日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

お米屋さんが面白い

2012-12-02 18:44:28 | ビジネス
先日、米穀店の方とお話をさせて頂く機会があった。
「米穀店」というと、「お米を精米して売る」というイメージだけしか思い浮かばないかも知れないが、今の「米穀店」は随分おしゃれになり、店先に米袋が置いてあると言う雰囲気では無いところが多いようだ。

お話をさせて頂いた米穀店さんに限らず、最近の米穀店さんはおにぎりやチョットしたおかずなどを販売している所が多くなってきている。
お米の消費そのものが減っている中、「おにぎり」の人気は高く、コンビニのおにぎりよりも高めだが美味しさでは、勝っている。
何より「にぎりたて」のおにぎりが食べられると言うのは、魅力だろう。

もう一つは、様々な産地のお米をショーケースの様に見せて販売をする、と言うお店が多くなってきている、と言う点だ。
一昔前までは「美味しいお米=コシヒカリ」だったが、ここ数年で日本各地の美味しいお米が、登場する様になってきた。
代表格と言えそうなのが、北海道の「ななつぼし」や「ゆめぴりか」だろう。
少し前なら秋田の「あきたこまち」や「ミルキークィーン」、岐阜の「はつしも」などがあったが、今では各県に「銘柄米」と呼ばれる美味しいお米が、登場する様になってきた。
そんな各県の「銘柄米」を、少量パックにし「食べ比べ」を勧めていたり、店頭で販売しているおにぎりを「日替わり銘柄米」にして、生活者にアピールする米穀店も増えてきている。

何故その様な販売形態に変わりつつあるのか?というと、昨今の「米離れ」という理由が大きいようだ。
私が子どもの頃は、10㎏入りのお米を2つくらい購入しても1ヶ月持たなかったような気がする。
もちろん、食べ盛りの子どもが3人いたのが大きな理由だ思うが、お米そのものを食べる量も多かった様に思う。
実際私の周囲の女性に話しを聞くと、2合のご飯を3日くらいかけて食べている。
彼女は決してダイエット目的で、ご飯を食べない訳ではない。
食の内容が、ご飯中心からおかず中心へと変わった結果なのだと思う。
そんな食習慣の変化の中で、今の米穀店が提案するのは「美味しく食べられる量のお米を量り売りする」というコト。
様々な「美味しい銘柄米」を、より美味しく食べて貰う為の提案、と言う訳だ。

米穀店そのものは、スーパーなどでお米の販売を扱う様になってから、減ってきていると思う。
そのスーパーではできないコトを、米穀店がやろうとしているのだ。
お米離れは、米穀店にとって危機的状況だと思う。
その様な社会環境の中で、「お米を売る」という発想から「美味しいご飯を売る」という転換を、積極的に米穀店がし始めている。
できれば、もう一歩踏み込んで「銘柄米」ごとに合わせたご飯の炊き方、と言う提案が欲しい。

一つ気になるのは、家電メーカーが今でも主力として考えているのが「5合炊き炊飯器」だというコトだ。
「一般家族向け」と言うコトを考えれば、「五合炊き」というサイズは「ご飯を美味しく炊くサイズ」だと言えるのだが、5合のご飯を何日かけて食べているのだろう?
そんな視点で、炊飯器という市場を見ると違ったコトが見えるかも知れない・・・そんな気がするのだ。