日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「買えない」のか、それとも「買わない」のか

2009-08-02 22:51:29 | マーケティング
先日、「無印ニッポン」と言う本を読んだ。
「20世紀消費社会の終焉」という、サブタイトルに興味を引いたからだ。

この本の作者のひとりである三浦展さんは、「下流社会」という本や「シンプル族の反乱」と言った著書がある。
本の内容については、実際手にとって読んでいただきたいと思うのだが、その中で気になったことがある。
それは「モノを買わない人たちが、多くなりつつある」という指摘だ。
「シンプル族の反乱」へと繋がっていく内容だと思うのだが、この「モノを買わない人たち」の登場によって、大きく市場が変わってきているという指摘だ。
本の中に取り上げられていたのは、「モノに対する価値観の変化」と言うコトだけではなく、既に十分な程モノを買っており、クローゼットの中にはモノが溢れ返っている現実があると言う指摘である。

確かに、指摘されているとおり「モノが溢れ返っている人たち」という層は確実にある。
そしてそのような人たちの多くは、経済的に豊かでいわゆる「勝ち組」と呼ばれる人たちが中心だ。
「勝ち組」というほどではないにしても、生活に追われているような人たちではない。

一方「(モノを)買いたいのに、買えない」という人たちが、増えつつあると言う指摘もある。
例えば、クルマの購入者だ。
実はここ10年くらいの間で、クルマの購入台数と言うのは、年々下がってきている。
その10年間に生まれたのは、「経済的格差」だ。
いわゆる「負け組」と呼ばれる人たちの出現だ。
多くの人は「欲しいのだが、経済的理由で買えない」という状況にある。
特に若年層で顕著な「クルマ離れ」は、経済的理由によるモノではないのか?という指摘もあるようだ。

個人的な見方なのだが、「持てる人たちは、消費に対して消極的になりつつあり。欲しくても持てない人たちが急激に増え始めている」という「2層化の消費意識」なのではないだろうか?
もちろん「買えない人」の中には、最初から「(どうせ買えないのなだから)買いたいとは思わない」という諦めの意識もあるとは思う。
ただ、「持てる人たちの消極的な消費行動」というのは、あくまでも「物質的消費行動」を差しており、「精神的満足度の高いモノ・コト」に対する購入は、以前より重視するようになってきているのでは?と言うコトだ。

「モノを買えない」のか「モノを買わない」のか、その違いは余りにも大きい。
そして一つの方向から、市場を見る危険性も同時に感じるのである。

今月は「読書月間」に

2009-08-02 06:25:09 | CMウォッチ
最近テレビCMやラジオCMで、チョッと気になるコピーがある。
「コトバダイブしよう」というキャッチコピーのCMだ。
CMの最後に「2010年、国民読書年」とある。
知らなかったのだが、来年は「国民読書年」というコトらしい。
そのためのキャンペーンCM・キャッチコピーが、「コトバダイブしよう」なのだ。

拙ブログに来てくださる方は、それなりに新聞や本、雑誌と言ったモノを読まれる方ばかりだと思う。
新聞の記事をピックアップしてエントリをすることも多いので、基となる記事内容もチェックされているだろう。
ところが、世間的には「活字離れ」が激しく、中高校生・大学生などの若年層の間では特に激しいと言われて久しい。
その「活字離れ」を食い止め様としてか?夏休みの今、書店に行くと出版各社の「読書フェアー」のコーナーが設置されている。
昨年からは、若者に人気の漫画家が表紙カバーを手がけ、本を読んでもらう(買ってもらう)努力もしている。

今は、様々な情報ツールがありネットで最新ニュースを知ることも出来れば、最新マンガの配信までされている。
「携帯小説」という分野も出来(と言っても、私は読んだことが無いのだが)、一口で「活字離れ」といえるのかは、若干疑問な気がしないわけでもない。

ただ「読書」によって得られるモノは、イロイロある。
それは、コトバから得られる思考力だったり、論理的な文章構成力だったりする。
今月はお盆休みなどもアリ、時間的にも気分的にも「ゆとりが持てる」月だろう。
折角だから、今月は「心の栄養補給」として読書を楽しんでみてはどうだろう?

子供たちに「課題図書を読め!」と言う前に、大人が「読書の楽しみ方」を見せるのに丁度良い機会でもあると思うのだが・・・。

そういえば・・・この「国民読書年」だが、2008年に国会で決まったようだ。
そしてそれを推進するために作られたのが、「財団法人文字・活字文化推進機構」ようだ。
この団体が、文科省と大手新聞社などの幹部の、天下り団体となっていないことを願っている。