CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】謎のアジア納豆 そして帰ってきた〈日本納豆〉

2016-07-16 15:14:44 | 読書感想文とか読み物レビウー
謎のアジア納豆 そして帰ってきた〈日本納豆>  著:高野 秀行

久しぶりに面白い本を読んだと快哉、
アジア各地で食べられている納豆的なものを探す旅について
そのルポとドキュメンタリがつづられていた
非常に読み応えもあるし、楽しい一冊でありました
大変面白かった

アジアの秘境で、そういえば納豆を食べた気がする
著者の数十年前の経験から、納豆のルーツというか、
海外の納豆について調べていく内容ながら、
気づいてしまうと、納豆はそもそも日本独自のというのも
なんか違うんじゃないかと思われる様相となり、
入り組んだというか、さまざまな歴史や、実地での確認を繰り返して
納豆的な食べ物をアジア各国で探してきたと
そんなスペクタクルなお話でありました
この取材の過程が、非常に楽しそうというか面白くてよかった

タイやミャンマー、ヒマラヤのあたり
ともかく辺境部族的なところで、
よくよく食べられているということがわかってきて、
それが、はたして日本の納豆と同じか違うか、
製法から確かめてみようと
現地に飛び込んで、納豆を売っている人を探しては
作り方を訪ねてという繰り返しなんだが
これがもう、下手な旅レポよりもよほど面白い
現地の人とのほほえましいやりとりもさることながら、
納豆を通して、生活が垣間見えるような部分が
丁寧に描写されていて、なんだか
実際にそこへ訪ねていったかのような気分に浸れた
素晴らしいなこの本

製法にもさまざまな種類があって、
納豆としても、ひき割りだったり、ペーストだったり、乾燥だったりと
千差万別、ここまで多様なのかという感じで興味深い、
また使い方もあれこれ描写されていて、
字面でおう分にはどれもこれも大変おいしそうで
いい塩梅だなと、なんとも楽しい読書でありました

食べ方、作り方でなんとかルーツを探ろうという
この探究の過程が何よりも面白いので、
論文めいた内容となってもおかしくなさそうなのに
面白い読み物というジャンルから逸脱せず、
大変ためになったように感じるところ
これが取材であり、調べるということなんだなと
なんか、感心してしまったのでありました

こんな仕事で毎日過ごせたら
それはそれで楽しそうだと思ったんだけども、
これをずっとやり続けるのはやはり無理があるなぁと
自分におきかえてみて、
こういう、大人の夏休みの宿題みたいなのは
憧れもあってか、楽しい時間をくれるものだと
感心と感動を覚えたのでありましたとさ

納豆は人間の生活に根差した
根源的な食い物だというのに感動である