京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

西の空が明るんで

2022年01月30日 | 日々の暮らしの中で

神社の階段下に、両の手に持ったスティックを支えにして腰を伸ばし、上を見上げる高齢の女性が立っていた。近づくと笑顔を浮かべていて、深い会釈をしてくれる。「こんにちは」と腰をかがめて、笑顔で返した。
「きれいに咲いてはります」と言って、また腰を伸ばす。「よう上がらしまへん」ので、いつも階段下から眺めているのだと言われた。

「寒いね」と話しかければ「寒いね」と言葉が返ることの気持ちの安らぎ。同じだろう。「きれいだ」と言う思いに相づちをうってもらえる交感に、そこはかとなく心はふっくり、満たされる。それが何ごともない一日の喜びにさえなる。

私は神に祈ることはしないが手を合わす。
西の空が明るんだ。雲のあわさいから漏れた夕日が「大」の斜面を染めた。


コメント (2)
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