日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

何処か空しさを感じる商品

2012-12-19 19:40:13 | マーケティング
日経のWEBサイトの新商品紹介に、変わった商品が紹介されていた。
来年、玩具メーカーのタカラトミーが発売をする「ホームカイト」の紹介だった。
タカラトミーニュースリリース「ホームカイト」(注意:PDFファイル)

「この商品が生まれた背景は、一体何だろう?」と考えていたら、なんだか空しくなってきた。
実際の商品開発の場で、どのような発想で商品化されたのかは判らないのだが、一つは昨年の東京電力・福島第一原子力発電所事故(以下「フクシマ事故」とする)によって、戸外で子どもを遊ばせるコトに抵抗感のある親御さんが多くいらっしゃるのでは?と考えたのだ。
東海地区では、その様な抵抗感を持って戸外で遊ばせない、と言う親御さんはまずいらっしゃらないと思う。
しかし、福島の方はもちろん関東にお住まいの方にとって、子どもを戸外で遊ばせるコトに抵抗感を持っている方は、ある程度いらっしゃるのでは?と、思ったのだ。

もう一つは、外遊びそのものが苦手なお子さんが増えてきた、と言うコトでは?と、思ったのだ。
小学生の中学年くらいから、都市部の小学生達は「中学受験」のため塾通いが始まる。
それ以前でも、様々な「お稽古ごと」に通う子供達は多く、外遊びができる年齢というのは、それこそ幼稚園などに通い始める前位かも知れない。
凧揚げに限らず、未就学の頃から「外遊び」の経験を余りしていない子ども達が、増えてきているかも知れないのでは?と、おもったのだ。
元々外で遊ぶ為の公園が限られているだろうし、何より電線に凧を引っかけては大変だ。
街中を歩いて見るとよく分かるのだが、住宅地の空には電線が縦横にあり、電線が無いトコロには、マンションが建っている・・・そんな状態でのんびり凧を揚げる場所を確保するコト自体難しいのかも知れない。

「戸外でのびのびと遊ばせたい。戸外でなくては遊べない遊びをさせたい・・・」そんな気持ちを持った親御さんにとって、この商品は「戸外で遊ぶ疑似体験」をさせるコトができる。
それが、この商品の魅力だと思うのだが、その「疑似体験」でしか経験させるコトができない、外遊びというコトがとても空しく感じたのだった。