中東の広大な砂漠を舞台にした3時間48分の長巨編。そのスケールは圧巻だった。映画は実在のイギリス陸軍将校(トマス・エドワード・ロレンス)の活躍を描いたものだったが、私は映画のスケールそのものに大いに感動した。
映画は1962(昭和37)年、イギリス・アメリカの合作で制作されたもので、上映時間228分(3時間48分)の超長尺物である。この映画は6月3日(木)にBSプレミアムで放送されたものを最近観賞しての感想である。
ストーリーは、1916年当時オスマントルコに支配されていたアラブの独立闘争を支援するため、イギリス陸軍の将校ロレンスが軍の命令でアラブを支援する役割を担わされるのである。(そこには当然、イギリスがアラブを支配するという野望が隠されていたのだが…)
そこで展開される中東の砂漠地帯は草木一つ生えない広大な砂漠の中をロレンスはアラブの民族衣装を纏い駱駝にまたがっていく様は荘厳な美しささえ感じさせた。このあたりの映像の美は、監督であるデヴット・リーンの真骨頂だそうだ。
ロレンスのアラブ軍はトルコ(オスマン軍)を打ち破るのだが、その頃になるとロレンスは純粋にアラブへの愛情が芽生えてきた。アラブへの愛と軍の命令の板挟みにあいながらロレンスは苦悩する。
実は史実では、この当時のイギリスの “三枚舌外交” が後日大きな問題となってくる。“三枚舌外交”とは、簡単に説明すれば当時のイギリスはアラブの地域をイギリスの勢力下に収めるために、アラブの部族にも、ユダヤの人々にも、そしてロシアやフランスにも、好都合となるような約束をする外交をやっていた。そのことが今に至る中東問題を複雑にしている原因と言われているのだが…。
アラブの独立を真から願うロレンスであったが、国の意向には逆らえず志半ばで帰国せざるを得なかった…。
ストーリーとしてはもっと複雑で入り組んだものであるが、リード文でも述べたように、私自身がこの映画で最も感動したところは映画そのもののスケール感だった。中東の砂漠地帯を舞台としたロケや撮影には実に2年3カ月に及んだという。さらには45,000人もの兵士と遊牧民のエキストラ、とそのスケールの大きさは映画全盛期だったからこそ可能と思える規模である。CG(コンピューター・グラフィック)などない時代に、ここまでスケールの大きな映画を見せつけられたことに感動した。願わくば、この映画を一度映画館の大きなスクリーンで堪能したいと心から思ったのだった。
この当時、監督のデビット・リーンの各作品が好感していましたので、
待ち焦がれていた私は、鑑賞して、感銘を受けたりしました。
確かロードショウとして、日比谷の有楽座の映画館で、
70ミリの超大作の話題作品で、1963年2月14日より上映され、
映画青年の真似事の時期でして、初日に鑑賞致しました。
後年、松山善三・高峰秀子ご夫妻は、砂漠の光景は、
確か映画しか表現できない、と称賛されていましたので、
私は学び、瞬時に同意させられた次第です。
この当時、上映された作品はオリジナル版で207分で、
後年、リーン監督は再編集されて、完全版として227分となり、
私はビデオテープ(上・下巻)を確か25年前に購入して、
幾たびも我が家で鑑賞しているのが実態です。
「アラビアのロレンス」を70ミリ映画でご覧になったのですか!それは羨ましい!
きっと砂漠を往く場面、あるいは戦闘の場面など凄い迫力だったでしようね…。
砂漠の光景…、あのような素晴らしい光景を切り取ることができるのはデヴィッド・リーン監督の凄さなんでしょうね。
心に残る映画の一つになりました。