CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】リーチ先生

2017-04-15 16:33:27 | 読書感想文とか読み物レビウー
リーチ先生  作:原田 マハ

バーナード・リーチ氏の生き様を描いた小説でありました
著者得意の架空人物とのかけあいで、人柄というか、
時代や、姿が浮き彫りになっていくというもので
日本における民芸運動の話なんかも出てきて
なかなか勉強になったというか、面白い一冊でありました

ちゃんと、美術史的な勉強をしてなかったので、
バーナード・リーチ氏はともかく、民芸運動について
さっぱりわかっていなかったと
この小説で知った次第であります
柳宗悦を初め、河井寛次郎、濱田庄司といった陶芸に美を見出した人たちとの交流や、
彼らと、白樺派の人員がリンクしていたというあたりに
物凄く興味をそそられたというか、その頃に、文壇と美術界みたいなのが
融合したというか、新しい潮流を作ったんだと
面白く読めたのでありました
用の美という概念やらは、うっすら聞いてたけども、
小説で解説されると、なるほどなと思わされるのであります
そして、この潮流が、現代における陶芸家という職業なり、
芸術家を生んだんだと思うと、感激もひとしおだと思われたのでありました
凄いことだなと感じるのである
それまでは職人という立場だった人が、芸術家になったというのだからさ

でも、そうなってくると、逆に有名であることを疎ましく思って
一工芸の人であろう、そのままで、それが素晴らしいことであると
まぁ、そんな思想のもと、用の美が構築されたというあたりが
この小説内で、どんどん出世というか、
一工人とはいえなくなっていく、彼らの躍動というか活躍が
なかなかに頼もしいのでありました

物語としては、その一工人である男を主人公として、
リーチ先生や、その周辺の思想を体現しているのが彼であると
そんなレトリックで用の美とは何かを描いていたようで
大変わかりやすいというか、面白いが、
あまりに物語的すぎるなと、こそばゆく感じたりしながらも
満足して読み終えたのでありましたとさ

現代陶芸について、あれこれと思うところはあるのだけども
この時代から、もう少しくだったくらいまでの名人たちの生き様は
また、大変面白いものであると
改めて思い知ったのでありました