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シャープの新型ジューサーは、新しい市場を創るコトができるか?

2012-06-13 18:40:46 | ビジネス
シャープが、新型ジューサーを発売する。
スロージューサー「ジュースエスプレッソ」

このニュースを聞いたとき、思い出したコトが「生活者が購入をして、使わない家電」だった。
この「使わない家電」にランクインしているのが、実はジューサーやミキサーなのだ。
と言うのも、使う用途が限られている割に、使う頻度が少なく、その後の後片付けも面倒、と言うのがその理由だ。
言い換えれば、わざわざジューサーを出す手間を考えると、スーパーでジュースを買ってきた方が安くて便利、と言うコトなのだ。
最近ではフードプロセッサーや、ブレンダーと呼ばれる調理家電の登場で、家電量販店でのジューサーやミキサーの売り場は、とても小さくなっている。
そんな市場にあえて、再度参入すると言う。
よほどの付加価値が無ければ、安価で売られているジューサーと勝負にはならないと思っていたら、やはり現在販売されている安価なジューサーとは随分違う仕様になっていた。
そのキーワードとなるのが、商品名の一部として使われている「スロー」というコトバだ。

実は「ジュース」そのものは随分前から、人気がある。
百貨店やチョットした商店街などでは「ジューススタンド」と呼ばれる、ジュース専門店が人気になっている。
青果店の一角にジューススタンドが有るのも、最近では珍しい光景ではないはずだ。
そしてその様な売り場には、年齢に関係無く女性が多く並んでいる。
「ジュース」そのものがお子さまの飲み物では無く、「美容と健康を気遣う女性の飲み物」になっているのだ。

その「ジュース」人気に、昨年あたりから新しいキーワードが加わってきた。
それが「スロージュース」。
野菜や果物に含まれている「酵素」が、回転の早いジューサーで絞ると壊れてしまい、思った程の栄養が摂れないと言う。
その「酵素を壊さない様に」と考えられた絞り方が、「石臼でゆっくり絞る」という方法。
「な~んだ、そんなコトか」と思われるかも知れないが、もう一つのキーワードがこの「酵素」なのだ。

ドラッグストアに行くと、女性向けの栄養補助食品のコーナーに「野菜と果物の酵素」と銘打った商品がいくつも並んでいる。
「ダイエットに効果が有る」とか「お肌に良い」と言われていて、若い女性を中心にこの「植物酵素」が人気になっているのだ。
実際のトコロ、どれほどダイエットやお肌に効果的なのかは分からないが、これらのキーワードを商品に加えるコトで、これまでのジューサーとは、チョット違う商品ポジショニングになってくる。

これまでのジューサーは、「手軽にご家庭でフレッシュジュースが飲める」というモノだった。
確かに「フレッシュジュース」は体に良いのは分かるが、市販の野菜+果物のジュースでも十分美味しいし手軽、と言う点で、「お蔵入り家電」の上位にランクインしていた。
それが、市販のジュースでは摂れない「酵素が摂れジュース」となると、ジューサーは単なる調理器具では無く「美容・健康器具」の一つとなるコトができる。
ご丁寧に、絞りかすはジャムにしたりケーキに混ぜ込んだりして使うコトができる、と言うエコ+ホームメイドクッキングの楽しさを加えた提案をしている。
そしてこの提案は、「タニタの食堂」で一躍「秤り」のメーカーから「健康をサポートする企業」へと変わるコトができた「タニタ」とジョイントするコトで、より具体的でわかりやすいモノになる可能性があるのでは?
(現在シャープのオーブン「ヘルシオ」は、タニタとジョイントサイトを持っているシャープ横町「ヘルシオ&タニタ食堂」

4万円弱という価格で、どれだけヒットするかは未知数なトコロが有る。
ただ、今までとはチョット違う商品ポジションを加えるコトで、「お蔵入り家電」が再度注目される様になるかも知れない。