CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】山怪 山人が語る不思議な話

2016-07-23 09:57:30 | 読書感想文とか読み物レビウー
山怪 山人が語る不思議な話  著:田中康弘

夏の日の電車通勤にぴったりな一冊でした
山里に伝わる伝承話といえばいいのか、
昔そういえば聞いたなという
キツネやタヌキに化かされたような話を
あれこれ集めたものであります

区分けがなかなか難しく、
いわゆる民間伝承で民話になっているのではない、
爺さんが昔聞いたとか、そういえばこんなことがあったとか
そんな話に限定して集めるのであります
不思議なことがあったけど、最終的には
キツネに化かされたという話になって終わった
そんなのばっかりである

とはいえ、これがなかなか面白いというか
こんなにバリエーションあるのかと、
同じような流れで、同じようなオチなのに
あれこれ工夫でもないが、事象があって楽しい
本書内でも結論というではないが、
理由がつけづらい、つかない話は
全て、キツネやタヌキ、はたまた天狗の仕業にしておけば
とりあえず納得できるかなと
強引にまとめて伝えてきたのではないかと
そういうところでありまして、
最近の猟師さんにおいては、そういうのは一切信じず
どれもこれも、何かを見間違えたり、
勘違いであったと、独自の見解を述べていて
これもまた楽しいのであります
ある、ない、そういうのを判断するのではなく
それぞれが、不思議に対して
思いを語っているところがよいのですね

あまり人死にが出る話はなくて、
数日行方不明になって、
ぼぅっとして、突然現れて
その前の記憶がなかったり、大変だったり、
遭難していたのがすぐ側の山中だったりと
普通なら大丈夫なのになという
当たり前のところで事故が起こりやすい
いや、不思議が起こりやすい
これらをまとめて、水木先生が妖怪と呼んだというあたりまで
なかなか魅力的な内容でありました

よくわからんが、そういうことが起きたら、
振り向いてはいけない、しゃがんでやり過ごす、
返事をしないなどなど、よくわからないのに対処法が続いていたり
これもまた、面白いところでありました

本内で、最近の子供はこんな話聞かないと
言っていたのでありますけども、
こういう時分に、怖い話として伝えたら
絶対聞くと思うんだがなと思ったりしつつ
それもまた、私の考えが古いだけなんだろうかとも
感じるところだったのでありました

滅び行く、日本のお話という感じであった