サイコサスペンスの最高傑作とも称される作品である。主演のジョディ・フォスターの迫真の演技、アンソニー・ホプキンスの怪優ぶりがストーリーの素晴らしさと共に際立つ映画である。何度見ても惹き込まれる傑作である。
去る12月14日に放送されたBS映画である。私がこの映画を観るのは確か3度目か?何回観ても新鮮で、惹き込まれてしまう映画である。
ストーリーは複雑すぎて、簡明に紹介することは私の手に余るのだが…。全米各地で多くの若い女性が殺され、その皮膚を剥がされるという猟奇事件が頻発する。(バッファロー・ビル事件)その解決を担った行動科学科のクロフォード主任捜査官(スコット・グレン)は監禁中の凶悪殺人犯(元精神科医の囚人ハンニバル・レクター)の心理分析を試み、バッファロー・ビル事件の解決を図ろうとするのだが、レクターはクロフォードを拒絶するために壁にぶち当たっていた。そこでクロフォードは FBIアカデミーの優秀な実習生であるクラリス・スターリング(ジョディ・フォスター)にハンニバル・レクター(アンソニー・ホプキンス)への接見を依頼するのだった。
※ 映画「羊たちの沈黙」の主要な三人。左からアンソニー・ホプキンス、ジョディ・フォスター、スコット・グレン。
ここからのクラリスとハンニバルの対決が見ものである。特にハンニバル(アンソニー・ホプキンス)の怪演ぶりはこの映画の不気味さを象徴するほどの見事さである。思わず背筋が寒くなるほどの表情が後々まで残るほどだ。情報では最初このハンニバル役はショーン・コネリーにオファーがあったという。もしそれが実現していたらショーン・コネリーなりのハンニバルを演じたと思われるが、ここはアンソニー・ホプキンスがまさにはまり役だったのではないだろうか?
※ 独居房内で怪優ぶりを発揮するアンソニー・ホプキンス
クラリス(ジョディ・フォスター)の迫真の演技も見事である。特にバッファロー・ビルの犯人との対決の場面は彼女が最後は勝利すると分かっていても、彼女の迫真の演技は誰をも画面に惹き付ける力があった。
ところで「羊たちの沈黙」という題名が印象的であるが、これはクラリスが幼少期に父母を亡くし、叔父に預けられていた。そのとき叔父が飼っていた羊をする残酷なシーンを見て、羊たちを助けようとしても羊たちは逃げようともせずに運命に従っていたシーンがトラウマとなっていたことをハンニバルは彼女から聞き出し、そのことが「バッファロー・ヒル事件」の解決に重要な意味を持っていたということから名付けられたようである。
なお、本作は同年のアカデミー賞で主要5部門(作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、脚本賞)を独占した作品であり、ホラー映画として唯一作品賞を受賞した作品としても有名である。