京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 大喜びの300円

2010年11月02日 | 催しごと
              

恒例の秋の古本まつりが知恩寺境内で開催されている。2日ほど雨にたたられ、ここのところの冷え込みで億劫だった。それになんと言っても積んどく書が増えて、新たに購入する気もなかった。
それなのに、まあまあ、なんと言う趣味がおありなの!?と聞き返したいほどの友人の誘いで、行ってみるか…と重い腰も上がった。

新聞紙上で取り上げられていたが、「奈良絵本・絵巻の大宇宙展」に寄ろうと言う。今出川通りに面した思文閣美術館を覗いた。
室町時代後期から江戸時代中期にかけて主に京都で製作された、絵本の原点と言えるものだと説明されている。平安時代の物語や中世の軍記物などのよく知られた話を題材に、彩色が施された絵入りだ。ずいぶん前から…、と言うか、間もなく終了の展示であった。大宇宙の片隅で、少しも反応を示さないのを隠しつつ、館内を並んで見歩いていた私。



今出川通りを東へ、京都大学を右に見ながら百万遍の交差点を越え知恩寺境内へ。
境内に着くまでの古書店で、しまった! 1冊買ってしまったのだ。
こうもタイミングよく見つかるものかと思えば買わないわけにはいかない。
「伊勢を目指して江戸を出た、急がぬ旅の二人連れ。」こうきたら、あの二人だ。
「色気と食い気が先にたち、伊勢参りは二の次の珍道中」とは帯にある。
集英社の、女性作家が贈るみやびやかなメッセージ「私の古典」の20巻目『池田みち子の東海道中膝栗毛』。弥次郎兵衛、北八はすさまじいばかりの好色漢、失敗ばかりの女漁りの繰り返し、いじめるつもりがいじめ返され…と、少年少女向きではない珍道中。
本日の収穫はこれ、300円也~。

高野川と賀茂川が合流して(手前、高野川)鴨川となる所には亀さんの飛び石が。
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 ゾンビは派遣社員

2010年11月01日 | 映画・観劇
何を着たらいいのか、秋物では肌寒く、かといって冬物ではあまりにもっさりとする。暖かくして出たい。中に薄手を1枚余分に重ねることで、いくつになっても見た目重視の見栄を張ろうとする、ああ~、ほんにつらい女心よ!?

           
             

昨年12月の歌舞伎座さよなら公演『大江戸リビングデッド』を、シネマで観た。
クサヤ汁を浴びた死者がゾンビとして生き返り、人に噛み付きながら増え続けて行く。
「生きる屍」。死んでいる以外は大体人間と同じなのだそうだ。
魂がなくなると人間ではないのか? 生きるってどういうこと? 問いかける台詞も混じる、クドカンこと宮藤官九郎作、演出の新作歌舞伎だった。

幕が上がるや、そこに市川染五郎が魚の腹開き状態の被り物で立っていたのには驚かされた。
ゾンビ・江戸時代に派遣社員・現代の社会問題にも言及等々、話題性は耳にした。人間が嫌がる仕事をゾンビに代行させる派遣会社を設立、繁盛する。派遣社員として働きに出るゾンビ、仕事のない者は呂律の回らないゾンビのしゃべり方を直そうとベンキョーをする。
やがて仕事を奪われ失業する人間達との争いに発展…。

  
ホロリとさせられる見せ場もなく、中村扇雀、坂東三津五郎、中村七之助に貫太郎、中村勘三郎、獅堂も…役者さん揃いで、演技を楽しんで娯楽性だけで観てしまった。
現代社会の反映をそこに見ていくには、テーマがなんやら薄っぺら?とエラソに思っている。派遣社員の設定がどうだと言うのか、主張は弱いよなあ…。
ようわからんけれど、あまり面白うなかった。スッキリしない。

毎月一日は映画料金のサービスデー。にもかかわらず、シネマ歌舞伎は一律の二千円だ。高いなあと言いたくなる一作だった、かな。
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