森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

相棒14『第7話 キモノ綺譚』

2015-12-03 09:05:35 | ドラマ(相棒)

〈ネタバレしています。再放送時には気を付けて〉

 

 

部屋から聞こえる「幸子、幸子、早く出てきなさいよ。」と言う愛の言葉。振り返った弟の少年のまなざし。

その辺で、愛と言う人が多重人格であることにピンときた方も多いのではないでしょうか。

視聴者はずっと見ているから、分かるのですよね。

でも右京たちにとっては、幸子は初めて会う人物です。最初から分かるはずはありません。だけれど右京には心に引っかかるものがあったのでした。

「それはウィッグですか。」と幸子の長い髪を指して、一つだけの質問に問うのでした。

 

弟が連れて来てと言う友達じゅん君とは誰なのかも含めて、なかなか興味深い展開です。

 

だけれど、もしも真実を暴いていって、そこにもしも事件性がなかったとしたら・・・・・・

幸子の死の真実、その後の展開は調べた結果たどり着いて分かった事で、事件性はなかったと言う結論になる可能性だってすこぶる大きかったと思うのです。

子供の時に死んでしまった幸子は実は事故で死に、それを目の前で目撃してしまったとしても、自分と同じ顔の者が目の前で死んだとしたら、心の病を起こす原因には充分だと思うからです。

口紅で書かれた「殺してやりたい。」と言う文字で、そこまで人の家庭に立ち入る事が出来るのか、かなりの違和感は感じました。

なんだか〈ドラマなので〉、事件で良かったねと心の片隅で思ってしまったのでした。

 

しかしそこの部分を棚の上にあげてしまうと、なかなかしっとりとした悲しい物語に静かな余韻が残ります。

劇中にも

「お母さんを悲しませないように。」と言うセリフが入ります。

ひとりなのに二人分の人生を生きる愛。

 

悪意なき悪戯で姉妹を殺してしまった娘を守るために、母がした行いは結局、娘の人生を分割してしまいました。でも母はその二人を別々の学校に行かせ、さながらいるかのように接してきたのです。これも娘の過ちをかばうためのように見えるけれど、本当は失った娘を取り戻したような気持ちになっていたのは、この母かも知れません。

だからじゅん君の話は母が怒ると言うのです。

いないはずの子供の事は、母は受け入れる事が出来ないからです。

描かれていない別の物語。

 

「余計な事を言いますが、あなたには治療が必要です。」と亘。

「今は折り合いがついていますから。」と言う愛。

このまま複数で生きていくと言う意味なのだと思います。

 

そしてじゅん君になった愛と弟は楽しそうにゲームに興じる姿で、この家族の物語は終わりです。

病気の姉とそれを自然に受け入れている弟の姿がそこにはありました。

 

 ところで、またもタイトルのオハナシです。

「キタン」と打つと「奇譚」が普通出てくるのですよね。その意味は、「珍しい話。不思議な物語。」なのです。

 

秘密は着物の裏に封印されて、真実は閉じ込められている。書いたのは愛の中の幸子。閉じ込められた想いをまた着物の裏側に封印しても、その着物は同じ名前の花の里の幸子にたどり着いて、そしてその封印は解かれてしまう。

確かに不思議なお話ではないですか。

見えない何かに導かれているかのようです。

 

でも、タイトルに敢えて「綺譚」と言う文字を選んだー。

それは「美しく、優れた物語」という意味で、永井荷風の造語らしいです。詳しくはこちらをお読みください。→ここです。

 

・・・・・それを選んだ理由は文字が綺麗だからかな…って、・・・(^_^;)

 

※ 「冠城亘」の木札が出来ましたね。最初に亘が作った時に、ちょっと大きいなって思いましたよね。でもそれをちゃっかし右京さんが削って大きさを揃えたってなんか笑えました。

 

※ 新年スペシャルの事がボチボチ出始めましたね。なんと三浦さん復活だそうです。他のゲストはまだ未発表。来年新年はどんな「相棒」を見せてくれるのかな♪

 

 

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