昨夜は何かもやもやと頭の中で考えることがあって、とても眠れそうにない感じだった。ずっと本でも読んでいようと最初から決めて横になった。
『王朝小遊記』(諸田玲子)を読み終えた。
藤原実資(『小右記』を著す)は有職故実に精通した当代一の博学と呼ばれ、藤原道長が権勢をふるう時代にあって筋を通した人物だった。
その実資の娘・千古(ちふる)姫をめぐる悪党どもの企てを阻止するため、ある貴族の依頼を受けた5人(物売りのナツメ、物乞いのナマス爺さん、女房づとめをしていたシコン、貴族の子息コオニ、大宰府帰りの勇将ニシタカ)は似非家族を作り、〈似非法師と人喰い鬼退治〉に立ち向かう「一大活劇」。
一灯の温かさとともに読み終えたのは午前4時半ごろだった。
「家族ってあたたかいものなんだよ」と、いつだったか孫のTylerが口にしたことがあった。
そういう彼も、父と姉がオーストラリアにいるという離れ離れの暮らしになって1年が過ぎた。ひょっとすると、帰国の道が開けるかもしれない…。が、だめかもしれない。まだ未定だ。
どうなるかは今わからないのだが、決まれば発つまでに十分な日数はないかもしれないという。大丈夫か、せねばならないことは山ほど…などと考えだしたものだから、寝付けないに決まっている。考えないために本を読んでいた。朝方少し眠れたようだ。
家族は寄り添って一緒に暮らせることが一番。寂しさはちょっと横に置いといて、っと。
でも、横でじっとしていなくって…。