北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】米コロンビア級戦略ミサイル原潜建造開始と仏原潜シュフランミサイル実験

2020-12-21 20:00:32 | インポート
■週報:世界の防衛,最新10論点
 今回は潜水艦特集、各国の潜水艦に関する最新事情等の10の話題を纏めてみました。

 ウィスコンシンが復活します、アイオワ級戦艦ウィスコンシンの名が建造中のコロンビア級戦略ミサイル原潜2番艦の艦名として継承される事となりました。コロンビア級戦略ミサイル原潜は現在アメリカの核抑止力第二撃を主管する戦略ミサイル原潜ですが一番艦オハイオ竣工は1981年、老朽化が進むと共に一部は巡航ミサイル原潜に改装されています。

 コロンビア級戦略ミサイル原潜は水中排水量20800tとなっており、これは前型のオハイオ級戦略ミサイル原潜の18700tを上回るアメリカ海軍史上最大の潜水艦となっています。他方搭載するトライデントミサイルは16基となっていまして、オハイオ級の24基よりも大きく縮小されたものとなりました。これは冷戦後の戦略核兵器を巡る変容を受けたもの。

 オハイオ級戦略ミサイル原潜の竣工した時代と比し、戦略ミサイル原潜の長期警戒任務頻度は低下しており、一時はヴァージニア級攻撃型原潜に数基の発射区画を挿入する案も検討されました。16基とはオハイオ級以前の潜水艦発射弾道弾SLBM搭載数となっています。オハイオ級は18隻が建造されましたがコロンビア級は12隻の建造が計画されています。
■コロンビア級一隻47億ドル
 コロンビア級戦略ミサイル原潜は護衛艦ひゅうが満載排水量よりも大きいのですが建造費も自衛隊潜水艦の八倍だ。

 ジェネラルダイナミクス社は11月7日、アメリカ海軍が導入するコロンビア級戦略ミサイル原潜2隻の建造費として95億ドルに上る契約を獲得しました。対象となるのは一番艦のコロンビアおよび二番艦のウィスコンシンで、アメリカ海軍は最終的に12隻を導入予定です。一隻当たり47億ドル、ニミッツ級原子力空母の50億ドルに匹敵する巨費という。

 コロンビア級戦略ミサイル原潜2隻の建造費が95億ドルに上る背景にはSSD推進方式として耐圧船殻外に電動ポンプジェット推進装置を直付するシャフトレスドライブを採用し、原子炉からの減速機振動を外部に伝達させない徹底した静粛構造やラジアルギャップ型永久磁石同期モーター等、画期的な新技術の採用を検討する為の建造費高騰と考えられます。

 アメリカ海軍ではコロンビア級戦略ミサイル原潜を目下最重要の建造計画と位置づけており、当面は2026年まで毎年1隻のコロンビア級戦略ミサイル原潜を建造するといい、一番艦を2030年と見込んでいます。建造はジェネラルダイナミクス社の協力企業であるエレクトリックボート社がロードアイランド州クオンセットポイントにおいて進めるとの事です。
■英戦略ミサイル原潜コロナ蔓延
 日本では自衛隊がCOVID-19感染対策にかなり苦慮しているのですがイギリスは大変な事になっているもよう。

 アメリカに寄港したイギリス海軍戦略ミサイル原潜ヴィジラント艦内において新型コロナウィルスCOVID-19感染者が発生したとの事、ヴィジラントはヴァンガード級戦略ミサイル原潜の三番艦でイギリス海軍に4隻しかない戦略ミサイル原潜の一隻であり空軍が核戦力を廃止したイギリスにおいて、戦略ミサイル原潜は、唯一の核抑止力となっています。

 ヴィジラントでの感染拡大、これは10月14日にアメリカ当局が海軍ニュースにて発表しました。ヴィジラントが入港したのはジョージア州キングストンベイ海軍基地、ただ乗員の一部が上陸中に400km離れたフロリダ州のココアビーチを訪問しており、フロリダ州はアメリカ国内でもCOVID-19感染爆発による被害が大きく、ここで感染の可能性がある。

 イギリス核抑止力への影響が懸念されますが、イギリス国防省報道官は海軍のミサイル原潜即応体制は公表しない事としていると述べたのみ。密閉空間の最たる潜水艦、ヴィジラント艦内での患者は30名を越えるとのこと。ヴァンガード級戦略ミサイル原潜の乗員数は135名であり、発症患者が30名を越えるのであれば罹患者は更に多い懸念があります。
■火災の仏原潜ペルル,修理へ
 先日アメリカ強襲揚陸艦ボノムリシャールが火災から修理を断念し廃艦が決定した一報が在りましたがフランスの潜水艦は修理される。

 フランス海軍は6月にツーロン軍港造船所での長期修理中の大規模火災により外殻が溶け落ち、ほぼ全損に等しい損害を受けた原子力潜水艦ペルルの修理を11月にも開始するとのこと。リュビ級原潜はフランス海軍がドゴール政権時代に原子力潜水艦は核抑止力整備優先を念頭に戦略ミサイル原潜の建造を重点特化したため、貴重な攻撃型原潜でもある。

 ペルルは鎮火まで14時間燃え続けた事で船体前部が隔壁ごと骨組みだけが残る深刻な損害を受けている、フランスのパルリ国防相はこの修理について、船体前部は金属材質が熱により変質し修理不能だが、原子炉を含む機関部と船体後部については損傷が及んでいないとし、2019年に除籍された同型艦サフィールの船体前部を接合し修理する方針を示した。

 リュビ級は水中排水量2670tと原子力潜水艦では非常に小型で、魚雷と比較的射程の短いエクゾセ対艦ミサイルを搭載する。ペルルの修理は2023年6月までに修理を完了するとのことで、先ず修理の第一段階としてペルルの焼失区画切り離し工事が実施、これには六か月間を要する見込み。ただ、ペルルの竣工は1993年、修理完了時に艦齢30年を迎える。
■シュフラン,巡航ミサイル試験
 フランスの攻撃型ミサイル原潜が巡航ミサイルの運用能力を付与され打撃力を強化するもよう。

 フランス海軍の最新型原子力潜水艦シュフランは公試において初の巡航ミサイル発射試験に成功したとのこと。発射実験は10月21日に実施され、ストームシャドウ巡航ミサイルが発射された。ストームシャドウはフランスが空対地巡航ミサイルとして開発したもので、派生型に、水上戦闘艦発射型と潜水艦発射型の魚雷発射管用と垂直発射型があります。

 シュフランはシュフラン級攻撃型原潜の一番艦で2021年竣工に向けて公試が進められており、F21魚雷等も搭載、前型のリュビ級攻撃型原潜が建造費を抑える為に2670tと長期航海に対応できない小型過ぎる船体を採用していたのにたいし、シュフラン級は水中排水量5300t、年間270日間の作戦航海が可能です。2030年代までに同型艦6隻が建造される。

 ストームシャドウ巡航ミサイルは英仏共同開発、スタンドオフミサイルとして開発され、射程は250km以上、空軍用のミサイルはステルス性を意識した形状を採用していますが、海軍型は魚雷発射管からの運用を想定し胴体が円形状となっており、垂直発射型については2018年にシリア内戦介入に際し駆逐艦アキテーヌより発射、実戦経験があります。
■エジプト向け209型建造進む
 209型潜水艦は海上自衛隊の潜水艦の三分の一程度の大きさの潜水艦ですが、沿岸防備には使いやすい潜水艦という事で定評があります。

 ドイツのティッセンクルップシステムズ社はエジプトより受注した209型潜水艦四番艦S-44の建造が現在の新型コロナ禍下でも順調に進んでいると発表しました。209型潜水艦は輸出用潜水艦の傑作潜水艦として知られ、2011年に最初の2隻を受注して以来、2015年に追加の2隻を受注しており、四番艦は9月29日に進水式と命名式を迎えています。

 S-44は209型Mod1400という209型では大型版であり、全長62m、吃水6.2m、水中排水量は1600tで乗員は30名です。三番艦S-43は2020年4月に引き渡しを完了しています。ティッセンクルップシステムズ社は潜水艦の他に海洋防衛産業の大手であり6000名規模の雇用を担っており、コロナ禍下でも順調な艦船建造を強調する意義はあるのでしょう。
■インド向けスコルペヌ級
 スコルペヌ級は自衛隊の潜水艦の半分強程度の潜水艦ですが、自衛隊の潜水艦は紹介範囲が広すぎる為に原潜のような行動範囲を求められている為の苦肉の策といえるのやも。

 インド海軍はフランスのスコルペヌ級潜水艦ライセンス生産型カルヴァリ級潜水艦5番艦の進水式を11月12日に実施したとのこと。スコルペヌ級潜水艦ライセンス生産は2005年に仏印政府間で6隻のライセンス生産を37億5000万ドルで契約したものであり、新しい潜水艦の艦名はヴァギル、インド東部のマサゴン造船所にて建造されているものです。

 スコルペヌ級潜水艦はフランスのDCNS社とスペインのナバンティア社が共同開発した輸出用潜水艦で各国需要に併せ水中排水量1070tの沿岸型から基本型の1668tと強化型の1800tまでを選択肢としており、3800hpのディーゼル機関を搭載したディーゼルエレクトリック方式潜水艦ですが要望に応じAIP機関を搭載しAIP潜水艦とすることも可能です。
■ミャンマーが中古潜水艦
 インドが新型潜水艦の整備を進める中で中古潜水艦がミャンマーに輸出されるもよう。

 ミャンマー海軍はこのほど海軍史上初の潜水艦取得に乗り出しました、導入を計画するのはロシア製キロ級潜水艦のインド海軍運用艦シンドゥビルで、1988年にロシアから導入したものです。ミャンマー海軍ではシンドゥビルを練習潜水艦とし、将来の新造潜水艦導入へ基盤固めとしたい指針でミャンマー海軍のライン上将は10月にインドを訪問しました。

 シンドゥビルはインド海軍が導入したキロ級潜水艦としては初期のもので、導入当時は北大西洋や北太平洋を任務区域に想定したキロ級は暑いインド洋にてバッテリー消耗に悩まされましたが解決しています。シンドゥビルは現時点インド国内のヒンドスタン造船所にて近代化改修を実施中であり、この改修が完了後にミャンマーへ引き渡されるのでしょう。
■フィリピン初の潜水艦構想
 自衛隊が除籍させた潜水艦はるしお型や潜水艦ゆうしお型などpは考えれば勿体ない事をしたと思う事もあります。

 フィリピン海軍は潜水艦の導入を計画しておりこの程フランスのナーバルが潜水艦国際競争受注に向け11月18日、マニラへ現地事務所を開設しました。フィリピンの潜水艦建造は2019年に同国のドゥテルテ大統領が海軍近代化計画の一環として提示されており、2023年から2027年までの間に2隻を導入する構想ですが、予算面の課題が大きいという。

 潜水艦導入以前にフィリピンには米沿岸警備隊中古巡視船や第二次大戦中の護衛駆逐艦、イギリス香港駐留時代警備艇等、まともな水上戦闘艦が無いものの、フィリピン政府は潜水艦を自国内で建造し整備する事を希望しており、潜水艦技術よりも第三国に潜水艦建造技術を養成する事に長けたナーバル社はこの分野であっても支援できると自負しています。

 フィリピン海軍が潜水艦建造を進める背景には、冷戦時代に駐留米軍により絶対的な安全を確保していたフィリピンが1992年に駐留米軍を全て国外に退去させた結果、中国の軍事圧力に曝される事となり、海軍のきづかないままに複数の島嶼を占拠されていた事に起因します。もっとも造船業も乏しいフィリピン産業力では大きな冒険と云わざるを得ません。
■北朝鮮,ミサイル潜水艦増強
 北朝鮮のミサイル潜水艦対策に海上自衛隊も今後は何らかの措置が求められるかもしれませんね。

 北朝鮮が新たに弾道ミサイル搭載潜水艦2隻を建造している、韓国国家情報院が11月3日に発表した。北朝鮮は10月の軍事パレードで新型SLBM北極星4を初公開しており、近くこの北極星4を搭載可能な潜水艦を建造すると分析しているもので、1隻は旧ソ連製ロメオ級潜水艦改良型、そして、もう1隻は大型の新型潜水艦である、と分析している。

 北朝鮮に第一線級の潜水艦国産能力は無い。しかしながら北朝鮮は核開発を進めると共にその運搬手段の生存を近年重視しており、米ロや英仏中の戦略ミサイル原潜のような機動運用ではなく、自国領海内の機雷原と防空ミサイルに守られたミサイル潜水艦の聖域を構築し、水中ミサイル発射プラットフォームとして用いる運用を想定していると考えられる。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【日曜特集】航空自衛隊60周年小松基地航空祭(6)イーグル三機編隊と救難隊(2014-09-20)

2020-12-20 20:05:10 | 航空自衛隊 装備名鑑
■空往くイーグル日本海へ
 青空と活況の小松基地、航空祭プログラムによれば第303飛行隊による編隊飛行の展示がいよいよ開始されます。

 二機編隊で離陸する第303飛行隊のイーグルたち。小松は1998年の北朝鮮能登半島沖工作船事件、はるな、みょうこう、あぶくま、が史上初の海上警備行動を実施した際にも出動しています、あのとき北朝鮮はミグ戦闘機を発進させたため、護衛艦に脅威及ぶ可能性も。

 第303飛行隊イーグルの編隊離陸が迫る。こんな感じだったのでしょうか、しかし北朝鮮があの時にとばしたのはMiG21といいますので、みょうこうイージスシステムが全力対応したらば一撃で全滅させられたのでしょうけれども、あのときは戦闘空中哨戒も行った。

 二機編隊のイーグルを連写性能を活かして追う。小松の重要度は、まれにソ連の後身であるロシアがTu-160超音速爆撃機などを飛行させてきたことがありまして、自衛隊が初めてTu-160と遭遇したのが小松でした、あのときは浜松基地からE-767も展開させている。

 第303飛行隊のイーグルが一瞬で真横を疾風の如く。この小松、北朝鮮への最前線となったのですが2000年代に入りますと中国の脅威がついに北陸へも及ぶようになりました。2017年に和歌山沖まで中国のミサイル爆撃機H-6Mが飛来したのですね、西日本まで。

 イエロー犬鷲イーグルが着陸の後に誘導路を目の前に。中国の脅威が沖縄へ、というのは誤ってはいないのですが、着上陸の脅威を示すもので、航空脅威は2000年代初頭に九州まで及び、そして2010年代には西日本まで充分ミサイル爆撃機の脅威が及んでいる現実が。

 三機編隊の第306飛行隊イーグルがこちらへ。2020年代の小松航空祭は飛行教導群が加わり更ににぎやかです、そしてこの飛行教導群は2016年に南九州新田原基地に展開していましたが、新田原は中国機対処という重責が年々高まってゆきます、ここしか余裕なかった。

 三機編隊イーグルを連写で追いかける。飛行教導群の2016年新田原小松移転は、小松が安全な後方になったわけでして、依然として北朝鮮脅威はあっても比較論であり、ロシアの脅威は依然として北方に、そして西方に中国の脅威増大、逃げ場がなくなった、ともいう。

 三機編隊イーグルはほぼ目の前へ。航空教育の一つの拠点となった新田原には将来、F-35B戦闘機、垂直離着陸が可能であるために局地戦闘機として使うのでしょうか、配備が予定されていまして、結果的に小松は防衛の要衝でありながら他方では後方ともなるのですね。

 三機編隊イーグルとびさる。小松基地の厳しい状況は裏返せば東西冷戦ののちの多極化時代と米中冷戦や欧州ロシア対立のしわ寄せが収斂する特異点に環太平洋の西方弧状列島が重なった構図でして、日本の防衛を考える場合、これはもう少し認識すべきでしょう。

 U-125救難機の飛行、小松救難隊の救難飛行展示のはじまりだ。航空救難団は千歳基地、秋田分屯基地、松島基地、新潟分屯基地、百里基地、浜松基地、小松基地、芦屋基地、新田原基地、那覇基地、以上の基地に救難隊を配置し、万一の航空救難に備えています。

 U-125救難機からの救命物資落下傘での投下がおこなわれる。救難隊はUH-60J救難ヘリコプター3機とU-125救難機2機を装備し即応体制を採り、先ず高速のU-125が遭難現場へ急行し位置を特定、そののちにUH-60J救難ヘリコプターが現場へと進出し救助する。

 三機編隊イーグルが再度航過飛行をおこなう。戦闘機の海上での遭難は救難航空機が充分発達する前には高速船を現場へ急行させるか飛行艇を派遣していましたが、PS-1以前の飛行艇は1.5mの波浪までが運用の限界で高速船では現場まで24時間以上掛かることも。

 三機編隊イーグルは第306飛行隊のイーグル、ドラゴンマークが眩しい。S-61救難ヘリコプターから本格的な救難運用は開始されましたが、V-107救難ヘリコプターの導入により海上での救難能力が飛躍的に向上しまして、現在のUH-60Jにより悪天候でも飛行可能に。

 三機編隊はギア出しという車輪を出した状態でのローパスをおこなう。北大路機関創設当時は、まだ、平和でしたので救難航空機は黄色と白黒という目立つ救難塗装だけの時代でした、しかし2010年代になりますと、脅威の健在かを背景に、そうもいっていられない。

 三機編隊のギア出し編隊による航過飛行で飛去って往く。こうした戦闘機が敵対勢力の競合地域で万一のこともあり得ましたので、徐々に先頭航空救難、という運用が考えられるようになり、ロービジ塗装、目立たない迷彩塗装が必要とされるようになってゆきました。

 UH-60J救難ヘリコプターの救難飛行展示が開始されました。海洋迷彩、F-2戦闘機のような迷彩は海上での救難任務に際して敵に発見されにくい運用を想定しています。実際航空救難員もベテランになると航空自衛隊を越えて陸上自衛隊で空挺レンジャー課程を受ける。

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【土曜特集】横須賀いせ-しらぬい寄港の春,艦艇日記【3】イージス艦大集合(2019-04-14)

2020-12-19 20:05:31 | 日記
■アメリカイージス艦大集合
 横須賀軍港めぐり遊覧船はそのままアメリカ海軍横須賀施設前を進んでゆきます。其処には圧倒的な数のアメリカ海軍イージス艦が並ぶ。

 横須賀基地日常風景、艦艇日記として代表的な風景の一つがアーレイバーク級の並びです。マスティンとベンフォールド、更にアーレイバーク級はこちらに艦尾をみせているものが2隻、この4隻で中小国の海軍ならば圧倒できるやも、いまの駆逐艦は凄いぞ最高だ。

 マスティンとベンフォールドと更にアーレイバーク級2隻、アーレイバーク級は原型のフライトⅠが満載排水量8850 t、巡航ミサイルやSM-2ブロックⅣ運用能力を付与された改良型のフライトⅡが9033 t、ヘリコプター運用能力を付与したフライトⅡAが9515 tです。

 バリーとカーティスウィルバーがこちらに艦尾をみせている2隻でした、バリーはアーレイバーク級2番艦、由来は軽巡洋艦夕張は関係なくアメリカ独立戦争にてジョージワシントン隷下の大陸海軍、その少ない艦艇の艦長を務めた一人で1803年までの海軍長官です。

 カーティスウィルバーとバリーにマスティンとベンフォールド、アーレイバーク級の凄い点はイージスシステム搭載する高級に定義される装備を持ちながら、搭載艇の複合艇化やCIWSに対艦ミサイルの省略など、低コスト化を進めて数を揃える事を重視していること。

 シャイローとアンティータム。タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦が2隻並びます、巡洋艦というだけでも興味深いところですが、注目したいのは艦番号、ロービジ塗装と従来塗装が並んでいる点です、近年は艦艇位置秘匿の観点からロービジ塗装へ変更が進んでいます。

 タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦はスプルーアンス級駆逐艦の船体を基本に建造されました、1981年までに31隻が建造されたものの2005年に全艦除籍されたスプルーアンス級を実は2005年にWeblogを運用開始しました当方は視た事が無かったりします、派生型だ。

 ロナルドレーガン、ニミッツ級原子力空母はアメリカの海軍力を象徴する威容です。アメリカが航空母艦を前方展開させているのは日本だけ、イギリスにも前方展開は実施していません、もっともこれは太平洋が大西洋より遥かに広大であるという事情もあるのですが。

 ニミッツ級原子力空母は1975年竣工のニミッツからジョージブッシュまで10隻が量産され、満載排水量は91400tから10200t、十万トンを超える軍艦の量産は世界海軍史上いまのところ前例がありません、艦内には航空団をそのまま搭載し戦力投射の象徴といえます。

 アンティータムとシャイロー。タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦は大型駆逐艦として建造されたスプルーアンス級に新開発のイージスシステムを搭載する指針が1975年に決定し建造されました、ズムウォルト海軍作戦部長時代に構想された5000t級防空艦構想が始り。

 原子力打撃巡洋艦CSGN計画構想というものがイージス艦の源流で、これはターターシステムがアナログシステムであり多数同時飽和攻撃に対し同一目標を重複追尾する等、その対処能力に限界を来していた為、デジタルターターシステム、その延長線上に計画された。

 ズムウォルト海軍作戦部長は高コストを避けて量産するには安価な防空艦が必要という認識であり、対してCSGN計画はズムウォルト海軍作戦部長後任のホロウェイ海軍作戦部長が駆逐艦では性能不充分として12700tの巡洋艦を構想、これは極めて高コストの案でした。

 ロナルドレーガン。イージス艦は空母の直掩用ですが、スプルーアンス級は極めて大型で空母に荒天や台風下でも随伴する航行能力を有しており、この船体にイージスシステムを搭載したタイコンデロガ級も空母の相方として随伴するに十分な性能を有していました。

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令和二年度十二月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2020.12.19-12.20)

2020-12-18 20:10:00 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 クリスマスと上皇誕生日がいよいよ来週となりますが、やはり自衛隊関連行事は行われません。そこで本日は懐かしい木更津航空祭の写真とともに最新の話題を。

 百里基地において12月15日、F-4ファントムの部隊運用が遂に終了しました、のこるは岐阜基地で2021年初頭まで運用が維持されます。一方、今週は日本海側の降雪と新潟群馬での豪雪が自衛隊災害派遣を要請する規模となっており週末に掛け再度豪雪の予報があり、予断を許しません。しかし、やはり今週一番の関心事は、COVID-19感染拡大でしょう。

 ワクチンが完成したならば国際航空貨物路線を通じて素早く成田や関空に届き、日通に佐川とヤマトから自衛隊まで動員した大空輸作戦が始まる、こう考えていたのですが、アメリカが第二次世界大戦以来最大の、イギリスがノルマンディ上陸以来最大の輸送作戦により、既にイギリスでは12万5000名が接種した一方、日本国内の対応は何とも他人事だ。

 ファイザー社製ワクチンの緊急使用許可がアメリカで間もなく出される見込みです。既にアメリカでは600カ所で先行接種されました。これを受けアメリカのペンス副大統領は公開接種を夫妻で行うとしており、また25万人分が来週にも発送開始となります。EUでも早ければ21日にも認可するとともに、27日から29日にかけ欧州で接種が開始されます。

 これはアメリカABCが本日18日日本時間朝に報じたもので、一方同じ報道ではアラスカ州において医療従事者2名にアレルギー反応が出たとの事で、これはワクチンの広範な接種を妨げるものではないとしているものの、過去に重大なアレルギー反応が在り治療薬を持ち歩いている場合には念の為接種を避ける様、アメリカ食品医薬品局は勧告しています。

 ファイザー社のワクチンはアストラゼネカ社製ワクチンの様な超低温で輸送を行う必要があり、ロイター通信によれば過度に低い温度でも効力が無くなるといい、接種後に倦怠感や筋肉痛といった反応が高い確率で確認されています。アメリカ食品医薬品局の判断は、こうしたものと差し引いても、接種を中止するよりCOVID-19の危険性が高いとしました。

 アザー厚生長官はアメリカ供給を急ぐべく国防生産法を適用し、緊急増産を継続するとしています。超低温での輸送、ファイザー社製ワクチンはマイナス70度という超低温での輸送が必要とされていますが、ロイター通信によればカリフォルニア州でのワクチン保管において保管庫がマイナス80度まで低下するトラブルがあり、使用できなくなったとのこと。

 日本国内でのワクチンでは、NHK本日0429時の報道において、厚生労働省へ本日18日にもファイザー社製ワクチンの日本国内使用申請が出される事となり、新型コロナウィルスワクチン申請は日本国内では今回が初めてとなります。このワクチンは日本国内では既に治験が行われていますが、薬害への懸念となるような事例は幸い報告されていません。

 モデルナ社のワクチンはアメリカの食費に薬品局が20名の専門委員総員一致で緊急使用を認めており600万名分が数時間内の許可を見越して出荷準備を進めています。18日に第二のワクチンとして緊急接種されるといい、アメリカでは24時間で3600名が死亡し既に30万以上が死亡する中の緊急認可、ファウチ博士は発症患者に対しても有効と発言しました。

 2021年6月までに6000万人分の供給が厚生労働省とファイザーとの間で基本合意している、との事ですが、アメリカが国防生産法を適用し緊急生産分を自国内において確保している為、半年後の基本合意というものが、どの程度確実に確保されるかは不確定要素となるのでしょうか。厚生労働省はアストラゼネカ社との間でもワクチン確保を進めています。

 日本国内での新規感染は17日に初めて一日の感染者数が3000名を超えており、これは春の第一波や夏の第二波と比較しても極めて高い水準となっており、一刻も早いワクチン接種開始を行うか、ロックダウンを上限とした厳しい対策の実施による感染拡大阻止を行うか、何れかの選択肢を採らなければ、一般病床での重篤患者治療を強いられる事となる。

 日本国内でのワクチン接種は、現行法では国民の努力義務と位置づけ、指定感染症に対して実施されるワクチン強制接種は行われない事となっていますが、6000万人分のワクチン確保とともに、何処で如何にして接種させるかは、先ず各家庭にワクチン接種クーポンを郵送し、事前予約を行った上で指定場所において接種を行う、という方針で臨むという。

 接種はどの病院で行うのか、狂犬病集団予防接種のように役場で行うのか、小学校での集団予防接種の手法を用いるのか、全国民への接種を行うのですが注射は医療行為である為に接種要員は充分であるのか、実のところ切迫感は、ワクチン接種の遅れよりも国内報道ではGOTOトラベル停止や首相会食への避難など、何か報道の視点が不可思議と感じる。

 mRNAワクチン。政府とマスコミはもう少し、このCOVID-19に関する新型ワクチンの新方式であるmRNAワクチンの科学解説を充実させてほしい、こう切望するところです。mRNAワクチンは聞きなれないだけに憶測と誤解が勝手に独り歩きしています、欧州では外国の良くわからない技術であり、信用できない、と市民の発言が日本で報道されてゆく。

 mRNAワクチン、しかし欧州でよくわからない外国の技術と報道され、日本で放映されているのですが、何処の外国かと云えば東京大学と東京医科歯科大学が抗がん剤研究と新型ウィルスに応用できるワクチン技術として、従来の生ワクチンに代わる安全なワクチン技術として開発したものが、mRNAワクチンなのですね。欧州からは外国でも日本の技術だ。

 mRNAワクチンが安全だと理解される背景には、従来の生ワクチンは薄めた原種ウィルスを使用しており、例えば天然痘でジェンナーの牛痘ワクチン開発前の希釈種痘では致死率2%という危険が。mRNAワクチンはCOVID-19のウィルスを全く使用せず免疫効果を獲得できるものなのですが、ここを政府とマスコミは分り易く時間を割いて解説してほしい。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・今週末の行事なし

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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【京都幕間旅情】鷲峰山高台寺,関ヶ原から大坂城へと悸慄高まる高台院のみた分岐の地に想う

2020-12-17 20:02:12 | 写真
■いまも大坂を望見する高台寺
 豊臣秀吉の正室高台院はほんとうに大坂城落城を京都から見ていたのか、これは稀に聞かれる話題ですが、実際に視てみると分かる。

 高台院、京都の四季折々の情景は常に趣き深いものではありますが、中でも悸慄高まる由縁は、やはり日本史、幸いにして当時の日本と現代の日本は同じ天皇制と共に在る、そのなかで歴史の舞台となりましたその地に直接結ばれているところなのかもしれませんね。

 鷲峰山高台寺は東山区下河原通八坂鳥居前の少し小高い所に位置します臨済宗建仁寺派の寺院です。そして此処は高台院こと北政所、天下人豊臣秀吉の正妻正室にて戦国の世に甘酸っぱい恋愛を以て結ばれた戦国武将の出世頭を常に支えて支え続けた傑物でもあります。

 慶長11年の西暦1606年に造営された御山は、慶長年間1614年の大坂冬の陣での騒擾も、そして慶長年間1615年大坂夏の陣での大阪城落城も遠望している。高台寺の伽藍からは現在大坂は方角が見えるのみですが、駐車場からは大阪駅付近の摩天楼が望見出来るのです。

 豊臣秀吉菩提寺として造営されたお寺は、天下分け目の戦いである関ヶ原の戦い頃にはまだ無く、1599年石田三成襲撃事件に際し徳川家康と並び事変を仲裁した事で豊臣秀吉後継ではなくとも威光を継ぐ正統性を示した北政所は、しかし政治的基盤を持ちませんでした。

 京都新城屋敷、現存しない京都御所北辺を護る城郭が北政所の住処だったという。ここは有名な聚楽第が破却され近年まで遺構の位置さえ知られなかった洛中の城郭に代わり豊臣秀頼の京都での居城として整備されたものですが、秀頼は当時大坂城を拠点としています。

 淀殿、豊臣秀吉側室は豊臣秀頼の後見人として大坂城に在り、明らかに豊臣家の正統性は大坂の地に在った訳です。京都新城屋敷も天守閣や櫓と城門等は破却され急速に城郭としての要諦を省かれ、北政所は実兄木下家定が大坂より時折護衛に手勢を送る程度だった。

 関ヶ原の戦いでは、東軍が西軍を破りつつ最終確保地域が明示されていなかった為に大坂城と共に京都新城屋敷も安泰ではなく、身を案じた木下家定が大坂より自ら手勢五百と共に駆け付けています。そして歴史の不思議なのですが小早川秀秋は木下家定の実子という。

 小早川秀秋と云えば関ヶ原の戦いにおいて防御戦闘を固めた西軍に在って逆襲部隊を指揮する要諦に在りながら手勢19000名を以て東軍に寝返り西軍敗北の端緒を造った今日に続く裏切りの代名詞、中立を保ったとはいえ、木下家定と北政所の立場は微妙といえました。

 木下家定は中立を保ったことが徳川家康により評価され西軍武将ながら備中国足守藩主として石高は減封されず、その際に臨済宗建仁寺へ出家しています。北政所はこの際に京都新城屋敷を出て京都御所仙洞御所に移り住みました。まだこの時点で高台寺はありません。

 豊臣秀頼と千姫の婚儀、後の徳川幕府二代将軍徳川秀忠の実娘との婚儀が1603年に行われますと出家し高台院となります。高台寺造営の三年前の。大坂冬の陣では高台寺を出て停戦調停を試みますが幕府により木下利房備中国足守藩主が目付け役として高台寺に遣わる。

 大坂冬の陣の頃には木下家定は既に亡く、高台寺造営の頃に既に鬼籍にありました。こうして大坂城の降伏と続く夏の陣による落城は、この京都の高台寺から眺めている事しか出来なかったのですね。徳川秀忠の高台寺訪問等、しかし不思議な交友を維持していました。

 高台寺から大阪は見えます、そして当時は今ほど灯火がありませんでしたので遠く大坂城の落城の焔は、あれだけの巨城故に望見できた事でしょう、赤々明々と照らす豊臣家の最後を望見しつつ高台院は何を想ったか、こうした事を考える思考の旅も京都の醍醐味です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【防衛情報】NATO次世代統合ヘリ計画とNH-90&H-160Mの混成,AH-1W&AH-64D延命

2020-12-16 20:00:05 | インポート
■週報:世界の防衛,最新11論点
 防衛情報、今回は各国のヘリコプターに関する最新の話題を11まとめてお伝えしましょう。

 NATO次世代統合多用途ヘリコプター計画がイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ギリシャ参加の下で11月19日に正式に発動しました。これは五か国国防大臣がオンライン会議にて共同声明の形で票召したものです。この次世代統合多用途ヘリコプター計画は欧州NATO諸国がアメリカ製兵器への依存度を低減する一連の流れにあって開発するもの。

 欧州NATO加盟国が現在運用する多用途ヘリコプターのうち、UH-60やSA-332及びH-160にUH-1とNH-90などのヘリコプターが2035年から2040年にかけ耐用年数を迎える事を見越したものです。ただ、現段階では次世代統合多用途ヘリコプター計画により開発される航空機が要求性能や要目を含めて、どのような機体となるかは盛り込まれていません。

 多段階共同開発と新技術開発を念頭に欧州NATOの技術的優位性を確保する事が目的であるとされ、これは単なる中型ヘリコプターを開発するに留まらず可動翼機や複合ヘリコプターのような高性能機を志向する可能性も示しています。どういった技術を盛り込むか、どのように開発分担し費用分担するかは、今後数年間により議論し画定するとのことです。
■フランスのNH-90一部を転用
 自衛隊のUH-1後継機も20機の飛行隊を8機編成に縮小してでも高性能機としておけば、こうした離れ業が出来たのですがMV-22でやろうとしている。

 フランス陸軍はNH-90ヘリコプターの一部を特殊作戦用ヘリコプターへ強化する契約をエアバスヘリコプターズ社とNHインダストリアル社との間で締結したとのこと。NH-90特殊作戦ヘリコプターは既存の機体の改修ではなく2025年に納入されるフランス軍向けNH-90ヘリコプター最終納入分を通常仕様から特殊部隊へ切替えて取得するとのことです。

 NH-90ヘリコプター特殊作戦型は10機の取得が計画され、通常型と比較しEOS-FLIR次世代型電子光学式前方赤外線監視装置とDAS分散開口型赤外線システムやヘルメントマウンドディスプレイ型3D立体暗視装置、M-3航空重機関銃システム、機内キャビンタブレット情報装置等搭載、この特殊作戦ヘリコプターにより長距離の侵攻作戦が可能となります。
■仏,EC-665用新ミサイル
 ヘリコプター用ミサイルの長射程化が進む中でフランスは従来型のミサイルを開発するようで、自衛隊も無理に高望みしない冷静な視点も必要でしょう。

 フランスのパルリ陸軍長官は11月、ミサイル大手のMBDA社がEC-665/PAH-2戦闘ヘリコプター用次世代戦術空対地ミサイルの開発を開始した、と発表しました。これはMAST-F計画とされ、既存の対戦車ミサイルより重量を20%軽量化させることにより定数である8発を搭載した場合に100kgが軽量化され、その分航空燃料を多く搭載可能となる。

 MAST-F計画では、MHT高層ミサイルとMLP長距離移動ミサイルの二系統を統合させる事となり、対戦車ミサイルとしては第五世代の装備品を目指す方針です。そしてこれはEC-665/PAH-2戦闘ヘリコプター搭載用に留まらず、様々な空中戦闘システムへの適合性を期しており、既存ミサイルシステム技術延長線上で実用化、開発しリスクを低減します。

 EC-665/PAH-2戦闘ヘリコプター搭載用のミサイルは低高度から射撃した場合でも少なくとも射程は8kmを越えるものとするとともにミサイル本体からの高解像度画像情報を発射母機に送信するBLOS視程外戦闘能力を付与し、またこの画像送信能力により発射母機は次目標に関する情報収集に充てるという。射程は特段長くはないですが次世代装備です。
■仏三軍統合機H-160M
 陸上自衛隊のUH-1後継機にフランスも変な新型計画ではなく、ゲパールの様なこういった手堅いが用途が広い航空機を提案して欲しかったですね。

 フランス空軍は旧式化が進むAS555フェネック軽ヘリコプターの後継機としてエアバスH-160Mゲパールヘリコプター40機を導入する計画です。H-160はHILフランス軍統合軽ヘリコプター計画として開発されたもので、今回、空軍用H-160Mのモックアップが完成、10月29日に空軍司令部の航空救難団司令官オリビエファブレ准将が視察したとのこと。

 H-160MはEO/IRセンサーを機首部分に搭載し左右のスタブウィングに20mm機関砲及びFZ275レーザー誘導ロケットを搭載しドアガンとして7.62mm機銃を設置可能です。空軍は航空救難用に採用しますが、陸軍も軽攻撃用に80機、海軍が捜索レーダーとANF軽対艦ミサイルを搭載し哨戒用に49機を導入する計画で、2026年より引渡開始となります。
■オランダはAH-64Dを延命へ
 自衛隊もAH-64DについてはAH-64Eを増強すると共に既存の機体を延命させる必要があるでしょう。

 オランダ陸軍は現在のAH-64Dを2050年まで運用するべく最初の三機をアメリカへ搬出したとのこと。これは2018年に決定されたアパッチロングボウ長期運用計画に基づくもので、アントワープ港からアメリカへ海上輸送されたのちに二年間にわたる改修へ入るとのこと。AH-64はオランダ軍に28機が配備、内17機はロングボウレーダー搭載型です。

 AH-64DアパッチロングボウからAH-64Eアパッチガーディアンへ。今回のアメリカでの改修作業はボーイング社メサにあるボーイング工場が実施、AH-64Dは最新型のAH-64Eに改造されると共に老朽部分の徹底的なオーバーホールが行われ、エンジンも強化される。今回改修が開始される3機は2023年から2025年にかけ、オランダ軍へ戻る計画です。
■リトアニアUH-60採用
 陸上自衛隊も数を揃えられませんでしたがUH-60シリーズはどうしても高価格になってしまうものなのですね。

 リトアニア軍は11月13日、アメリカ製UH-60M多用途ヘリコプター4機を2億1300万ドルで導入すると発表しました。これはリトアニアのカロブリス国防大臣が公表したもので、2億1300万ドルの契約には精密航法装置や訓練費用と整備支援なども含んだものとなっており、リトアニア軍では近い将来更に追加の2機を調達したい意向と伝えられる。

 UH-60M多用途ヘリコプターはリトアニア軍に残る旧ソ連製Mi-8輸送ヘリコプターを代替するものであり、兵員輸送とともにTOW対戦車ミサイルやハイドラ70ロケット弾を搭載し武装ヘリコプターとしても運用する計画である。UH-60M多用途ヘリコプターはNATOでも幾つかの加盟国が運用するとともに隣国ラトビアにおいても採用されている。
■米海兵隊AH-1W運用終了
 陸上自衛隊のAH-1Sについても製造元の富士重工に拘らずとも能力向上改修を行い2040年代まで延命できないものか。

 アメリカ海兵隊は2020年10月、最後のAH-1Wスーパーコブラ運用を完了しました。スーパーコブラはAH-1ヒューイコブラの双発型として1983年に初飛行を迎えて以来、海兵隊の危険な洋上飛行任務を経ての両用作戦において常に第一線に在り、1999年までに179機を取得しました。AH-1Wの除籍は老朽化によるものですが機体は解体されません。

 AH-1Wスーパーコブラ。アメリカ海兵隊において用途廃止となったAH-1Wスーパーコブラはいったん解体され、その機体の主要部分をAH-1Zバイパー攻撃ヘリコプターの機体構成要素へ再利用されています。AH-1W機体部分は実に30年以上にわたり酷使されていますが、機体寿命と無関係の部位も少なくは無く、この部分が主として再利用されるかたち。

 AH-1Zバイパーは外見上の最大の特色がAH-1Wの2枚ローター構造に対して4枚ローター構造を採用した点ですが、機体には大胆なC4I戦対応のアヴィオニクスが搭載され、アメリカ陸軍が運用するAH-64Dアパッチロングボウに比肩する性能を付与する事が可能です。AH-1Zへの改修により、将来的に半世紀近く飛行するヘリコプターも現れましょう。
■HH-60W戦闘救難ヘリ
 航空自衛隊の救難ヘリコプターと異なり戦場に取り残された操縦士を救助する為の米軍救難機は一種の特殊部隊機となっています。

 アメリカ空軍はHH-60W戦闘救難ヘリコプターの第一線部隊への初受領を11月5日に実施したとのこと。HH-60Wはジョージア州ムーディ空軍基地第23航空団第347救難飛行隊に2機が配備されました。HH-60Wの愛称はジョリーグリーン2、UH-60M多用途ヘリコプターの改良型となっています。今後は現行HH-60Gペイブホークを順次代替します。

 HH-60W戦闘救難ヘリコプターは航法装置や通信装置等を一新、回転翼を複合素材製に切り替えるとともに機体形状を一部変更し燃料搭載能力を強化、この形状変更に併せ低空域での高機動性に配慮した空力形状へ改めると共に海上での長期運用を視野に腐食防止構造を採用しています。空軍はHH-60W戦闘救難ヘリコプターを108機導入予定とのこと。
■アルプス救難用にAW-169
 救難ヘリコプターというのは要求性能に上限が無いものなのですが、まだアルーエットⅢを運用していたというには驚きでしたね。

 オーストリア陸軍はアルプス山脈の捜索救難用にアグスタウェストランドAW-169多用途ヘリコプター18機を導入する方針を9月に発表しました。アグスタウェストランドAW-169は10名を輸送可能である軽多用途ヘリコプターで15名を空輸可能であるAW-139を一回り小型としたもの、派生型というだけではなく整備や操縦資格の大半が共通という。

 アグスタウェストランドAW-169多用途ヘリコプターは旧式化が進むアルーエットⅢの後継機として位置付けられています。アルーエットⅢはテイルローター付近の形状が一見して前時代的ではありますが整備性が高く、山間部での運用性の高さからも重宝されていますが、オーストリア軍では救難用と共に多用途ヘリコプターとして運用を見込んでいます。
■トルコ,TAI-T-625用エンジン
 各国ともに稼働率や費用管理の名目から部分部分の国産化を進める方式は似たようなものなのですね。

 トルコが国産開発を進めるTAI-T-625ヘリコプターはこのほどTEI社製国産エンジンを搭載する改修に成功し、これを受け、年内にも国産エンジンを搭載し飛行試験を開始する方針を示しました。T-625多用途ヘリコプターでは試作機がアメリカのLHTEC社製 CTS800エンジンの双発型でしたが、トルコ政府は国産エンジン搭載を切望していました。

 T-625ヘリコプターは5t級多用途ヘリコプターで、人員12名を空輸可能です。トルコ国内防衛産業大手TAIではフランス製AS-532最終組立やイタリア製AW-139胴体分担生産等で航空機製造の実績を積んでいる事から一定の国産能力があると考え、技術開発協力としてアメリカのシコルスキー社と提携、2013年より35億ドルを投じ開発を進めていました。
■マレーシアのMD-530G
 自衛隊では引退したOH-6の原型MD-500シリーズは特殊作戦用や軽攻撃用として今も用途がある模様です。

 マレーシア軍は納入が遅れていたアメリカ製MD-530G軽攻撃ヘリコプターの受領を開始したとのこと。MD-530G軽攻撃ヘリコプターは当初2017年納入予定でしたが遅れに遅れ2020年6月に納入予定となっていましたが、諸般の事情により更に数カ月遅れています。器材納入は遅延していますが、要員訓練はアメリカ国内で実施され、こちらは順調という。

 MD-530G軽攻撃ヘリコプターは7.62mmミニガンと40mm擲弾銃及び70mmロケット弾派生のAPKWSミサイルを6発搭載しガンシップとして用いる。マレーシア政府は2016年にMD-530G軽攻撃ヘリコプター6機を7640万ドルにて調達する契約を締結、マレーシアではサバ州等において武装勢力行動を制圧する為にこの種の機体を必要としていました。

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【京都幕間旅情】高台寺(鷲峰山)紅葉溢る東山の高台に蒔絵の寺の時雨亭と傘亭安閑窟を巡る

2020-12-15 20:01:13 | 写真
■紅葉の鷲峰山高台寿聖禅寺
 東山の散策、紅葉の季節は何処を散策しても巡っても風情と哲学の愉しみがあるものです。

 高台寺。ここは髙臺寺とも号しまして、いや正式には鷲峰山高台寿聖禅寺といいます、東山区下河原通八坂鳥居前下る下河原町、小高い立地に広がる寺院です。寺号はかの太閤豊臣秀吉の正室北政所の仏門に落飾した際の造営、秀吉没後の安寧を祈る為の寺院です。

 東山とは地名から山の名が記されるのですが、たしかに祇園から眺めれば勾配は上の方へ至るもののそれほど山手という印象はありません、しかし、その高台寺という立地は、これは由来と標高はそれ程結びついていないのですが、長い階段を上りますと山門に至る。

 紅葉の美しい寺院でして、東山の高台に立地します寺院は冷涼な風と共に、しかし陽光に恵まれた立地故に同じように秋の寒さと共に椛の木々が色づく事で一様といえる風景の移ろいが印象的です。紅葉の季節には夜の特別拝観も行われましてなかなかに活況が広がる。

 北政所落飾した際に名を高台院としまして、ここが高台寺と号する所以です。東山の山手に広がる小高い寺域は、庭園に観月台と開山堂そして霊屋が広がる風情となっていまして、拝観と共に庭園を散策しますと、数多禅寺とは一線を画した不思議な情景がひろがります。

 臨済宗建仁寺派の寺院。秀吉の菩提を弔う寺院として慶長11年の西暦1606年に建立されました寺院ですが、これは寛永元年の西暦1624年に臨済宗建仁寺派大本山の建仁寺より三江紹益を中興開山としまして招聘した為で、それまでここは曹洞宗の寺院であったという。

 蒔絵の寺。こう美しく称される事もあります高台寺ですが、この背景には霊屋、重要文化財指定されていますこの堂宇が堂内装飾には桃山様式の蒔絵を多数美しく用いていまして、その美麗な伽藍故の美称というところなのですが、ここは一際静かなようにも思えまして。

 高台寺蒔絵とも称される蒔絵はもともと北政所所縁と伝えられるものである為、趣向の連関性が垣間見えます、そしてこの霊屋には北政所本人が没後に安置されていまして、その上には太閤秀吉と北政所と自身の像が四百余年を経て往年の睦ましさと威厳を湛えている。

 臥龍廊。京都の美しい情景を写真に収めたものを並べますと、この龍の背に似た回廊が高台寺を一つ代表する情景といえるでしょうか。これはもともと、開山堂と霊屋を結ぶ階段でして、急な斜面に屋根を構築したことで龍の鱗の様な印象的な情景を醸し、霊屋へ至る。

 釈迦如来に大随求菩薩を奉じる寺院ですが、太閤秀吉と北政所を祀る霊廟としての印象も強い寺院故に茶室が存在感を強めています。傘亭安閑窟と時雨亭、千利休好みの茶室、これは千利休が造営したとの意味合いを持つのですが、重要文化財の茶室が高台に並びます。

 時雨亭と傘亭安閑窟。傘亭と屋根付土間廊下で結ばれる不思議な二階建て茶室となっていまして、上階南側とは大胆にも柱間に壁や建具を有さない吹きぬけ構造というほかにはなかなか見ない構造で、これはもともと南に在りました伏見城からの移築とされています。

 傘亭安閑窟、傘亭とも称されるこの建物はやはり伏見城からの移築、宝形造茅葺き構造で非常に質素な印象を受けるものです。この印象を支えるのは内部の天井が天板を有さず竹組構造となっていまして、恰も形が唐傘に似ている点がこの茶室が傘亭と呼ばれるゆえん。

 紅葉の季節には此処はかなりの賑わいとなるのですが、まあ諸般の事情はさて置きまして永観堂や清水寺ほどは何故か混雑しません。紅葉の季節は午後に拝観しますと、傾くのが早い日の入りが東山一帯を一際朱色に染めまして、不思議なひと時を愉しめるのですね。

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【G3X撮影速報】ファントム301号機岐阜基地特別塗装!空行くF4四機編隊(2020-12-14)

2020-12-14 20:00:35 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■岐阜ファントム記念塗装登場
 本日、岐阜基地飛行開発実験団に所属するF-4戦闘機の記念塗装飛行が行われました、今回は速報という事でコンデジにて撮影の写真を速報です。

 F-4EJ戦闘機記念塗装機が本日飛行しました、この記念塗装は航空自衛隊最長の運用、1971年から2021年にわたる航空自衛隊F-4戦闘機運用の最終段階を飾るものであり、航空自衛隊ファントム発祥の地である岐阜基地にて有終の美を飾る記念塗装ともなっています。

 四機編隊のF-4EJ,そしてF-4EJ改、本日は航空自衛隊のフォトミッションにて飛行したものと考えられ、実際、離陸の様子から着陸の瞬間まで、F-2Bはじめ複数の航空機が随伴し、また、F-2Bの一部はカメラを携行した搭乗員が後部座席に任務に当たっていたのがみえる。

 アメリカから到着した当時の特別塗装機が飛行した、この一報は先週木曜日に愛好家が撮影、話題となりました。特別塗装機を含む四機編隊の飛行はそのまま金曜日も実施、こうして期待を込めて岐阜基地周辺には幻の岐阜基地航空祭2020を求め多くが集ったわけです。

 百里基地が航空自衛隊ファントム飛行隊発祥の地ですが、岐阜基地はアメリカのマクダネルダグラス社において開発されたEJ型最初の初号機と二号機が到着したその地であり、また初号機である301号機がこの記念塗装機として日本配備当時の塗装を復刻したものです。

 301号機、EJ型初号機は日本においてもっとも古いファントムではありますが、飛行開発実験団において評価試験に供されたことで飛行時間は第一線のEJやEJ改ほどではなく、多くのファントムが長い任務を完了し退役したなかでも運用が維持され、今日に至ります。

 ファントム。もともとはアメリカ海軍の空母艦載機として開発されたもので、しかし艦隊防空を担うとともにA-6攻撃機やA-4攻撃機に随伴しての航空打撃を担う関係から、制空戦闘機として性能も有しており、当時F-104を運用していた航空自衛隊に注目されました。

 EJ型はアメリカ空軍仕様のE型を日本仕様として爆撃照準機や核兵器運用機能を省いたものであり、アメリカ空軍も当時は戦略空軍との予算関係や航空阻止への戦術核兵器有用性から戦闘機というより戦闘爆撃機というべき機体が重視されていた時代に採用されたもの。

 F-105戦闘機などアメリカ空軍は戦闘爆撃機を第一線で運用し、またアメリカ本土ではF-102やF-106といった地上管制防空システムと一体運用するミサイルの延長線上のような戦闘機が多数を占めていた中、ヴェトナム戦争という地域戦争を迎えることとなった。

 F-4はここまでのF-105がMiG-19やMiG-21といった軽戦闘機の攻撃に格闘戦で対抗できず、またF-102やF-106は本土以遠での運用を想定していなかったために用をなしません、ここで空軍は海軍のF-4をF-110として採用した、これが世界中に採用されたF-4Eという。

 アメリカは各国にF-4を供与し、海軍空軍の採用と友好国同盟国への供与により生産数は実に5000機を越えるものとなりました。こうしたなかで航空自衛隊は三菱重工によるライセンス生産を実施、これにより2020年代まで長期間の運用基盤を確保できたわけです。

 今回の特別塗装は、いよいよ年内にも最後に実戦部隊として運用が維持されている百里基地第7航空団での運用が終了し、そして間をおかず来年の早い時期には飛行開発実験団での運用も完了する、この転換点にあわせ実施されたもの。見れる期間は長くはありません。

 曇天と雨天、全く飛行せずこのまま終了か、と危ぶむも無事午後過ぎから飛行を開始、夕闇迫る頃に美しい四機編隊、随伴の各種航空機とともに着陸する様子を撮影できたのは幸い。最後になりましたが現地でご一緒いただきましたみなさま、ありがとうございました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【7D特報】三井山城址上空を旋回!岐阜基地所属F-15&T-4と外来T-400(2020-09-15)

2020-12-13 20:20:07 | 詳報 陸海空自衛隊関連行事
■躍動!頭上の自衛隊機!
 岐阜基地撮影、2020年は航空祭が新型コロナウィルス影響により全面中止となる中で人が殆どいない山頂からの戦闘機の躍動は中々に貴重で爽快な気分に浸れます。

 F-15戦闘機が旋回します、ここは三井山山頂。三井山というのは標高109m、それほど高い山ではなく丘陵地帯といえるところなのですけれども、岐阜基地から1kmと隔てていない好立地、滑走路までも2kmなく、だから戦闘機の旋回を間近に感じる事ができる。

 航空祭が軒並み中止となっています2020年、ですから旋回する戦闘機、背中が見える、と航空機愛好家は表現する、単に滑走路に降りてくる航空機からは感じることができない躍動感を、こうして日常的に得られるというのは、ある意味貴重な立地だ、といえましょう。

 岐阜基地。飛行開発実験団が置かれる岐阜基地は機種が多く、F-15にF-4にF-2とT-2にT-7とC-1が配備されています。いまは数が足りない故に実戦部隊のみに配備されているF-35も、遠くない将来に飛行開発実験団に配備されることとなるのでしょうか、ね。

 T-400の旋回、第41教育飛行隊の機体で美保基地からの外来機です、C-2輸送機を運用する第3輸送航空隊の隷下部隊でC-2輸送機を運用する有名な第403飛行隊ととももにこの第41教育飛行隊が置かれている。2個飛行隊置かれているのだから航空団でもよいと思う。

 MU-300として三菱重工が開発した機体をビーチクラフト社へ製造権売却したものがアメリカ空軍にT-1Aとして採用され、本邦も採用することに。航続距離2800kmで操縦士のほかに人員7名を輸送できますが、自衛隊では輸送機や空中給油機の操縦士を養成している。

 岐阜基地へ美保基地の外来機、一瞬心躍る瞬間ですが実はかなりの頻度で岐阜はもちろ全国の基地へ練習飛行で飛来しています。ちなみに後部に人員を輸送できることから3.11東日本大震災では救援物資輸送機に活躍しました。ビジネス機故に飛行の難しさもあるとか。

 飛行開発実験団。1990年代までは技術試験を行うF-15が十分確保できなかったとかで、一部の試験には千歳基地第2航空団の機体を借用していた時代があります。F-35,自衛隊は147機もF-35を導入するのですから、国産装備や機材との適合性も考え得る可能性が。

 三井山の標高は109m、しかし、近く感じる。航空祭の機動飛行でもこの位の距離なのでしょうか、そして機動性を誇示する機動飛行を思い出してみますと、タッチ&ゴーの為に発着しているのですから、それほど急激な運動性能を示す必要は無く、要するに撮りやすい。

 空の公園各務原。昔は滑走路エンドの延長線上で撮影していました、撮影位置に右も左もわからず、仕方ないので徒歩で岐阜基地周辺を一周してみた2005年に、ここが定番撮影位置なのか、と知った際から長らく撮影地としていた、当時は公園ではなく空き地でした。

 T-4練習機の旋回飛行。T-4練習機は川崎重工が開発した純国産練習機で200機以上が量産され、自衛隊機としてはかなり成功した部類だと思います。もっとも、アメリカ空軍が世界規格に採用した再生可能エネルギー利用航空燃料とエンジン相性は悪いようですが。

 T-X,としてして成功しましたT-4ですがそろそろ老朽化が進んでいますので後継機を考えねばなりません。T-4,この成功背景には徹底し余分な性能を削った事で費用を抑えたところにあるといいまして、この論理ならば操縦席を一新し再生産という選択肢もあるでしょう。

 三井山山頂。109mですので駆けあがるのに十五分、慣れれば十分ほどで山頂です、最初は遠く感じますが慣れてくるとあと何度曲がれば山頂か、と分かるようになりまして、109mですが、駆け上がれば、ほんの少しだけ、写真のように空を近く感じる事ができるのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【土曜特集】榛名から鹿島へ(1)はるな現役時代,舞鶴基地に停泊する護衛艦(2008.03.22)

2020-12-12 20:20:01 | 旅行
■早春の京都-舞鶴基地は快晴
 はるな。護衛艦はるな、です。Weblog北大路機関草創期は回線制限や容量上限が厳しく中々にお伝えできなかった懐かしい基地や艦艇の日常風景を紹介しましょう。

 はるな、みょうこう、はるな艦砲の背負い式配置の奥に、みょうこう艦橋という構図から。昨今、戦艦榛名が人気を集めていまして、金剛型戦艦にあって太平洋戦争を最後まで戦い抜いた事が注目されているようですが、北大路機関にとり、はるな、とはこの護衛艦です。

 自衛艦旗がマストに翻る。旅行、北大路機関のカテゴリでは旅行記と重複するものの、旅行カテゴリはOCNからGOOブログへ移行した際の標準仕様でしたので活用できていませんでした、しかし、旅行、軍隊用語では基地や軍艦や艦艇の中を案内する事を示します。

 はるな自衛艦旗を目一杯拡大して。旅行ということで少々古い写真ではありますが、護衛艦はるな、練習艦かしま、をおなじ日に撮影しました際の思い出はなしなどを。旅行と言うことですので、案内する基地はここ舞鶴基地、京都の日本海側にあります基地という。

 はるな、みょうこう、はるな艦砲の奥に、みょうこうSPY-1レーダー。第一世代ヘリコプター搭載護衛艦の鏑矢となりました護衛艦は2009年に除籍されまして、文字通り歴史の中に去っていきました故にこの在りし日の舞鶴の情景を今日から想像するには想像力が要る。

 はるな艦首旗の奥に、みょうこうSPY-1レーダー。舞鶴基地といえば帝国海軍の時代には舞鶴軍港、日本でもっとも駆逐艦を量産した軍港として知られる要衝で戦後も長らく駆逐艦の名を冠した護衛艦と軽巡洋艦名でも駆逐艦なみの大きさの小型護衛艦の基地でした。

 5インチ単装砲の奥に、みょうこうSPY-1レーダー。転機となりましたのは1996年のイージス艦みょうこう舞鶴配備、そして1998年、長崎県佐世保基地から第三護衛隊群直轄艦はるな、舞鶴へ転籍することとなったもので凄く大きな護衛艦が舞鶴へ、と地元では話題に。

 はるなマストに第三護衛隊群司令旗が。はるな、第一世代ヘリコプター搭載護衛艦はヘリコプター巡洋艦型船体を採用しており、なるほど群司令旗が掲げられているのは、艦容に重なるものと今でも懐かしく思うところです。かしま、までもう少し散策を続けましょう。

 BEST GUNNURY TEAM OF ESCORT FLEET,はるな艦砲に記されている。5インチ単装砲は有人砲塔で、展示訓練などで空包射撃を実施するさいには小宴とともに砲手が出入りし、その後の砲塔内見学などでこれこそ艦砲、という強い印象をもたされたものでした。

 すずなみ、その奥に補給艦ましゅう。舞鶴基地はよほどのことがなければ毎週土曜日日曜日に一般公開を行っていまして、この長い岸壁いっぱいに多数の護衛艦が停泊しています、今では巨大な護衛艦ひゅうが、が接岸していますが昔は小型で、しかし数が多かったです。

 あぶくま、はるな、すずなみ、ましゅう。舞鶴の長い岸壁、自衛隊基地としてはもっとも長大な岸壁となっていまして、行き来しますとその長さを実感します、護衛艦が多いという印象の背景には一つの岸壁に護衛艦とミサイル艇などが固まっているため、でしょうか。

 あぶくま、はるな、すずなみ、ましゅう。舞鶴基地の長大な岸壁に多数が停泊している様子を重ねて印象づけるのはもう一つ、2000年代前半は平和であり、今のようにミサイル防衛や南西諸島警備に護衛艦を多数出航させ基地が空く、状況が無かったためともいえる。

 司令旗が護衛艦あぶくまマストに。あぶくま、現在は呉へ転籍していますが、この撮影の9年前、日本海工作船浸透事案に際しては、はるな、みょうこう、あぶくま、とともに自衛隊史上初の海上警備行動命令発令を受け、北朝鮮近くまで追い回した事もありましたね。

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