日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

価値観を変える難しさ

2009-07-27 15:46:30 | マーケティング
雑誌「AERA」を読んでいたら、「昭和妻は3度破綻する」という特集記事があった。
ある一つの価値観からみた、現在30代~40代の専業主婦の姿記事だ。

現在の30代~40代の専業主婦(だけとは限らないと思うのだが)総てが、このような価値観を持っているとは思わない。
確かに、この世代の女性は高学歴化が進み、同時にバブルの恩恵に与ってきた世代でもある。
バブルが崩壊したからといっても、何とか就職さえ出来れば、親元通勤で比較的優雅なOL生活を楽しんできた世代だろう。
特に都市部で生まれ育ち、父親が一部上場企業や公務員など安定した職業で、母親は専業主婦だった家庭であれば、このような価値観があるのかも知れない・・・と、思いながら読んでいた。

この記事を読みながら、フッと思ったことがある。
それは「価値観」というコトだ。
記事に書かれている女性たちは、「自分の価値観は揺るぎのないモノであり、それが世間の標準だ」と、思い込んでいるのだと思う。
だから、傍目から見れば「現実を見れば、無理難題を押し付けている」と言うコトであっても、分らないのではないだろうか?
それは、それまでの生活環境などにも影響されているだろうし、時代によるモノのあるだろう。

だからと言って、それは彼女たちだけに当てはまる「(価値観の)思い込み」だろうか?
時折、中高年の域に達した男性の話を聞くと「今はそんな時代じゃないでしょ?」というコトを話させる方が案外多い。
と同時に、話す内容が「会社」中心で、その企業の価値観をそっくりそのまま「世間の基準」と思い込んでいらっしゃるのでは?という場合も少なくない。
会社員時代には、上司に「今の生活者は違う」というコトを一生懸命話しても、「そんなことはない。自分たちの頃は違っていた」というコトばかりを話されて、大変だったこともあった。

ついこの間まで専業主婦だった方が、パートタイマーとして働き始められると真っ先に「困ったな~」となるのが、「自分が世間の基準」という考えから抜け出せないことだ。
ご本人たちの問題ではなく、「今」という時代感や価値観が分らず、自分の価値観を周囲に押し付けてしまうことだった。
本来であれば、「価値観=自己的判断によるところが大きいモノ」という感覚があると思うのだが、それが納得できないというコトだ。

そのように考えて見ると、「個人的価値観」というのは、子どもの頃からの生活環境や自分が一番活動的で社会との接点が多かった時代(=女性なら10代~20代、男性であれば20代~30代)に、左右されるところが大きいのでは?と感じる。
そして、その頃にカタチ作られた価値観を変えるということは、とても難しいコトのよう
に思われる。

「AERA」に登場する女性たちを、決して批難する気はない。
ただただ、価値観という思い込みを変える難しさを感じるのだ。