京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

阿修羅・興福寺国宝特別公開 

2017年03月24日 | 展覧会

昨夜、NHKで「阿修羅1300年の新事実」が放映された。ご覧の方も多くおいででしたでしょう。
矢も楯もたまらなくなって、興福寺仮講堂で公開中の「阿修羅 天平乾漆群像展」を拝観に出掛けることにした。この群像での展示は前期のみ〈3月15日~6月18日〉だそうな。そのうち、の予定を大幅に繰り上げた。

阿修羅はインド神話に登場する戦闘の神で、仏教に帰依してその守護神となった。三十三間堂の阿修羅像に見られる闘い、怒りの顔が番組内で紹介されていたが、興福寺の像にはそういった怒りや激しさが見られず、繊細で内面的で、少年のような姿で現されている。
阿修羅像、八部衆像、十大弟子像、金剛力士像、四天王像、等々、仮講堂内部の群像配置は下図のようになる。


734年に不比等の娘・光明皇后によって建立された西金堂は、1717年に焼失。今回、その旧西金堂の内陣を意識した形での群像安置になるそうだ。


                                                     (テレビ映像)
1歳に満たないわが子を亡くした光明皇后は、6年後に像を作らせているが、〈八部衆像にわが子の成長を重ねて見ているのではないか〉と推し量っている。仏教の功徳で国を守ろうとした聖武天皇、皇后は庶民の心身の癒しを福祉の面で救い上げようとする人だった。〈苦しい時代を生き抜く人たちを励ますには、強く、荒ぶる神が合掌する姿は最大の祈りの形であった〉と番組では解説されていた。
       
      発願者・光明皇后の心に思いを馳せながら、同性として、1300年の時を超えた親交、心交??で、八部衆像の顔だち、表情をとくと拝観した。国宝群が一堂に会した、貴く静謐な、それでいて気に満ちた空間だった、ような。今後、拝観のためには長い列を作りそうな予感が…。


コメント (4)
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