部員35名が奏でるマンドリンの音色は優しく素直な音として私には届いた。顧問によると北海道内の高校でマンドリン部が活動しているのは月寒高校が唯一だという。彼らの素直な演奏がいつまでも続くことを期待したい。
本日午後、かでるホールにおいて「第33回 月寒高校マンドリン部定期演奏会」があり参加した。私はこれまでも何度か月寒高校マンドリン部の定期演奏会を聴いていたと思っていた。ところが帰宅して調べてみるとその記録がない。「おかしいなぁ…」と思いながらさらに調べてみると、日本マンドリン連盟北海道支部が毎年主催する「マンドリン四重奏演奏会」に月寒高校マンドリン部は、グループを編成して何組もの生徒が出演していたのが記録に残っていた。
今年の部員は3年生11人、2年生6人、1年生18人の計35人編成だという。この数字は高校のマンドリン部としてはかなりの大編成になるのではないだろうか?高校の部活というと管弦楽(ブラスバンド)が主流だが、ブラバンの大音量より、繊細な音を好む高校生がこれだけたくさん集まるのは珍しいと思う。
※ マンドリン部員35名による演奏はとても好感が持てる演奏だった。
そうしたこともあってだろうか?月寒高校マンドリン部はなかなかの人気のようだ。キャパ521名のかでるホールのほぼ8割の客席が埋まっていたようだ。
この日の演奏会は2部構成となっていたが、演奏された曲目は、
第1部が「オリジナル・クラシック曲ステージ」と題して、
◇ 津田甫作曲/札幌月寒高等学校校歌
◇ 藤掛廣幸作曲/山河緑照
◇ S.サーンス作曲/歌劇「サムソンとデリラ」よりパッカラール
◇ C.A.バラッコ作曲/マンドリニストの群れ
休憩を挟んで第2部は「ポピュラー音楽ステージ」と題して、
◇ K.バデルト、H.ジマー/映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」より「彼こそが海賊」
◇ 清水依与作曲/高嶺の花子さん
◇ 藤井嵐作曲/きらり
◇ F.マーキュリー作曲/ボヘミアンラプソディー
◇ 武藤理恵作曲/〔卒業演奏〕月に舞う
◇ 久石譲、松任谷由美作曲/魔女の宅急便メドレー
がそれぞれ演奏された。演奏の技量はやはり高校生であるから、以前に聴いた「北大チルコロ・マンドリニスティコ『アウロラ』」のようなわけにはいかなかった。それはそう望む方が無理なのだ。考えてみれば1年生などはマンドリンなどの楽器を手に取ってからまだ6ヶ月を過ぎたばかりなのだ。それでも彼らは懸命に楽譜どおりに演奏しようと頑張っているのが見て取れた。特に、2曲目の「山河緑照」は8月に鹿児島県であった「全国高等学校総合文化祭」で演奏した曲ということもあり、素晴らしい出来栄えに仕上がっていたと思えた。
そして「さすがぁ!」と思えたのが、3年生部員11人だけで演奏した卒業演奏「月に舞う」は演奏にメリハリがあり、一日の長を感じさせられる演奏だった。演奏を終えた時に私は思わず「ホーッ」と声が出てしまったほどだった。他の聴衆の方々も同じ思いだったようだ。拍手が鳴り止まなかったことにそれが現れていた。
※ 3年生部員11名による卒業演奏はやはり一日の長を感じさせる演奏だった。
他の曲の演奏も、彼らの懸命な演奏にとても好感がもてた。
先述したように高校年代においては大音量のブラスバンドが主流であるが、繊細な響きが魅力の伝統ある月寒高校マンドリン部として末永く引き継いでいってほしいと願いたいし、私もまた彼らの定期演奏会に足を運びたいと思う。