日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

分りやすいんだけど・・・チョッとズレてる気が-トヨタ・PassoSette-

2009-01-03 20:33:53 | ビジネス
この不況状態の中、自動車業界は新春早々新型モデルを発表している。
その中で、対象購入者などが物凄く分りやすいテレビCMを展開しているのが、トヨタの「Passo・sette」だろう。

最初から「主婦層」を対象としていることを、明らかにしているテレビCMだ。
実際、街中でいわゆる「7人乗りミニバン」を運転している女性の姿を見ることは、当たり前のようになってきた。
その流れを受け、トヨタでは既に同じミニバン「ノア」でタレントの酒井法子さんをお母さん役として登場させるだけではなく、運転させている(シーン)がある。
日産などが、同じように家族をテーマにしたテレビCMを作っていても、あくまでも運転席にいるのはお父さんと言うシチュエーションとは、大きく違う。
その意味では、「さすが!トヨタ」と言う感じがする。

そして今回の「Passosette」発売に向け、トヨタは半年近く前から準備をしていたようだ。
それがHPにある「Chereディズ」と言うコンテンツだ。
もちろん、WEB上だけで展開しているのではなく、販売店などではフリーペーパー型の小冊子として、お客様に提供している。

一見クルマの販売店とは関係無さそうな内容のフリーペーパーだが、来店する女性客にとっては、クルマを購入する男性(多くの場合、旦那さんか?)についてきても、楽しいことは余りない。
それだけではなく、クルマを運転する頻度で言えば、旦那さんよりも奥さんの方が多いことが多いはずなのに、クルマ選びに関しては男性主導的な部分があると、思い込んでいた部分があるように思う。
その思い込みを取り払い、女性中心にしたと言う点では「新規顧客の掘り起こし」には、効果が期待できそうだ。

だからだろう、テレビCMでも最後に登場する女性たちは7人乗りのミニバンで、テニスに出かけると言うシチュエーションになっている。
この場面を見る限り、このクルマの対象の中心となる女性達は、いわゆる「アラフォー世代」のように思うのだ。
と言うのも、今の「アラフォー世代」の女性達が学生時代過ごしてきた時、一番親しんだスポーツのひとつがテニスだったからだ(当時は、「夏はテニス、冬はスキー、春・秋はゴルフ」と言われていた)。

そのようにこのテレビCMを見れば、本当に分りやすいテレビCMだと言える。
ところが、HPのコンテンツには「目指せ!東コレ」と言う内容がある。
「主婦が東京コレクションですか???」と言うのが、私の感想だ。
「東京コレクション」と言う、いわゆる「ファッションショー=シーズンごとの売買がされる場所」で、ズブの素人さんをモデルとして登場させること自体に、難がありすぎる。
もちろん、プロのモデルさんたちの年齢は20代前半が主体で、40代で現役モデルとして活躍している人は、世界的スーパーモデルと呼ばれる数名しかいない。
当然のコトながら、彼女達はプロのモデルとして日々相当の努力を積み重ねている。
「見た目チョッと綺麗で、オシャレなママ」ではないのだ。

もしかしたらトヨタさんの仕掛ける「東京コレクション」は、私が知っているような内容とは違う「東京コレクション」なのかも知れないのだが、余りにも分りやすいテレビCMとチグハグ感が拭えないイベントに、「トヨタ、大丈夫か?」と思ってしまうのである。