日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

ウォークマンが創ってきたモノ

2010-10-22 21:00:41 | アラカルト
Yahooのトピックスに、産経新聞に掲載されていた記事として「ソニーがカセットタイプのウォークマン販売停止」があった。

今の20代の方にとって「ソニーのウォークマン」と言えば、i-Podみたいなモノだと思っていらっしゃるかも知れない。
でも、i-Pod以前にウォークマンがあり、そのウォークマンがあったからこそ「音楽を持ち歩く」と言うコトが、当たり前になったのだ。
そのスタートとなったモノが、今では見かけなくなってしまった「カセットテープ」によるもの。

市場にデビューした頃は、「再生しかできないカセットプレーヤーなんて、売れっこない」と言うものだった。
まして、「小型ヘッドフォンで聞く」などというコトでは、音楽を楽しむと言うコトにはならないだろうと。
初めて市場に登場した1979年頃は、まだまだそんな時代だった。

ところが、ウォークマンは爆発的なヒットになる。
それまで「音楽は自宅で聞く」と言うスタイルから、「音楽を持ち歩く」と言う、まったく新しい「ライフスタイル」まで生まれた。
それほど、「ウォークマン」の登場と言うのは、ある意味衝撃的だったのだ。

もちろん、ウォークマンのヒットにより他社が、追従するように次々と「小型携帯用音楽プレーヤー」が、登場するようになる。
そして時代と共に、カセットテープ⇒CD⇒MD⇒ダウンロードと、代わっていった。
そんな時代変化の中で、アップルの「i-Pod」が登場するのだ。
その意味で「ウォークマン」が無ければ、i-Podも誕生していなかっただろう。

「音楽を持ち出し、楽しむ」と言うライフスタイルは無く、そんな今では当たり前のようになっているライフスタイルを創り上げたのが、ソニーの「ウォークマン」だったのだ。
その原点である、カセットテープ式の「ウォークマン」が販売中止をすると言う。
センチメンタルな気分とは別に、時代の変化と言うかソフトウェアの変遷のようなモノを感じる。

「カセット式ウォークマン」が登場した頃、ソニーにはとても勢いがあった。
ソニーだけではなく、日本全体が今より遥かに元気だった。
もしかしたら「新しい、ライフスタイルを創る」と言う、勢いや元気だったのかも知れない。