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(愛知県宝飯郡一宮町東上字日影 1998年5月5日)
人は生まれながらにして、体内に「三尸(さんし)の虫」というものを持っており、それが六十日を周期として天に昇ってその人の罪過を天帝に告げるため、病気になったり、寿命を縮めたりするといわれている。それを防ぐため、その日には、三尸の虫が昇天しないよう徹夜で「守庚申」をし、合わせて健康長寿を祈念する信仰遊戯が行われ始め、また自らの過ちの懺悔も行うようになった。八世紀の道教伝来よりの行事である。
江戸時代中期、常光寺境内に造立された炭焼庚申塔は、悪疫を調伏するといわれる青面金剛が彫られ、足元には青面金剛の神使とされる三猿像があり、見ざる、聞かざる、言わざる の謹慎態度を示すためとされている。