大気がド・ド・ドっと背後から押し寄せてくる気配がした
それらが波のように通り過ぎると
木々が呼応するようにうねり始める
海と同じ音を奏でながら
枯葉が雨のように降り注いでくる
私はその雨に打たれたくて
パンを買いに行くと理由をつけて外出する
「なんて素敵な季節だろう」
思わずそう言って気が付くのだ
春にも夏にも、秋にも
そして冬の何もない風景を見ても
そう思う
そうであるならば日々の暮らしも同じことのはず
「なんて素敵な毎日」
だけどそうは言わない私。
雷雨に出くわして微笑む人はいない
冷たい北風を歓迎する人は少ない
手をこまねいて嵐が過ぎ去るのを待つばかり
だけど同じように吹く風の日に
心惹かれる者もいる
パンを買いに行くと理由をつけて外出する
降り注ぐ枯葉の雨に打たれたくて
過ぎていく日々はちっとも素敵なんかじゃないが
「なんて素敵な・・」と言ってみる
風の中、舞う枯葉の下を歩きながら
※ 晴れのち雷雨
風が強い日でしたね。