■海上自衛隊再編2008
2008年3月26日の海上自衛隊組織改編は、19年度予算概算要求時に提示されていた一個護衛隊群の二個作戦単位化するという改編以上に、所属艦の脱地域化という点が特筆される。今回は、四個護衛隊群の新しい編成を紹介したい。
第1護衛隊群
横須賀基地に司令部を置く第1護衛隊群は、第61護衛隊を廃止、4隻から成る二個護衛隊に再編された。
改編の概要を俯瞰すると、第1護衛隊は『あけぼの』以外が横須賀母港であるのに対して、第5護衛隊隷下の護衛艦の所属が横須賀以外に佐世保、舞鶴となっている。
世界の艦船通巻691号などを参照した限りでは、改編後も所属護衛艦の母港の変更は行われていないようだ。第1護衛隊は訓練時に呉と横須賀の中間にある小笠原方面で合流すればよいが、第5護衛隊は、集合にもかなりの距離を移動しなければならない。
第1護衛隊群の所属艦は以下の通り。
- 第1護衛隊:ヘリコプター護衛艦『しらね』(横須賀母港)
- 第1護衛隊:ミサイル護衛艦『しまかぜ』(横須賀母港)
- 第1護衛隊:護衛艦『むらさめ』(横須賀母港)
- 第1護衛隊:護衛艦『あけぼの』(呉母港)
- 第5護衛隊:ミサイル護衛艦『こんごう』(佐世保母港)
- 第5護衛隊:護衛艦『いかづち』(横須賀母港)
- 第5護衛隊:護衛艦『すずなみ』(舞鶴母港)
- 第5護衛隊:護衛艦『さわぎり』(佐世保母港)
第2護衛隊群
佐世保に司令部を置く第2護衛隊群は、新しく就役したイージス艦『あしがら』を第64護衛隊から編入し、イージス艦2隻体制に移行した。
佐世保基地はイージス艦の整備設備を有しているということもあり、呉基地の第4護衛隊群隷下にあったミサイル護衛艦2隻からなる第64護衛隊も佐世保基地に所属していた経緯がある。
第2護衛隊の所属艦母港は、佐世保以外に、舞鶴、大湊となっているが、第6護衛隊隷下の汎用護衛艦は三隻揃って横須賀母港という編成になっている。
第2護衛隊群の所属艦は以下の通り。
- 第2護衛隊:ヘリコプター護衛艦『くらま』(佐世保母港)
- 第2護衛隊:ミサイル護衛艦『あしがら』(佐世保母港)
- 第2護衛隊:護衛艦『ゆうぎり』(大湊母港)
- 第2護衛隊:護衛艦『あまぎり』(舞鶴母港)
- 第6護衛隊:ミサイル護衛艦『ちょうかい』(佐世保母港)
- 第6護衛隊:護衛艦『はるさめ』(横須賀母港)
- 第6護衛隊:護衛艦『たかなみ』(横須賀母港)
- 第6護衛隊:護衛艦『おおなみ』(横須賀母港)
第3護衛隊群
舞鶴基地に司令部を置く第3護衛隊群は、イージス艦2隻体制を維持している。また、旧編成では直轄艦として旗艦に当たった『はるな』は、今年度中に退役するとされている。
『はるな』に代えて『しらね』が配属になるとも、『くらま』が配備されるとも、『ひゅうが』が配備されれば、という情報と希望が飛びかっていたが、詳細は不明である。
さて、第3護衛隊群は隷下のイージス艦2隻が舞鶴母港であり、第3護衛隊の編成は母港がやはり変則的であるが、第7護衛隊は、汎用護衛艦の母港が三隻とも佐世保基地となっている。
第3護衛隊群の所属艦は以下の通り。
- 第3護衛隊:ヘリコプター護衛艦『はるな』(舞鶴母港)
- 第3護衛隊:ミサイル護衛艦『あたご』(舞鶴母港)
- 第3護衛隊:護衛艦『まきなみ』(佐世保母港)
- 第3護衛隊:護衛艦『せとぎり』(大湊母港)
- 第7護衛隊:ミサイル護衛艦『みょうこう』(舞鶴母港)
- 第7護衛隊:護衛艦『ゆうだち』(佐世保母港)
- 第7護衛隊:護衛艦『きりさめ』(佐世保母港)
- 第7護衛隊:護衛艦『ありあけ』(佐世保母港)
第4護衛隊群
呉基地に司令部を置く第4護衛隊群の改編も基本的にヘリコプター護衛艦を中心とした護衛隊、イージス艦を中心とした護衛隊に再編された。
第4護衛隊群の編成も、第4護衛隊は所属艦の母港が呉、横須賀、大湊と変則的な編成を採用しているが、第8護衛隊は汎用護衛艦が三隻とも呉母港となっている。どの護衛隊群もひとつの護衛隊の汎用護衛艦の母港は一つに集中しているようだ。
これら編成は護衛隊単位での訓練に影響がないのか、将来的には母港の変更が行われるかなどについて興味が持たれる。
第4護衛隊群所属の護衛艦は以下の通り。
- 第4護衛隊:ヘリコプター護衛艦『ひえい』(呉母港)
- 第4護衛隊:ミサイル護衛艦『はたかぜ』(横須賀母港)
- 第4護衛隊:護衛艦『はまぎり』(大湊母港)
- 第4護衛隊:護衛艦『うみぎり』(呉母港)
- 第8護衛隊:ミサイル護衛艦『きりしま』(横須賀母港)
- 第8護衛隊:護衛艦『いなづま』(呉母港)
- 第8護衛隊:護衛艦『さみだれ』(呉母港)
- 第8護衛隊:護衛艦『さざなみ』(呉母港)
HARUNA
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