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ノーベル化学賞に思う

2010-10-07 11:48:34 | アラカルト
昨日、ノーベル化学賞に根岸英一パーデュー大特別教授と鈴木章・北海道大名誉教授北海道大学のお二人が、日本人として受賞した。
とても喜ばしいことだと、素直に思う。
ただ気になるのは、メディアなどで盛んに「ノーベル化学賞=日本のお家芸」的な表現をしていることだ。

日本の学生の「理科離れ」が言われるようになって、随分経つような気がする。
私は物理や化学が、大の苦手科目だった。
とにかく、覚えることが多すぎて、化学式のような関係性みたいなトコロまでの理解ができなかった。
物理については、数学そのものが苦手だったので言わずものがな・・・。

それでも、小学生の頃はさほど苦手意識は無かったように思う。
それは、実験があったからだろう。
学年が進むにつれ、実験は無くなり覚えることばかり増え、数式を解くか暗記のどちらかが授業の中心になり、次第に理系から離れていったような気がする。

今の理系に対する教育は、どうなっているのかは知らない。
ただ随分前にテレビで見た、印象深い光景がある。
それは、学校では理科の実験を行わないため、学習塾で理科実験を行っている、と言うレポートだった。
「コレでは、理科離れが起きても仕方ない」と言うのが、その時の感想だった。
「実験」そのものは、とてもワクワク・ドキドキするモノだからだ。
理系へ進学する生徒たちは、おそらくその「実験」のドキドキやワクワクを忘れずに、探求するコトができるのだろう・・・と、思ったことがある。
しかし、今の日本にはそんな教育環境となっているのだろうか?

もう一つ思ったことは、研究が発表され実用化されてから、20年以上の歳月を経ての受賞と言うコトだ。
化学賞の前に発表された医学生理学賞でも、今では当たり前となっている「体外受精」に対して賞を贈られている。
30年以上も前の研究・成果に対して。賞が贈られたというコトになる。
とすれば、iPS細胞の京大・山中教授の受賞は随分先のコトになりそうだ。
言い換えれば、「日本の得意分野」は、長い時間を要して初めて評価されるモノでもあるのだ。
しかし、今の社会や企業が追い求めているのは、早急な結果と成果ばかりのような気がする。

「理科離れ阻止!」を訴える研究者さんたちは多い。
本当は、短期的な成果や結果ばかりを追い求める社会や企業が、もっと長期的視点に立って研究者を支援するコトが、理科離れを減らすことになるのでは?
そして、中学生くらいまでは実験中心の授業を増やし、実験をする過程で「なぜ?どうして?」という疑問を考えさせ、自分で答えを導き出させるような教育が必要なのでは?
それが、親の収入格差によって子どもの学習格差とならない様に、配慮される必要もあると思う。