京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

一計を案じてみる

2020年09月12日 | 日々の暮らしの中で
臨済宗の僧侶、松原泰道さん(1907-2009)がこんな話を書かれていたのを読んで、書き抜いていた。

【家から早稲田までの電車賃が往復で15銭だった当時、改造社の『現代日本文学全集』が流行し、1冊1円で売られていた。6人の仲間で1人20銭ほど出して買って、輪読した。その感想を言ったり、批判したり、煎餅をかじりお茶を飲みながらしゃべりまくった。読み終えた本は、仲間内に競り売りする。50銭くらいで売れるので、その50銭を元手にして、さらにまた20銭ずつ集める。するとだんだん高い本が買えるようになる。「芋会文庫」と呼んでいた。地方出身の貧しい仲間だった。】



この話は常に私の頭の中にあるのだけれど、今、こういう仲間を募ろうとしても、よほど文学の志向や嗜好が似ていないと難しいことだろうか。それでも、「読んでみよう」「やってみよう」と気軽に寄りあえるのなら、それもいい。
京都在住の作家さんの3巻の自選集が出版された。その各巻は2530円。これを全巻購入となるとやはりオタカイ。一巻だけでもちょっと値が張る。そこでまずは1冊だ。5人集まれば…。まあ、3人でもいいか、と私は一計を案じている。そして松原さんの真似をして順番に回し読みをするのだ。そしてみんなで喜ぶのだ、こんな試みを楽しめたことを。

 お金を出さなくても図書館でという手は最後に残しておけばいい。
コメント (4)
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