世界に冠たる日本国総理大臣・麻生太郎の女房役、見た目はかなり頼りないし、話しぶりもボソボソ、声が優し過ぎて頼りないし、言っている内容自体も頼りないことしか言わないが、それでも麻生が見初めてプロポーズした女房役である。
もしかしたら記者会見を機会にマスコミへの露出度が高い官房長官、下手に人気を取られたら叶わないからと、麻生太郎の最初からの計算で頼りない人間を当てたのかもしれない。そう考えると女房役と言いながら頼りない点で辻褄が合う。
その総理大臣女房役・河村健夫が22日(4月)都内で講演、解散・総選挙の時期は公明党の希望に配慮すべきだとあからさまに述べた。
NHKの動画を見ると、次のようにボソボソと喋っている。
「都議会は公明党が全力をかけて、やっているから、このときもし解散したら、我々、自民党の応援なんか、している暇ないよ、と、こういう警告を、いただいておりますから、あの、これ、その、国政選挙と関係あるかどうか、んー、ですけども、しかしまあ、政権与党一緒にやっている公明党がそう言うんですから、それは無視できないだろうと・・・・」
自民党にとって「国政選挙と関係」することからの「無視できない」配慮なのだから、「国政選挙と関係あるかどうか、んー」と惚けるところは麻生に負けない役者振りである。
公明党に関する言及の部分で「無視できないだろう」に続く言葉を「時事ドットコム」(≪官房長官の発言要旨≫2009/04/22-13:21)だと次のようになっている。
「首相もそのことも考えながら、どの時点でやるのがいいのか(考えているだろう)。」――
そして続けて、「一番大事なのは景気対策で、2009年度補正予算案を仕上げることに最大の力を入れる」と、解散・総選挙回避の特効薬としてきた「景気対策」の新手(あらて)である「2009年度補正予算案」を持ち出して、優先度をそこに置くことで発足以来の麻生政権の運営方法を正当化し、返す刀で緊急に解散・総選挙を迫る民主党をバッサリ。
「一番大事なのは景気対策で、2009年度補正予算案を仕上げることに最大の力を入れる。このときの民主党の出方を見なければならない。世界経済の一角を背負う日本の経済が落ち込むとは一体どういうことなのか。政権担当能力があると言いながら、それが理解できない民主党なのか。『国民に聞くこともあり得る』と(首相が)言うのは、そこ(それだけ経済が重要ということ)にある。まずは補正予算案を通すことが大事で、解散はその次の話というのが首相の偽らざる気持ちだ。(了)」(同「時事ドットコム」)――
言っていることに矛盾があると気づかないのは麻生が官房長官に指名しただけあって、さすがに単細胞兄弟として通じ合っている。「補正予算案を通すことが大事で、解散はその次の話」と順番を決めておきながら、都議会選挙時期の解散・総選挙は公明党に配慮しなければならないと、その時期を外す決定を前以て行おうとしている。
最大の問題は麻生内閣作成の景気対策・経済対策が絶対だと信じ込んでいるところにある。景気の初期的対策に位置づけた定額給付金からして、国民の7~8割が効果はないと判断し、続く各補正、09年度本予算、いわゆる麻生が得意になって言い触らしてきた「3段ロケット」をバラ撒きと見、今度は「4段ロケット」だと称することになった「3段ロケット」に継ぎ足す「2009年度補正予算案」を国民は借金を後世に残す最たるバラ撒きだと見ている。
「朝日」の4月18、19日実施の世論調査の質問項目「麻生首相は、追加の景気対策として、過去最大の15兆円の補正予算案を国会に提出する方針です。その財源として、国の借金にあたる国債を10兆円規模で発行します。麻生首相のこの追加の景気対策を評価しますか。」に対する回答は、「評価する 25% 評価しない 60%」と、非評価が半数以上を占めていること自体が麻生経済対策の無効果評価の証明であろう。
いわば経済の専門家や識者、国民の過半数が麻生景気対策の出来栄えに支持を与える状況にあったとき、当然麻生内閣の支持率も高い数字を維持するはずだが、自らの景気対策にお墨付きを得た根拠として解散・総選挙を迫る民主党の対応を批判できる正当性を獲ち得る。
景気対策の出来栄え及び内閣の支持を得ていなにも関わらず、自らの景気政策・経済政策の出来栄えを正しいとする矛盾は、正しくないと認めたなら、自らの存在証明を失って自己否定に向かう破局を避ける自己保身からの矛盾であろう。
ここから麻生の政権へのしがみつき、景気対策を口実とした解散・総選挙の先延ばしが本格化している。
だが、景気対策の出来栄えは結果が出るのは先だから誤魔化せても、支持率は目に見える数字となって現れて、誤魔化すことができない。西松効果で「次の首相は誰がふさわしいか」で再逆転し、内閣支持率が少し上がったといっても、リードをほんの少し確保したに過ぎない。解散した場合の安心を少しでも多く手に入れるためには公明党の協力は欠かすことはできない切り札である。
当然、公明党の選挙都合に耳を貸す必要が生じる、景気対策ばかりを言ってはいられない。就任早々から、「私は決して逃げません」と言いながら、何のためにここまで解散・総選挙を逃げに逃げまくってきたのか。選挙に負けたなら、すべてを失うばかりか、政権を野党に手渡した首相として不名誉の名前を後世に残すことになる。
そこで河村発言となった。
政策面では自民党が好き放題にやるには必要ない、かえって邪魔になる存在だが、選挙では公明党の応援は必要不可欠、お陰を蒙っているから、定額給付金にも応じた。応じたお陰でかなり損もしている。「高額所得者で貰う人はさもしい」だとか、「矜持の問題だ」とか言わずもがなのことまで喋ってしまい、お陰で支持率を相当に下げた。
選挙となったら、その分、倍返しして貰わなければ、割りに合わない。地域振興券も小渕内閣が政権基盤を強化する頭数増やしに連立を組む必要が生じて公明党のゴリ押しを止むを得ず受け容れた、言ってみれば政略結婚のための交換条件に過ぎない。
4月17日から開催のパキスタン支援の国際会議で、「パキスタンの安定なくして、アフガニスタンの安定もなく、またアフガニスタンの安定なくして、パキスタンの安定もない」と当たり前のことを特別なことのように言ったが、選挙で必要ということだから、我々の場合の公明党なくして、自民党なし、自民党なくして、公明党なしは別れたくても別れられない腐れ縁といったところだ。
4月17日に公明党の太田代表が我が首相官邸に密かに来訪、その夜には公明党幹事長北側一雄と都内のホテルのバーで密会。あれ程都議選・衆議院選ダブル選挙アレルギーを患っている公明党の幹部が解散権を握る総理大臣と会って、解散・総選挙の時期についての愛の語らいが行われなかったはずはない。つまり、「我々、自民党の応援なんか、している暇ないよ」と、こういう警告をいただき、つれない振りをしてこちらの気を引いたというわけである。
マスコミが早速飛びついて話の内容を聞いてきたが、誰が正直に喋る。焦らすことによって、解散時期を曖昧にすることができる。例え支持を受けていない景気対策であっても優先させる口実を維持できる。
「公明党から、選挙の日にちを言われたことはありません」
決してウソをついているわけではない。何日にして欲しいと明確な「選挙の日にち」は口には出さないが、選挙の“時期”については7月の都議選を避けて欲しいという要望はあって当然、勿論あった。そんな要望がなければ、公明党ではなくなってしまう。都議選前後1カ月以内の総選挙は差し控えて欲しいと、大体の選挙“時期”を言ったに過ぎないし、だから、日本国総理大臣とし国民に正直に「公明党から、選挙の日にちを言われたことはありません」とマスコミを通して説明責任を果たした。麻生太郎、至って正直な政治家です。
我が愛しの女房役、決して総理大臣の人気を奪う心配のない河村官房長官が解散・総選挙の時期は公明党の希望に配慮すべきだと喋ったことに関する感想を聞かれたときも、至って正直に答えた。
「公明党という与党、友党にいろいろと配慮するというのは、常日頃からそういった配慮は持っているとは思います。思いますけども、それに合わせて選挙の日にちを考えるということはありません」(「asahi.com」)
「選挙の日にち」は選挙の時期を想定しないことには自ずから決まることはない。時期の想定は7月の都議選前後1カ月を除く期間ということで、正直に答えたとおり、「選挙の日にち」まで想定しているわけではない。
官房長官発言を「解散のフリーハンドを維持するために発言できない麻生太郎首相との役割分担との見方もある」(「47NEWS」と伝えているマスコミもあるが、「解散のフリーハンドを維持」することが難しくなった場合に備えての役割を演出させたに過ぎない。
つまり2009年度補正が例え難産の末であっても無事通過することによって、あるいはその他の不測事態が生じて解散・総選挙先延ばしの口実を失い解散・総選挙としければなくなったとしても、その時期が都議選と重なるために回避した場合の悪影響を前以て危機管理しておくためである。
どのような危機管理かというと、批判を覚悟で公明党配慮のカードを見せておいて、予め批判を出し尽くさせておけば、万が一にも実際に公明党配慮のカードを切らざるを得なくなったとしても、前以ての予想があるから、「やっぱりな」程度に抑えることができると踏んだ高度な危機管理であって、この麻生太郎の頭でしか思いつかない素晴らしい計算ではないか。
決して河村官房長官が思いついたわけではない。この麻生太郎がそうしろと命じて、操ったに過ぎない。
前以て予想させておくと、心の準備ならぬ感情の備えが知らず知らずのうちに働いて、後で予想通りのことが起きても、やっぱりそうか、予想通りということで怒りや不快の感情を和らげる役目を果たしてくれる。
いわば公明党に配慮して解散・総選挙を都議選期間を避けて行った場合に蒙るに違いない不評と、それが実際の総選挙で影響するに違いない票の減少を少しでも抑える二段階作戦の選挙対策。当然、いざ総選挙となった暁には公明党にはそのマイナスを補ってもらわなければならない。
万が一選挙に負けたとき、公明党に配慮したのが間違いだったと責任を擦り付けることもできる。
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