日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

農業にもマーケティング?

2009-07-03 20:45:48 | ビジネス
先日、新聞の刷り広告の中に「宣伝会議」が掲載されていた。
特集が「農業にもマーケティング」という言葉に惹かれた。

というのも先日、拙ブログに時々コメントを下さる大西宏さんの「マーケティングエッセンス」に、コシヒカリが特売でしか売れないそうだというエントリがあったからだ。
そのことが気になったので、百貨店に行ったついでにお米売り場で、チョッとお話を聞いてみた。
というのも、その売り場では「今月のおすすめ」が、「コシヒカリ」ではなかったからだ。

「コシヒカリ」と言っても、今では様々な所で作られている。
確かに新潟県魚沼産は、1kg当たり1,000円以上が当たり前だ。
しかし、他の産地の「コシヒカリ」となると、その価格はグンと下がってしまう。
産地によっては、「秋田小町」などよりも安い場合がある。
そして「おすすめ」のお米は、「コシヒカリ」ではなく「ミルキークイーン」という種類のお米だった。
新潟県魚沼産「コシヒカリ」の約半値のお米だった。
その「ミルキークイーン」も、元々の産地(東北)ではなく北陸産のモノ。

お店の方のお話では、「その時に一番美味しいお米を値段ではなく、おすすめしている」というコトだった。
そのためには、お客様のご飯の好みを伺う必要があるとも話ていた。
というのも「ミルキークイーン」という種類のお米は、粘りの強いお米なので「モチモチした食感」が好きな人には向いているのだが、ピラフなどには向かないお米というコトだった。

そうやって考えると、既に「コシヒカリ」というブランド名だけでは、生活者は買わなくなってきたのかも知れない。
それだけではなく、農家もお米屋さんと協力して「お米の良さ」をPRする時代がきているのでは?と、考えてしまった。
もしかしたら「少量のお米を、複数種類購入」という提案も時には必要かも知れない。

いわゆる第一次産業と呼ばれる農林水産の価格設定は、生産者が決めるわけではない。
その間に入る卸業者などが、買値=生活者への売値を決めて流通している。
それでは「生活者のニーズ」を汲み取るコトは、なかなか出来ないだろう。
ある意味「農業にもマーケティング」という試みは、流通そのもののあり方を見直すほど大掛かりなコトなのかも知れない。

しかし、その波はゆっくりと起き始めているコトも確かだろう。
「道の駅」や「ファーマーズマーケット」などが、それだ。
農業にマーケティングが活用できるかどうかは、私自身わからない。
ただ、これまでのような「コシヒカリ」を作れば売れるというような、農業では難しい時代だという予感だけはしている。