(豊橋鉄道田口線 愛知県新城市長篠・富保・門谷)
久し振りに田口線跡を辿る。かつて田口線の発着ホームであった本長篠駅舎に面する旧1番線は、今は使われていない。本長篠を出ると、上り勾配で左にカーブを切る。そして、緩やかな勾配で最初のトンネル、内金トンネルを潜る。このトンネルは田口線廃止後に、その先にある民家を結ぶ道路に変わり、私も何度か通ったが、今回訪れてみると崩落の恐れがあるため通行止めとなっていた。つい最近というか、今さっきとられた措置のようであった。
迂回して進むと、変わらず聳える大井川橋梁の橋脚と橋台が残る。
高所にある峰の峠と鳳来寺駅に合わせるため、集落より高い位置を通る路盤は、今でも築堤とトンネルを残し、上大草集落と下大草集落の中間位置に三河大草駅のホームがある。近くに民家はなく、麓の里から上がってくる感じである。故に、同線区の中で最も利用者が少なかった。駅は山の斜面を開削したものであり、ホームは2両分、僅かに弧を描いているのが分かる。
大草駅を過ぎると大草トンネルに入り、抜けると上大草の集落を望む築堤となる。そしてすぐに富保トンネルを潜ると、その向こうに峰トンネルが見えてくる。
廃線45年を経ても残るケーブル支持金具
上大草の里を見下ろす
田口鉄道時代の二階建て鳳来寺駅舎は私も知っており、解体されて平屋和風の「ほうらいじ駅食堂」に建てかえられたのも知っている。然し今回訪れてみると、その食堂も無くなり駐車場となっていた。