CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち

2017-04-26 21:58:33 | 読書感想文とか読み物レビウー
誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち  著:スティーヴン・ウィット

1990年後半から、2008年頃までに音楽業界に起きた変動、
その内幕といってもよい、ギーグたちのことを探った本でした
凄い面白かった、まさにその当時、同じようにアングラを
少しだけうろうろしていた身分には、非常に楽しい、
ある種の懐かしさも感じるような内容でありました

題名から、ジョブズ的な話かと思っていましたが
そうではなく、扱っているのは「MP3]についてでありまして、
日本でも古くは「もせ3」とか読んでたそれである、
Warezとか、そういったものの黎明期から
興亡を描いていました
内容は、特に音楽に関してというところで、
MP3という技術が開発されたこと、
その知られざる苦悩ともいうべき、音楽業界で
学者さんがうまいこと商売できなかったお話から、
このMP3を使うために、Winampがリリースされるあたりだとか
もう、楽しくて仕方なかったのでありました

最も興味深かったことは、
あれだけ氾濫していたMP3たちのほとんどが、
ごく一部の人物たちによって作られ、世に出されていたというのが
衝撃的といっていいのか、MP3を放流するスキームを支えていた
謎の集団が居たという事実が面白すぎたのであります
金にもならないのに、そこにある
誰よりも早くリークしたなんていう、しょーもない称号のために
あれやこれやとやっていたというのも
なんとも面白かったのでありました

大きくは、MP3の開発者たち、Warezを行うものたち、音楽業界の重鎮たちと
3つのシーンから当時を描いていて、正直あんまり興味ない業界なので
出てくるアーティストとかはよくわからなかったんだが、
それぞれに成功者と落伍者とが出ていて、
歴史があったんだと思わされる内容でありました

CDという産業が滅びていく様と、
それにしたがって、ショービジネスが台頭していく、
フェスやライブが主体となっていくことなんか、
経済的にといっていいのか、非常に興味深い変遷だなと感じたりしながら
思った以上に楽しめる一冊だったと思うのであります