一年に一回放送される「必殺仕事人」の感想は、なぜか毎回書いています。
もう一年に一回の習慣と言えるかもしれませんね。
昨年の感想は→ 「必殺仕事人2014」
再放送も「必殺仕事人2015」の放送に合わせてやりましたので、訪問してくださる方も多かったです。
私も読み直してみました。
そして、ああ、やっぱりなと思いました。
「仕事人」のオハナシは言うなれば殺し屋たち、つまり外道に落ちている者たちの物語。それなのに見ていて美学のようなものを感じてしまうのは、ものすごく長い間それを追及されて、セオリーのようなものを作り上げていったからだと思うのです。
その一つがオープニングの導入の仕方とか。
昨年の記事では、その冒頭の部分で記事の半分を割いているようなものです。
それなのに、今年は、いったい何でしょうか。
何、あれ?
いや、始まりの話の部分は面白かったんです。
だけどopの入り方、なんかちょっとテンションが下がりました。
「2014」と違いすぎます。
お菊さんが「あいつらだけとは関わるべからず。」って言いますが、そんなに疫病神じゃなかったし説得力がなかったのですよね。
ええと、あと不満だったのは・・・・・
って、わざと探しているんじゃなくて、とにかくマイナス面は先に言っちゃうからって事で、今考え中。
どうも別に無いようです。
リュウも初回よりいい感じで、緩いテンポがドラマの息抜きになっていて良かったと思います。ただ私、この人の仕事のシーンは、やっぱり違和感を感じるのですよね。
「ひとおもいには無理だと思います。まだ不慣れなものですから。」
どうも作り手さんたちは気に入ってしまっているセリフのようですが、これってかなりの上から目線の言葉ですよね。不慣れと言いながら、絶対に自分の方が強くて必ずヤレルって事でしょうか。でも極悪人が相手なのに、この流暢さだと返り討ちに遭いそうです。
だけど命乞いされて、「むりっ!!」と突き放すところは受けて笑ってしまいました。こっちを毎回やって欲しいと思いました。
しかし細田善彦君は良いのか、これでとか、私は思ってしまったりもするのです。
なんというか、この人、憎たらしいでしょ。
そう感じるでしょ。
上手いんですよね、お芝居。
イメージの固定化しないかって、心配しちゃいます。〈もうすでにしちゃってると思います。〉
この人は私にとっては「百鬼夜行抄」の律なので、もっと良い役をやって欲しいなと思います。
キャストの感想と言う事では山本美月さん、良かったですね。
今度の「仕事人」は山が二つあったように思います。
一つ目の山場は、彼女のためにあったようなもの。仕事のシーンが凄かったですね。言うなれば殺しのダンス。一回だけの登場では勿体なかったなと思いました。
仕事人のオシゴトはコロシ。そのオシゴトの感想をいちいち書くのも、首をかしげたくなるのでもう止めますし、仕事が成り立つための可哀想な人たちの事と悪行三昧の人たちの事も、今回はスルー・・・。
竹中さん、ごめんね。
あっ、そうそう。あの姉妹がそっくりなのは本当の姉妹だったからなんですってね。HPに書いてありました。
瓦屋の陣八郎が涼次に
「そんなに情が深くて仕事人やってるんじゃ辛いだろう・・・。」のような事を言います。
涼次は本当に優しい。もちろんリュウは優しい。
そう言っている陣八郎も亡くなってしまった妻の姿を残すかのように、背中の天女の彫り物に泣きぼくろを打つのでした。
また最後に
「八丁堀は家族に裏家業がばれたらどうするんだ。」と問う陣八郎。
それに応えてお菊は
「迷わず二人を斬ると思う。」と言うのです。
ラストのシーンは凄く仲が良くて素敵な笑顔の渡辺と妻と姑の三人で終わるー。
渡辺は裏家業がばれたら、お菊が言うように妻と姑を斬ると思います。でも絶対にそうはならないと思います。
それは絶対にばれてはならないと、彼はきっと、そう考えているに違いないからです・・・・。
だけど、もしも・・・・・。
そんな一抹の不安を残す・・・・・。
単純な笑顔で終わった定番の時代劇。
でもやっぱり上手いなあと思ってしまったのでした。
「仕事人」の光と影の陰影は、照明の美しさばかりではなく人の心の奥ひだにも存在していたのでした。