手品師見舞いに来る
「レントゲンを見ますとねこことここに棘の様なものが出てるでしょ。柔道かなんかやってましたか」
「はあ、柔道やってましたね」
「そうですか。どうもやりすぎたようですね。」
「そうなんですかね」
「背中を開いてこの棘を削ってこことここが動かないように金属で固定する方法があるんですよ」「ただこの時にですね」
「はあ」
「この時にこの神経を傷つけたら下半身不随になりかねないと言うことですね」
「いやそんな手術ならしないほうがいいでしょうに」
「まあそうなんですがね。それなら普段から腹筋や背筋を鍛えて、歩くことを心掛けて下さいね」
こんなやり取りだったし、医者も真剣に手術を勧めた訳ではなかったからまあ大したことではなかったようだ。それから何事 もなく17年が過ぎたのである。