現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

男の修行

2012-02-27 22:27:25 | 虚無僧日記
東京に独り住む母は、88歳。「米寿」の祝いをしたら、
急に足腰が弱ってきた。もう室内を歩くのもやっと。
外には出れない。「最近、記憶も途切れて、時々、
子供の顔も思い出せなくなった」と。いよいよきたか。

「あれが無い、これが無い」とぶつぶつ。
 (それはこの前、私にくれたでしょう)

それでいて、「あの時 ああだった こうだった」と
過去の話しを何度も何度も蒸し返す。

ひたすら“無言の行”で 聞き流す。

山本五十六の言葉だったか。

「苦しいこともあるだろう、
 言いたいこともあるだろう、
 不満なこともあるだろう、
 腹の立つこともあるだろう、
 泣きたいこともあるだろう、
 これらをじっとこらえてゆくのが
 男の修行である」

これで、帰りがけには 少しは元気になった。




東京

2012-02-27 21:16:15 | 虚無僧日記
私の生家は、東京目黒区にある。

40年も前なら、近所の人は皆顔見知りで、道で人に
会えば 挨拶をしたものだが、今は、道行く人は
皆見知らぬ他人。顔をそむけ、ことさら無視して
すれ違う。自分の“故郷”ではなくなっている。

駅の改札口で、年寄り二人が もめている。どうやら、
新幹線に乗るのに、東横線の「菊名(きくな)」で
横浜線に乗り「新横浜」から乗ろうと、一人が
主張している。

私の感覚では、品川か東京駅から乗った方が近いし、
座れるから良いと思い、「東京駅の方がいいですよ」と
いらぬ口出しをしてしまった。

するとその爺さん「解ってます!、解ってるから
いいんです!」と血相変えて怒りだした。

まあ、東京は見知らぬ人とは口をきいてはいけない
所だ。駅名からして「聞くな(菊名)」だった。

名古屋に帰ってきたら、駅に「どうしました?と
一声 声をかけよう」というポスターがずらりと
貼ってあった。