今では長閑な風景だが、6世紀、7世紀は奥津城で聖域だったのだからおいそれと足を踏み込むことが出来なかったろうな。
田や畑に囲まれた古墳は上手に少しだけ隆起したように見える。
さて、話を病室に戻そう。手品師が担当に種明かしをしたあと窓際で何かこそこそしている。
ポーチから何かを取り出してジーパンのポケットに詰め込んでいるのである。
手品というものはタネを仕込まねば見世物にならぬ。それを目の前でやるものだから我々の視線を感じるのだろう「この姿は滑稽ですね」自分がよく判っている。優雅な白鳥でも水中では足をバタバタさせているのだからな。
しかし、彼は白鳥ではないが、彼のこの行為は白鳥のそれとよく似ていると言っていい。