ナマズの仲間で体長5~6cm。 普段はグッピーなどの混泳水槽で、残餌や底砂に
潜ったイトミミズなどを食べてくれる水槽の掃除屋 として、地味な存在です。
そこで、体形も動作も愛すべき要素に富むコリドラスたちを主役にしてみました。
その中でパレアトスの繁殖行動を紹介します。
底砂にはサンゴ砂を混ぜて水質の酸性化を防ぎ、
水草を多めに植え込んで、生餌を十分に与え、
水温は23℃位の低めにセットします。
そこにはケンカも独占も無い、平和で陽気な一妻多夫の世界 が賑やかに展開しました。
1、複数のオスが大きいメスを追い、突然体を横にしたオスの腹部に、メスが直角に交差
する形で吸い付く。 その時間は10秒位、精液を口に含んでいるようです(下左端)。
2、その間または直後に、3~5個の卵を生み出して、腹ビレの間に卵を抱いています。
3、メスは、そのまま激しく水槽のガラス面や水草をナメ回し(下2枚目)、精液を付着させて
いるように見えます。
4、その後メスが、卵をガラス面や水草に付着させます(下3,4枚目)。
朝から3時間にもわたって、この産卵行動が繰り返され ます。
5、卵は1,5mm程あって大きく丈夫で、ガラス面から手で擦り取っても破れません。
卵を放置すると親魚に食べられてしまうので、別の容器に移してエアレーションします。
水温23℃で、孵化するまで5日間120時間もかかりました。
分割が始まった卵(上左写真)と、90時間後(上右、接写リング使用)。
孵化した稚魚も6mm位で大きく、1ヵ月後には体長1センチの幼魚に育ちました。
30年以上も前のことです。当時難しいとされたディスカスの繁殖に成功(1973年頃)した
ことがきっかけで、ある観賞魚専門月刊誌に1年間連載記事を書いたことがあります。
今は、お世話になった2軒の観賞魚店も廃業し、病気後の改築で3坪の温室もなくしました。
この冬の課題として、昔しのネガフィルムのデジタル 化に取り組み、
今回の「熱帯魚の繁殖シリーズ」は、その結果としての、若き頃の記憶 です。