日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

百貨店の協同作戦

2010-10-04 20:50:14 | ビジネス
新聞各紙のチェックをしていると、「オヤ?」と思う記事を見つけるコトがある。
新聞各社が、それぞれの視点で記事を書くことなので、取り上げる内容に違いがあるのは当然なのだが、「こんなコトを、東京や名古屋、大阪で同時期にやっているの?」と、思う記事もある。
今日、そんな記事を見つけた。

それが、東京・大阪・名古屋にある百貨店各店が、協力しあって「百貨店にいらっしゃいませ」キャンペーンを実施していると言う内容だ。
普段はライバルである百貨店同士が、互いに協力しあって、何とかお客様を呼び戻そうと言うキャンペーンのようだ。
そのキャンペーンの記事が、新聞各社で取材し・紹介している所が違っていたのだ。

さて、その「百貨店へようこそ」キャンペーンだが、各百貨店の強みを出し合いながら、協力しあうと言うのは、面白い試みだと思う。
コレまで百貨店各社は、持ち株会社の統合や仕入れの共同化などにより、事業強化を図ってきた。
他にもPB商品の開発を試みてみたり、不要品の買取などをしたりしてきた。
不要品の買取などは、一時期的な集客には成功したようだが、継続的な集客とはならなかったようだ。

そんな中での「協同作戦」として、今回の「百貨店へようこそ」キャンペーンなのだとすれば、百貨店各社が、それぞれに「自分たちの考える百貨店とは」というコトを考え抜いての試みなのかも知れない、と期待しているのだ。

コレまで何度も書いてきているのだが、バブルの頃から「場所貸し業」と揶揄されるようになってしまった百貨店。
「お客様は、一体何を求め・期待し・百貨店に来られるのか?」というコトを、考えぬくコトよりも、とにかく目の前の利益だけを求める状態が長く続いていたのではないだろうか?
お客様のことを考える余裕も、自分たちの強みを考える余裕もなかったのかも知れない。
それが商売の原点に戻って、考えた協同キャンペーンだとすれば、生活者にとってもプラスだと思うのだ。

「買い物をする」というのは、チョッとドキドキするコトだ。
それは値段云々ではない。
私などはスーパーの野菜を買うときも、「美味しいかな?」とチョッとドキドキ・ワクワクしてしまう。
まして百貨店は、そんな「ドキドキ」や「ワクワク」が、一杯詰まった場所だったはずだ。
そのための演出が、いつの間にか百貨店から無くなってしまっていた様に感じるのだ。

もう一つは、お客様を取り合うライバル関係から、百貨店業界全体がお客様と良い関係を創るキッカケとなれば、それが百貨店業界全体の活気を取り戻すコトになると思うのだ。
「うちの百貨店は、マダム向けが強いけど、隣の百貨店は若者向けが強い」という情報を共有していれば、百貨店の周囲でも人の行き来ができ、地域全体が活気を取り戻すコトもできるはずだ。
そんなキッカケとなれば、今回の「百貨店にようこそ」キャンペーンは成功になるのではないだろうか?