田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

ひがしくハッピータッピーコンサート

2023-07-15 10:41:17 | ステージ & エンターテイメント
 指導者はさすがに円熟の演奏を披露し、その教え子たちは若干の硬さをみせながらも懸命に指導者についていこうとしているように聴こえてきた。指導者のお二人は素晴らしい実績をお持ちの方で、私が思っていた以上の素晴らしい演奏に出会えた思いだった。
      
 少し時間が経ったが7月10日(月)夜、札幌大谷大学大谷記念ホールにおいて「ひがしくハッピー・タッピーコンサート」が開催され、応募したところ幸いにも招待状が舞い込み参加することができた。
 「ひがしくハッピータッピーコンサート」とは、東区が主催する事業の一つのようで、「タッピー」とは東区のマスコットキャラクターで、「ハッピータッピー」と語呂合わせで命名したようである。通常、このコンサートは東区民センターを会場として開催されているようだが、今回は札幌大谷大学の関係者が出演することから会場が大谷記念ホールとなったようだ。
 その大谷記念ホールが素晴らしい。コンサートのMCも兼ねたピアノの谷本聡子教授によるとホールの設計は札幌コンサートホールKitaraの設計も担った音響設計家の豊田泰久氏によるものとのことだった。ふんだんに木材を使用した天井に高いホールはいかにも音響に配慮した専用ホールといった趣きの素晴らしいホールである。
 
 コンサートは2部構成となっていた。
 第1部は「谷本聡子とグレブ・ニキティンによるピアノとヴァイオリンのデュオ」
 第2部は「〈OTANIカルテット〉のデビュー演奏」
となっていた。
 ここでは大谷大学で教授を務めるお二人の経歴に触れねばなるまい。
 まず谷本聡子さんであるが、谷本さんは札幌市出身であるがハンガリーの「リスト音楽芸術大学」を卒業し、引き続きドイツの「フライブルク音楽大学大学院」で学んだあと帰国し、札幌を中心に音楽活動を展開し、幾多の賞を受賞されている方である。
          
 一方のグレブ・ニキティン氏はロシア人であるが、モスクワ音楽院で学び、その後ヨーロッパを中心として活動していたが20代後半に来日し、1993年に札幌交響楽団のコンサートマスターに就任、さらには2000年には東京交響楽団のコンサートマスターに就任するなどその経歴は輝かしいものである。
          
 そんなお二人がデュオを組んだ演奏なのだから、私をはじめコンサートに足を運んだ人たちはとんでもない珠玉のコンサートを聴いたということである。そのお二人が演奏した曲目は…、
◆ベートーヴェン/スプリングソナタより1楽章
◆マスネ/タイス瞑想曲
◆バルトーク/ルーマニア民族舞曲
◆モンティ/チャールダッシュ
以上4曲だった。クラシック初心者である私には前半3曲は聞き覚えのない曲で、お二人の演奏がどれほどのものなのかを評する基準を持ち合わせてはいなかった。ところが4曲目の「チャールダッシュ」はヴァイオリン奏者が競って演奏する超絶技巧を要する曲である。私はフルートやコントラバスでの演奏も聴いたことがあるほど有名であるが、この曲を演奏するときのグレブ・ニキティン氏の表情が印象的だった。グレブ氏が演奏する表情は余裕そのものという感じだった。そしてその繊細な指遣いを見てくれとばかりに、客席へ近づいてくる余裕ぶりだった。その演奏を拝見し、グレブ氏の力量を推し量ったのだった。
 一方のピアノの谷本氏であるが、こうしたデュオの場合ピアノはどうしてもヴァイオリンの引き立て役にまわってしまう。したがって前面に出る場面は少なかったが、それでも熟達した演奏ぶりは “さすが!” と思わせるものだった。
 小休憩を挟んで第2部「〈OTANIカルテット〉のデビュー演奏」であるが、女性の弦楽四重奏だった。その構成は札幌大谷大学音楽科を卒業したヴァイオリンの徳田和可さん、同じく同大学在学中のヴィオラ担当の壱岐香風さん、大谷大学出身ではなく他大学出身だが、現在大谷大学の非常勤講師としてお勤めのヴァイオリンの岩淵晴子さん、チェロの中島杏子さんという組み合わせだった。演奏された曲目は…、
 ◆モーツァルト/弦楽四重奏曲 第17番〈狩〉より 
 ◆チャイコフスキー/弦楽四重奏曲 №1より アンダンテカンタービレとスケルツォ
 ◆ドヴォルザーク/ピアノ五重奏曲より〈スケルツォ〉
の3曲だったが、前記の4人での演奏はモーツァルトだけで、チャイコフスキーの時はヴァイオリンが1人抜けて(岩淵晴子さん)グレブ氏が入り、最後のドヴォルザークでは岩淵さんが入り徳田さんが抜け、さらにピアノの谷本さんが加わるというように目まぐるしくメンバーを入れ替えながらの演奏となった。
     
   ※ 岩淵晴子さん         ※ 徳田和可さん
     
   ※ 壱岐春風さん         ※ 中島杏子さん
 デビュー演奏ということで、お二人の教授陣も応援しながら、というデビューとなったようだ。特に若い壱岐さん、徳田さんにとっては緊張のデビューだったようで、少し硬さも見えたかな?と思われたが、ベテラン陣に混じって堂々と演奏されていたように映った。今後は札幌のコンサートシーンに度々登場してくるに違いない。
 音響効果の素晴らしい大谷記念ホールで、上質の音楽に触れることのできた一夜だった。

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