はるか昔に歴史で習ったことを思い出すと、天皇(大和朝廷)に対する「反逆者」というのが、都から遠く離れた陸奥の大地に暮らす〈蝦夷〉への評価ではなかったか。「蝦夷平定」などと権力者側のモノガタリで、朝廷が、坂上田村麻呂が英雄視されていて、だから〈悪路王〉の烙印が押された蝦夷族長がいた。
『まほろばの疾風(かぜ)』(熊谷達也)をとても面白く読んだ。
8~9世紀初め、蝦夷の独立を掲げ、彼らにしてみれば西からの侵略者でしかない征討軍に戦いを挑んだ誇り高き英雄・アルテイの生涯を描いた歴史小説だった。
【山の神さまに見守られながら、森の精霊たちの囁きを聴き、蠢きを肌で感じ、平穏に暮らしていた日々。山の蝦夷は、人は森によって生かされていると考える。山の神様の怒りに触れない限り生きることを許され、その恵みを分け与えてもらえる。
獣だけでなく草木の一本にさえ、山の蝦夷は、彼らの命に手をかける前に許しを乞い、命を譲り受けたことに感謝を捧げ、神の国(カムイモシリ)へと厳かに送ることを忘れない。】
征夷大将軍となった坂上田村麻呂の巧みな戦略に追い詰められていくアルテイ。【我ら蝦夷(えみし)よ、未来永劫、北のまほろばに吹き荒れる疾風となれ!】と、まだ新しい平安京の処刑場で青空を見上げながら、アルテイはイサワの村の仲間たちを思う。
外見、言葉、風俗、習俗、宗教、異なるものがそれぞれにあるわけだが、力でもって従わせようとする理不尽。権力の愚弄。人間は根本にはどうしても分かり合えない部分を持ち合わすものなのか。現代の世にもある。
何年か前に市川染五郎主演で「歌舞伎NEXT 阿弖流為」が話題になっていた。シネマで上映されたが見逃してきた。どんなふうに描かれたのか、観てみたくなった。
雨音で目が覚めて、夜が明けるまでの3時間余りを読みふけってしまった。ほとんど眠れてない。雨が降り続く一日だった。
『まほろばの疾風(かぜ)』(熊谷達也)をとても面白く読んだ。
8~9世紀初め、蝦夷の独立を掲げ、彼らにしてみれば西からの侵略者でしかない征討軍に戦いを挑んだ誇り高き英雄・アルテイの生涯を描いた歴史小説だった。
【山の神さまに見守られながら、森の精霊たちの囁きを聴き、蠢きを肌で感じ、平穏に暮らしていた日々。山の蝦夷は、人は森によって生かされていると考える。山の神様の怒りに触れない限り生きることを許され、その恵みを分け与えてもらえる。
獣だけでなく草木の一本にさえ、山の蝦夷は、彼らの命に手をかける前に許しを乞い、命を譲り受けたことに感謝を捧げ、神の国(カムイモシリ)へと厳かに送ることを忘れない。】
征夷大将軍となった坂上田村麻呂の巧みな戦略に追い詰められていくアルテイ。【我ら蝦夷(えみし)よ、未来永劫、北のまほろばに吹き荒れる疾風となれ!】と、まだ新しい平安京の処刑場で青空を見上げながら、アルテイはイサワの村の仲間たちを思う。
外見、言葉、風俗、習俗、宗教、異なるものがそれぞれにあるわけだが、力でもって従わせようとする理不尽。権力の愚弄。人間は根本にはどうしても分かり合えない部分を持ち合わすものなのか。現代の世にもある。
何年か前に市川染五郎主演で「歌舞伎NEXT 阿弖流為」が話題になっていた。シネマで上映されたが見逃してきた。どんなふうに描かれたのか、観てみたくなった。
雨音で目が覚めて、夜が明けるまでの3時間余りを読みふけってしまった。ほとんど眠れてない。雨が降り続く一日だった。
それまでは読んだこともなかった蝦夷の物語で、作品を通しても多くを知りました。
田村麻呂、戦となれば当然真剣ですが人間的な魅力を備えた人物になっています。
俘囚や蝦夷を物部氏の末裔が支えていた、などと『迎え火の山』にもありました。
澤田ふじ子さんにも関連の作品があるようですね。
鍾馗さんをアップされたとき、「民族」のことなど思い合わせて読んでいました。
NHKB・S時代劇でアルテイを知りました。
題して「火怨・北の英雄アルテイ伝」
毎週楽しみに見ていました。
自然の風景も魅力的だった記憶です。
勿論アルテイ側から描いていますから、
侵略者坂上田村麻呂です。
Keiさんを眠らせないほどの面白さだったのですね。
私も読んでみたい誘惑にかられますが、
「火定」はじめ未読の長編を3冊も抱えていますので今は我慢です。