日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

記憶と記録を残す意味

2012-12-06 19:20:50 | アラカルト
今日のGoogleのトップには「未来のキオク」と題した、東日本大震災で被災した建物内部のストリートビューがリンクされている。
対象となった建物の写真を見るだけで、当時の津波の威力の凄さを改めて感じる。
建物の柱とはがれ落ちた壁のクロス・・・写真で見られる建物の一部の中には、「旧釜石鉱山事務所」の様に、人の気配は無いものの以前と同じように置かれたと思われる机があったりするのだが、大船渡や陸前高田の様に津波の被害が大きかった地域の建物は、全くと言って良い程手つかずのままになっている。
それだけ、そこで生活をしていた人が戻っていない、と言うコトなのだろう。

Googleが、この様な震災写真を公開する理由は「震災の記憶と記録を残す」という目的がある様だが、これこそメディアが担う責任の一つのような気がする。
震災発生直後、テレビなどの映像メディアは繰り返し同じような震災の映像を延々と流し続けた。
その映像を見ることで、被災地以外に住んでいる私達はその震災の状況と災害の凄まじさというモノを、知るコトができた。
反面、同じ映像を繰り返し見続けるコトで、何処かその感覚が麻痺するようなトコロも次第に出てきたような気がする。

被災地出身のある精神科医の方が書かれたエッセイを拝読した時、以外なコトを知った。
それは、直接震災にあわれた方々がPTSD(心的外傷ストレス障害)を発症(と言うのだろうか?)するよりも、実はテレビなどの映像を見てなられる方のほうが多かった、と言うコトだ。
その理由については様々な指摘がされているようだが、一つの理由としては「同じ映像を繰り返し長時間見続けた」というコトのあると言われている。
しかし、震災から1年半以上の時間経過とともに、被災者以外の私達には震災そのものが少しずつ遠くなりつつある様に感じている。
忘れてしまうコトが、総て悪いコトでは無いと思う。
「復興をする」過程においては、時に震災を忘れると言うコトが、必要な時もあると思うからだ。
ただ非被災地にいる私達は、あの日を心の何処かに留めておく必要があると思う。
それが被災地、被災者に寄り添う、と言うコトだと思うからだ。

そのための重要なポイントとなるのが、今回のGoogleのような活動なのではないだろうか?
何も3月11日だけに、特集を組んで報じるのがメディアの役割では無いと思う。
折に触れ、被災地、被災者のコトをさりげなく伝え続ける・・・そんな姿勢がメディアな重要な社会的役割だと思う。