flow Trip -archive-

「漂い紀行 振り返り版」…私の過去の踏査ノートから… 言い伝えに秘められた歴史を訪ねて

川崎大師

2017-12-12 00:00:00 | ほとけのいおり

(真言宗金剛山金乗院平間寺 川崎市川崎区大師町)
 初詣参拝者が常に上位の川崎大師を訪れた。川崎大師こと平間寺は、大治三年(1128)尾張の武士平間兼乗が、無実の罪により尾張を追われ、諸国を流浪した後、この川崎の地に辿り着き、漁を生業として貧しい暮らしをしていた。兼乗は仏教に帰依し、弘法大師を崇信していたが、我が身のこれまでの不運さを顧み、また厄年あったため、日夜厄除けの祈願をした。ある夜、高僧が兼乗の夢枕に立ち「我昔唐に在りし頃、我が像を刻み、 海上に放ちしことあり。以来未だ有縁の人を得ず。今、汝速かに網し、これを供養し、功徳を諸人に及ぼさば、汝が災厄変じて福徳となり、諸願もまた満足すべし」と告げた。兼乗は海に出て、光り輝いている場所に網を投じると一躰の木像が引き揚げられた。それは大師の像であり、兼乗はこれを浄め、草庵を結んだ。その頃、高野山の僧尊賢が諸国遊化の途上に立ち寄り、この像と霊験に感泣し、開山したのが始まりと伝わる。
                 

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