日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

方向軸が違うような・・・官僚発想だから?-「国立メディア芸術総合センター」-

2009-08-28 21:26:41 | アラカルト
今日の朝日新聞のWEBサイトに、「アニメの殿堂」中止でも「担い手支援は継続」 文化庁という記事が掲載されている。
「アニメの殿堂」というのは、別名「国立マンガ喫茶」こと「国立メディア芸術総合センター(仮称)」のコトだ。
何かと批判が多いことをかわす目的なのか?という指摘もされているようだが、記事の内容をよく読むと、方向軸が違うような・・・という気がするのだ。

特に、来年度予算に盛り込む予定の19億円について
若手クリエーターの海外研修や、発表・交流の場作りなどに使うという。
文化庁担当者のコトバだ。

何故かお国の考える「研修」というと、海外研修という発想が目立つような気がするのだ。
だが、今や日本のアニメ(=ジャパニメーション)は世界をリードする文化なのだ。
海外の美術品などに触れるというコトは、クリエイティビティーという面でプラスとなるとは思うのだが、海外で研修というのは違うのでは?

むしろ問題となっているのは、現在のアニメーターが置かれている職務環境なのではないだろうか?
「低賃金+長時間の動労時間」なのだという気がしている。
実際、「日本アニメーター・演出協会」の調査(注意:PDFファイル)の13~14頁では、その実体を見ることが出来る。
なのに、助成金を出して海外研修というのは、人材育成などには結びつかないような気がするのだ。

実際、テレビのアニメ番組にタイトルロールをよく見ると、製作スタジオを日本だけではなく人件費の安い中国に置いたり、地方へ移したりしているスタジオもあるように見受けられる。
もし文化庁が本気で人材育成を考えるのであれば、実質的生活費の安い地方へのスタジオ移転などを勧めたりし、アニメーターの生活安定を考えるコトが優先なのではないだろうか?
地方の行政も、公共事業による地域の活性化ばかりを考えるのではなく、日本のソフトウェア産業の受け皿となるようなコトも考える必要があるように感じるのだ。

既に、光通信などのインフラの充実により、地方にいながらにして会議をしたり打ち合わせをしたりする環境は整いつつある。
下手な海外研修を考えるよりも、本当の人材育成を考えるのであればもっと違う発想があるのではないだろうか?
でなくては、折角「日本アニメーター・演出協会」の提言(注意:PDFファイル)が無駄になってしまうように思うのだ。