なんだか理不尽だと僕は思う
だって、もと来た道は閉ざされているんだよ
僕は母の、脂肪でぷっくり膨らんだ腹部をじっと見ている
もと来た道はそこにある
その道を辿って
もと居た所に帰りたい
僕は時々、何もかもがちょっと嫌になっちまってそんな風に思うのさ
もと来た道を辿って
もと居た場所に帰りたい
だけど、そこにはさ
行って、行って、
ずっと行ったら元に戻る仕組みになっているらしい。
いつかは必ず一方通行のその道をぐるりと回って、みんなもと居た場所に帰るんだ。
生きて、生きて、
ずっと生きたら、又戻る
母の子宮と繋がっている、僕のもと居た場所
「ただいま。」
「お帰り。疲れたかい。さあゆっくりお休みよ。」
そんな言葉をイメージして、僕はちょっと微笑んでみる。
いつかは行く一方通行のその道を、ぐるりと回って遠回り
ゆっくり行こう
楽しんで行こう
まるで散歩道を歩くように
―私を感じて、と風が言う
僕らを見て、と木々が言う
そこやかしこにそっと隠れ、じっと見守り、
時には語りかけてくれる、散歩道にはそんな何かがいるものさ
いつかは行く一方通行のその道を、ぐるりと回って遠回り
ゆっくり行こう
楽しんで行こう
まるで散歩道を歩くように
9月5日4月19日