拠として2002年4月に導入された、日本における安全保障貿易管理の枠組みの中で、大量破壊兵器及び通常兵器の開発等に使われる可能性のある貨物の輸出や技術の提供行為などを行う際、経済産業大臣への届け出およびその許可を受けることを義務付けた制度「Wikipedia」)を導入している国については、これらの国から大量破壊兵器の拡散が行われるおそれがないことが明白であり、俗称でホワイト国と呼んでいます。正式には、「輸出貿易管理令別表第3に掲げる地域」です。具体的には、アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、 大韓民国、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、アメリカの合計27ヶ国です。

▼Q2:質問
別表第3に掲げる地域(いわゆるホワイト国)向けの輸出であれば、本規制の対象外になるのですか。

▲A2:回答

ホワイト国を最終仕向地とする輸出については規制対象外となります(ホワイト国を経由し、非ホワイト国を最終仕向地とする輸出については規制対象です)。

 要するに日本からの輸入した軍事転用可能な物品や技術が輸入当該国を経て第三国に輸出、あるいは流出して大量破壊兵器製造に利用されることもなく、そのような兵器拡散の恐れを持たずに済む、貿易管理が厳格な国と言うことになる。

 この「ホワイト国」から韓国を除外したということは韓国向けに日本から輸出された軍事転用可能な物品や技術が韓国から、当然北朝鮮に何らかの形で流出した具体的な事例を把握したことが原因したことになる。単なる流出の疑いだけで除外することはできないはずだ。

 マスコミの大方の伝え方も、政府の韓国に対する半導体の原材料等輸出管理強化は軍事転用可能な日本輸出の原材料であるのに対して韓国側に貿易管理の上で不適切な事例が複数見つかったことが主な理由としていて、日本の安全保障上、必要な措置だとなっている。

 この貿易管理上の複数の不適切な事例とは韓国から北朝鮮側への流出を指すことになる。

 だが、関係閣僚はこの点について誰も具体的かつ詳細には言及をしていない。つまりどのような原材料がどのような経路を取って北朝鮮に渡っているのか、誰も説明していない。逆に韓国から北朝鮮への流出を否定している。

 最初の半導体原材料等3品目の対韓国輸出管理強化措置発動後の2019年7月16日の閣議後の「記者会見」(経産省/2019年7月16日)で経済産業相世耕弘成は次のように発言している。(一部抜粋)

 世耕弘成「今回の対象となった3品目に関する輸出管理の運用見直しに関連する不適切事案は、韓国から第三国への具体的な輸出案件を念頭に置いたものではありませんし、今までもそういう説明は全く行ってきていないわけであります。一度も我々はそんなことを申し上げたことはないわけであります。プレスの皆さんに対しても申し上げたことはありません。

 その上で、これら製品分野については、日本が主要な供給国として国際社会に対して適切な管理責任を果たす必要があるということ、そして、この製品分野は、特に輸出先から短期間・短納期での発注が繰り返される慣行があるということ、そして、現に不適切な事案が発生をしているということなどから、我々は運用の見直しをすることになったというものでありまして、この運用見直しが何か不当であるというような指摘は全く当たらないというふうに思っています」  

 記者「韓国の文大統領は、昨日、改めて今回の措置について、重大な挑戦であるとか、国際機関の場で検証すべきということを改めて言っていますけれども、これに関してはいかがでしょうか」

 世耕弘成「先ず大統領のおっしゃっていることに、私、大臣の立場で一々反論はいたしませんけれども、2点指摘をさせていただきますと、先ず日本としては当初から、今回の見直しは、安全保障を目的に輸出管理を適切に実施する観点から、運用を見直すものであるということを明確に申し上げています。(徴用工問題の)対抗措置ではないということも、最初から一貫して説明をしてきているわけでありまして、昨日の文大統領の御発言にあるような指摘は、まず全く当たらないということを申し上げておきたいというふうに思います」――

 「韓国から第三国への具体的な輸出案件を念頭に置いた」「不適切事案」でないにも関わらず、「現に不適切な事案が発生をしている」と言うことなら、その発生している「不適切な事案」が何を指すのかの具体的かつ詳細な説明を韓国のみならず、日本国民にもすべきだが、何ら説明もせずに、韓国の「ホワイト国」からの除外を「日本が主要な供給国として国際社会に対して適切な管理責任を果たす必要がある」と言うだけ、「安全保障を目的に輸出管理を適切に実施する観点から、運用を見直すもの」と言うだけで終わらせている。

 要するに原因となる「不適切な事案の発生」を曖昧なままにして「ホワイト国からの除外」という結果だけを突出させ、安全保障の観点からだとか、輸出管理の適切な実施の観点からだと曖昧な理由を掲げているにに過ぎない。説明責任の体裁を為していないにも関わらず、記者会見でございますと気取っている。

 この曖昧さは2019年7月7日の安倍晋三のフジテレビ番組発言に象徴的に現れている。「産経ニュース」(2019.7.7 17:50)

 安倍晋三「韓国はちゃんと(対北朝鮮経済)制裁を守っている、ちゃんと貿易管理をしていると言っているが、徴用工問題で国際約束を守らないことが明確になった。貿易管理でも守れないだろうと思うのは当然だ。

 (輸出管理規制強化は)徴用工問題の対抗措置ではない。彼ら(韓国)が言っていることが信頼できないのでこの措置を打った」

 韓国側の貿易管理の具体的な違反の説明がないままに、「徴用工問題で国際約束を守らないことが明確になった。貿易管理でも守れないだろうと思うのは当然だ」という単なる類推だけで韓国は信用できないから、西暦2019年7月4日に半導体の原材料等3品目の対韓国輸出管理強化措置を発動したことになる。

 あるいは徴用工問題で「彼ら(韓国)が言っていることが信頼できない」ことを具体的証拠もなしに貿易管理にまで広げて信頼のできないこととしている。

 そして西暦2019年8月2日になって、輸出管理優遇対象国、いわゆる「ホワイト国」からの韓国除外政令改正を閣議決定した。

 国と国との関係をこのような曖昧な理由で決定する。曖昧さを通り越して余りにも陰湿で、余りにも無責任な安倍晋三の対韓国輸出規制強化の決定となっている。安倍晋三のこの陰湿・無責任さは上記世耕弘成の2019年7月16日閣議後記者会見での韓国の「ホワイト国」からの除外の理由の曖昧さを100%も200パーセントも納得させることになる。

 このように陰湿で無責任な決定だから、「ホワイト国」からの韓国除外を曖昧にしか理由づけすることができない。

 安倍晋三は対韓国輸出管理規制強化は徴用工問題の対抗措置ではないと宣っているが、「徴用工問題で国際約束を守らないことが明確になった。貿易管理でも守れないだろうと思うのは当然だ」との発言自体に韓国に対する輸出管理強化が徴用工問題の報復措置であることの意味を含んでいる。そうでなければ、徴用工問題に関わる対韓国不信頼を貿易管理に関わる対韓国不信頼に飛躍させることはないからだ。それが陰湿で無責任な飛躍に過ぎないから、「ホワイト国」除外に関して具体的かつ詳細な説明ができないという結果を生む。

 安倍晋三を筆頭に政権閣僚は口を揃えて対韓国輸出管理規制強化は徴用工問題の報復ではないと言っているが、世耕弘成は2019年7月3日の自身のツイッターで、韓国への輸出管理上の措置に至る経緯を説明して中で2019年7月16日の閣議後記者会見同様、韓国側の輸出管理に関して具体的詳細な説明もないままに「不適切事案も複数発生していた」こと、「旧朝鮮半島出身労働者問題については、G20までに満足する解決策が示されず、関係省庁で相談した結果、信頼関係が著しく損なわれたと言わざるを得ない」ことを韓国への輸出管理上の措置に至る経緯の一つに入れている。

 要するに韓国側が旧朝鮮半島出身労働者問題に関して日本側に満足する解決策が示されなかったことが輸出管理規制強化に至る理由の一つとして掲げている。当然、他の理由に関して具体的詳細な説明がなされていない以上、徴用工問題が主たる理由となる。このことの報復だと世耕自らの口で暴露した。

 外相の河野太郎も西暦2019年8月1日に日韓外相会談がタイで行われたあとで徴用工問題の報復だと口にしている。「NHK NEWS WEB」(2019年8月2日 5時03分)

 河野太郎「今の日韓両国の問題は、ひとえに旧朝鮮半島出身労働者に関する判決で、韓国が国際法違反の状況を作り出していることにある」

 韓国を「ホワイト国」から除外する政令改正の閣議決定は7月末からマスコミによって報道されていた。当然、河野太郎は閣僚の一人として閣議決定の前日であっても、韓国の除外を承知していたはずだ。「今の日韓両国の問題」は韓国の「ホワイト国」からの除外も含めていることになる。だが、関係悪化の大本の原因に徴用工問題を置いている。そして「ホワイト国」からの除外に関わる具体的詳細な説明がない。徴用工問題の報復だとすることによって「ホワイト国」からの除外に関わる具体的詳細な説明ができないことに整合性を与えることができる。

 外務省は2019年7月29日になって1965(昭和40)年に締結された日韓請求権協定の交渉過程で韓国政府が日本側に示した「対日請求要綱」と請求に関わる「交渉議事録」を公表した。「産経ニュース」(2019.7.29 20:56)

 〈対日請求要綱は8項目で構成され、その中に「被徴用韓人の未収金、補償金及びその他の請求権の弁済を請求する」と記載されている。要綱と併せて公表された交渉議事録によると、1961(昭和36)年5月の交渉で日本側代表が「個人に対して支払ってほしいということか」と尋ねると、韓国側は「国として請求して、国内での支払いは国内措置として必要な範囲でとる」と回答した。

 韓国側が政府への支払いを求めたことを受け、日本政府は韓国政府に無償で3億ドル、有償で2億ドルを供与し、請求権に関する問題が「完全かつ最終的に解決されたこと」を確認する請求権協定を締結した。〉・・・・・

 この公表された「対日請求要綱」と「交渉議事録」を個人請求権消滅の動かぬ証拠だと評価するマスコミ記事もあった。もしこれが「個人請求権消滅の動かぬ証拠」であるなら、1991年8月27日の参院予算委員会での韓国の元徴用工の補償請求裁判に関する質疑で当時政府委員として出席した柳井俊二外務省条約局長はこの「動かぬ証拠」を水戸黄門の葵の印籠ように示して、個人請求権は消滅した、「1965年の日韓請求権協定によって完全かつ最終的に全てが解決している」と言わずに、日韓請求権協定の第2条で両国間の請求権の問題が「完全かつ最終的に解決」されたと述べていることの意味について、「これは日韓両国が国家として持っている外交保護権を相互に放棄したということ」であり、「個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたものではない」などと答弁したのだろう。

 「外交保護権」とは、外国によって自国民の身体・財産が侵害された場合、その侵害を自国に対する侵害として、国家自らが、いわば自国民に代わって相手国の国際法上の責任を追及することだと言い、その「外交保護権」を相互に放棄したと言うことは、国家の立場で侵害されたことの補償請求はできないが、国家から離れて、個人が個人として補償請求する分には外交保護権の埒外であって、可能であるということになり、それが柳井俊二の「個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたものではない」とする答弁に相当することになる。

 もし事実2019年7月29日外務省公表の「対日請求要綱」と「交渉議事録」が「個人請求権消滅の動かぬ証拠」であるなら、安倍政権は1991年8月27日の参院予算委員会での政府委員・外務省条約局長柳井俊二の答弁との齟齬を埋めて、完全に一致させる合理的な説明の責任を日本国民に対しても韓国に対しても果たさなければならない。

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