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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

2007年度護衛艦隊改編後の第1護衛隊群 大きく変わった編成

2008-04-10 18:34:57 | 防衛・安全保障

■護衛艦隊改編に関する暫定的な備忘録

 フランス海軍強襲揚陸艦ミストラル東京寄港に際して、情報収集を行ったところ、海上自衛隊ニュースリリースには、ホストシップとして『きりしま』『はまぎり』の名前があり、指揮官には第4護衛隊群司令徳丸伸一海将補の名前があった。

Img_2270  護衛艦隊は、これまで、汎用護衛艦二隻乃至三隻からなる護衛隊と、六十番台のミサイル護衛艦二隻を基幹とする護衛隊の計三個護衛隊を、ヘリコプター護衛艦による旗艦(直轄艦)が統括する、という編成が用いられていた。しかし、19年度改編により、護衛隊群をヘリコプター護衛艦を中枢においた護衛隊とミサイル護衛艦一隻を中心とした護衛隊に二分化する編成改編が行われたのは既報。

Img_6914  護衛艦隊改編とはいっても、護衛隊群の定数8隻は変更が無く、ヘリコプター護衛艦一隻、ミサイル護衛艦二隻、汎用護衛艦五隻というこれまで通りの艦艇を二つの護衛隊に振り分けることから、大きな改編ではない、と思われていたのだが、前述の『きりしま』と第4護衛隊群司令、ということで、一転した。第4護衛隊群は呉基地の『ひえい』を旗艦とする部隊であるのだが、従来編成ではミサイル護衛艦は、第64護衛隊の『ちょうかい』であったはずだ。それが『きりしま』になっている。

Img_9975  そこで、第1護衛隊群のHPを確認したところ、編成が大きく変更されていたわけだ。以下に引用する(2008年4月10日1730時アクセス)

第1護衛隊:『むらさめ(旧第1護衛隊)』『あけぼの(旧第4護衛隊)』『しらね(第1護衛隊群旗艦)』『しまかぜ(旧第62護衛隊)』

第5護衛隊:『いかづち(旧第1護衛隊)』『すずなみ(旧第3護衛隊)』『さわぎり(旧第2護衛隊)』『こんごう(旧第62護衛隊)』

Img_0141  舞鶴基地第3護衛隊群第3護衛隊に所属していた護衛艦『すずなみ』が第1護衛隊群に転籍していたことには驚かされる。さらに、第62護衛隊は佐世保基地の部隊であり、第2護衛隊も佐世保、第4護衛隊は呉基地の部隊である。横須賀の部隊に佐世保、舞鶴、呉という海上自衛隊艦艇基地の大半の所属艦が数隻づつ転籍したことになる。

Img_0025  第1護衛隊群HPの方に話を戻そう。

 第1護衛隊群司令河村正雄海将補の“群司令挨拶”には“第1護衛隊群は、横須賀を母港とする「しらね」「むらさめ」「いかづち」、佐世保を母港とする「さわぎり」「しまかぜ」「こんごう」、呉を母港とする「あけぼの」及び舞鶴を母港とする「すずなみ」の8隻の護衛艦と隊員を擁し、護衛艦隊の中核として我が国の海上防衛の一翼を担っております”(引用)とある。

Img_9027_1  この点で重要なのは、横須賀の第1護衛隊群隷下に、佐世保基地を母港とする『さわぎり』『しまかぜ』『こんごう』、呉基地を母港とする『あけぼの』、舞鶴基地を母港とする『すずなみ』が、基地を転籍することなく、所属を変更しているということだ。同時に旧編成で横須賀の第1護衛隊群に所属していた『はるさめ』『たかなみ』『おおなみ』『きりしま』『はたかぜ』は他の佐世保か、舞鶴か、呉の護衛隊群に編入されたことになる。

Img_5905  これまで、1護衛隊群1基地として、部隊をまとめておくことが運用上の理想とされていた。3月の護衛艦隊改編では、地方隊の護衛隊が地区警備(つまり近海防衛)部隊として護衛艦隊に編入された旨が大きく取り扱われてきたが、実際には前述の理念に代えて、基地を越えた護衛隊群の編成が採用された点が非常に大きな改編として挙げられる。

Img_6107_1  基地を越えた編成が採られるにはどういった利点があるのだろうか。一個護衛隊群は、八八艦隊とよばれ、護衛艦8隻・ヘリコプター8機からなる有力な対潜掃討グループを編成できるという強みがあったわけだが、この新しい編成が発表された当初は、部隊の機能を二分化し、木目細かな任務の要求に対応することが可能とする旨、説明があった。一個護衛隊群を以て、同時に二つの任務を遂行することができる、ということだ。

Img_1039   ただ、この編成を用いると、常にタスクフォースを編成した状態になるため、一隻でも整備などで編成から抜けた場合、護衛隊が機能しなくなる場合がある、これが当初から指摘されていた点。今回の基地を越えた編成を採用することで、米海軍の任務群編成のように流動的に適宜編成を組みなおし、稼動艦のみで部隊を組む体制に移行したのだろうか。ただ、それならば、同型艦だけの護衛隊編成を複数配置した方が、柔軟性は確保できる。

Img_6138_1  護衛艦隊改編。第1護衛隊群以外は、個別護衛隊群のHPが無いため、どの護衛艦がどの護衛隊群に配置されているかは不詳である。冒頭に備忘録と記したのは、佐世保の第2護衛隊群、舞鶴の第3護衛隊群、呉の第4護衛隊群の編成が本日の時点で判明していないためである。間もなく海上自衛隊集合訓練の時期。恐らく海事専門誌『世界の艦船』のニュース欄などで、編成については記載されるのだとは思うが、情報は入り次第、掲載したい。

HARUNA

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コメント (2)
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